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20/22

act,18_友人役Aの発覚した謎のこと

遅くなってすみません(汗)


 ところ変わって、生徒会室。仕事をするべき生徒会役員は、目の前の爽やかヤンデレのみ。つまり簡単に言ってしまえば、僕と空閑聖夜しかいないわけで。

 それよりも豹変した魔王様三号(一号は風間白蓮、二号は愛しのツンデレわんこ)をどうしよう。……というか、攻略対象に魔王多すぎない!? って、元々根が犯罪者ヤンデレしかいないから、当然っちゃ当然だけど。エンドしだいでは普通に人殺しがいるし。


 てかヤンデレはいいんだよ、別に! 腐的な意味で、本当は大好物だしね! しかしその被害は好きな人のみかぶるべきなのだよ! その方が周りに迷惑かけないしね! 男同士という障害に片思いを引きずった結果、耐えられなくなって監禁! 腹黒ヤンデレらしい空閑聖夜と従順ヤンデレな風間白蓮は最高! やっぱり聖夜×白蓮だよね!


「――――そろそろいいか?」

「ああうん、現実逃避が分かってたんだね、知ってる、顔に出やすいらしいし!」


 いい加減にしろと爽やか声優さんの声を出す、空閑聖夜――の裏の顔、もう一つの人格である転生者の魂である、本名は田崎真尋らしい、彼。真尋て。真尋て!


「まず、現在の状況を整理するとしよう。正直、俺はちょっとしか原作知識ないで、お前バリバリ原作知識ある。俺だけまだ、結構混乱してるんだよ」

「それはいいけど……なんか、口調が風間白蓮に似て、」

「言うな。分かってる。でもこれが素なんだよ…………」


 ああ、どうやら風間白蓮(ヤンデレ)と一緒にされたくないのは、転生者の条件らしい。まあ原作の友人役をむごたらしく殺したシーンって、【溺れる恋愛~paranoia~】のファンの中では結構に有名だったりするからね。


 悔しいことに、あの生徒会長は美しいからね!

 攻略したいっていう人はたくさんいるからね!

 言霊の力で最強、っていう設定もあるからね!

 現実で惚れているならば、本当に末期だよね!

 ファンクラブあるから残念な事に笑えないね!


「死にたい……いや、死にたくないよ」

「何だ行き成り、どうしたんだ?」

「なんてことはないさ、この世界について絶望していただけだよ」

「なんてことなくはないと思うぞ!?」


 甘いな、少年! 絶望なら前世の記憶を取り戻した時にもしたことがあるから、結構になれてしまったよ、もう既に! なんてことだ!


「ままま、それは置いておくとして。話を聞けば君、人格の一つとして生まれたのはいいけど、それ以外の自分の状況や立ち位置が分かってない、と」

「ん」

「しかし【溺れる恋愛~paranoia~】の記憶はあり転生またはトリップしていることだけは確か。前世の名前は田崎真尋、口調は風間白蓮に似ている、と……」

「最後のはいるのか?」

「ふむふむ、ここで僕の情報が必要となるわけだね! やっぱり、ゲームを知ってると言ってもやる気があってやる乙女ごほんごほん女と、ちょっと気分でやろうと思った野郎げふんげふん男じゃ情報量や覚えている知識が違うんだろう」

「野郎はともかく、自分が乙女じゃないことくらいの自覚はあるんだな、ハッ!」


 煩いぞエロ夜め。ミッチーを攻めにして妄想するぞゴラァア!!

 ……まあ、乙女じゃない自覚はあるが。だって、まず腐ってるし。


「で、まっちゃんは、」

「それは俺のことか?」

「うん」

「…………」


 恨めしい目で見てもやめてあげないんだからね! 別におちょくっているとかそんなんじゃないからね! 勘違いしないでよね!


「まっちゃんは、乗り移る直前のことは覚えてなくって、」

「ああ」

「気付いたら本編の二日前の空閑聖夜に乗り移る形で生きている、と」

「おう」

「まっちゃんが幽霊如く乗り移ったのが本編の二日前、僕が記憶を取り戻したのが本編の一番初めであるヒロインの紹介シーン。あんまり変わりはないよね。二日差って」

「ちッ、悪かったな役立たずで」

「いやいや、別にそんなこと思ってないよ?」


 さっさと紅くんと絡んで来いとかも思ってナイヨ?

 まあ冗談は置いといて。


 あーあ、まっちゃんにはああ言ったけど、正直情報は期待してた。僕とまっちゃんという異物をこの世界に取り込んだ、あの大きい目の神様の意図が分からない。少しでも何か分かればなー、と思ってたけど、情報を与えるのはこっちの方か。別にいいけどね。

 それに情報がなくても、立場的には一応攻略対象だから、利用はできる。自分が表に出ることは夜で稀に昼にあるらしいが、コントロールもできないが、一応本物の人格が表に出ているときの会話も聞けるには聞けるらしい。情報を得るには便利だ。


「じゃあ取り敢えずまとめようか。――君、田崎真尋は攻略対象であり生徒会副会長である空閑聖夜の、もう一つの人格でありゲームの記憶がある転生者。本編二日前にて乗り移り、正直状況があまり分からない。原作知識は微妙にあるっちゃあるけど頼りにならない程度。表に出ることができるのは主に夜が大体で、稀に昼、午前中は一度もない、と。何か間違っているところある?」

