表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/76

15:00 「ほんの少しの思い出」

 

 白い情景。夢のような、まどろみの中にいる。

 僕は昔のことを回想していた。

 

 小学生のころの話、僕がまだ桐渕と何でも競い合って遊んでいたころの話。

 

 一度だけ、桐渕に学校のテストの点数で勝ったことがあった。算数のテストだ。100点だった。そのことが嬉しくて嬉しくて、僕は計算間違いをした桐渕に言ってしまった。

 

 『そんな問題もわからないのか』

 

 桐渕は大泣きした。後にも先にも、彼女が泣いたところを僕はついぞ見なかった。そのとき限りだ。僕にとっては何の気なしに放った一言だったが、桐渕はいつまで経っても泣きやまなかった。僕はバツが悪くなり、それ以上は声をかけず、逃げるように立ち去った。

 

 ふと思い出した、桐渕があんな目をするようになる前の話である。

 その過去の光景は少しずつ遠ざかり、白の中に溶けていく。

 

 気がつけば、いつの間にか握られていた真っ白な鎖が、僕の手の中で静かに溶けていた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