「いや、ないな」

「あ、……神様には会った?」


 思い浮かぶのは、大きな目。見た目怖くて初めはあんまり関わりたくないと思ったけど、僕にとっては未練を断つ切っ掛けをくれて、新しい命をくれた優しい神様。


「神様? って、は?」

「大きな目で思わず絶叫しちゃうような(フェイス)(?)の持ち主なんだけど」

「いや……目? 知らねえけど」

「そっかあ」


 なんだ、そもそも会ってないんじゃあ情報どころの話じゃないか。でも、どうして僕には姿を見せておいて、まっちゃんには会ってないんだろう? また疑問だけが増えてるんだけど、これ以上は頭がパンクするからやめてほしいぜ……。


「…………あのさ、」

「うん?」

「神様ってまさか、死んだ直後に土下座されて転生してください、という異世界トリップの定番みたいなのじゃ……」

「神様には会ってるけど、土下座の前にグロイ大きな目だったし。そもそも手と足と曲げる胴体もなかったからね。しかも神様にあったのは死んだ直後じゃなくて記憶取り戻した後の自分の部屋だったよ」

「自分の部屋!? 死後の世界とか、死と生の狭間とか、自分の部屋!?」

「セイトシノハザマ」


 いかん、思わずカッコワライが出てくる。いや、よくある名前だとは分かるけど、どうしても厨二病で笑ってしまうよね。セイトシノハザマだって、プププ。


「笑うんじゃない」

「笑ってないよ。嘲笑(わら)っているんだよ」

「うん? て、は?」


 ああ、言葉じゃ伝わらないこのネタ。流石に漫画のようにはいかない。残念。


「じゃあ、今度は僕のほうだね。そっちの状況は大体分かったし」

「そうだ、なんで俺ばっかり弄られなきゃいけない?」

「げふん」


 そっちか、っていう。


「僕は椎名楓。前世の名前は山中美月。ゲームでは攻略できない美少年友人役Aとして有名。イラストサイトでも結構に人気。流石、僕。今は風間白蓮による自害ルート回避のために武器を所有していろいろ戦ってる。現実でおきそうな過激なファンの制裁避けのイメチェンも、ね」

「原作では短髪なのにロングになってるのはそれが理由か。武器と戦っているいろいろに関しては後での方がいいのか?」

「そうだね、今は最後まで聞いてほしいと思う」

「分かった」

「続きね。立ち位置については、いろいろ動いたり戦った結果、微妙になってる。一番接触の多い攻略対象は椎名楓の幼馴染である火八馬紅貴。椎名家の一方的な近所付き合いで、一応親通しも知り合い。原作通りヒロインと同じクラスで、担任である水里青葉とは普通の生徒と教師の関係。クソ薙――草薙友弦ともまだクラスメイト止まりだね。ただサトリの能力を持ってる金坂満には凄く構われる。こいつは厄介」

「クソ薙……」

「スルーで」

「そんな、ドライブスルーで、みたいなノリで言われても」


 呆れたように溜息をつかれる。てか、例えが微妙にうまいような下手なような。


「だけど、それも戦う前までの関係。いろいろ戦ったって言っただろう? その中の一つの戦カッコワライ。今まで秘密にしていた紅くん――火八馬紅貴との幼馴染という関係が、金坂にばれた。屋上で一緒にご飯食べようとしたら先客として会ってね、紅くんと仲がいいならと上辺だけの宜しくを貰ったけど、その時心を読まれていたらしく僕が能力者のことを知っているとバレた」

「あっちゃー……」

「刺客その一として金坂が引っ付くようになり、生徒会に入らないかと誘われた。本来ならヒロイン――小田桐藍那がやるはずの会長補佐として。勿論断ったけど、その時に生徒会室で話をしよう、と空閑聖夜に話しかけられた。風紀委員の度会の双子にも、この間の登校中に接触。今はあちらの能力者たち――攻略対象に探りをいれられている状態。…………うん、それくらいかな?」


 一息ついてまっちゃんの目を見る。空閑聖夜の体なため、空閑聖夜を相手にしているような錯覚。青い目は好きだけど、あまり見たくない目だ。


「さて、まっちゃん………………質問は?」

「ハイハイハイハイッ!」

「どうぞ、まっちゃん」


 手をあげる必要性が見つからない件について。


「武器っていうのは?」

「携帯でね。これ、いろんなフラグのパーセントが見れるんだ。多分、最大は100パーセントかな」


 携帯の画面を見せれば、いろんなフラグのページを巡回していく。少しすると全て見終わったのか、画面から顔を上げた。


「じゃあ、戦いってのは他にどんなのがある?」

「VS金坂の屋上編、VS能力者の生徒会補佐勧誘編。それ以外はVS度会兄弟のドッチデショー編。あとは、これから起こるだろう騒動かな。現在進行形なのはVSヒロインの秘密知っているならちょっと話したいな、でもどうせ裏切られるしなうじうじ的な視線から逃げる編。そしてVS能力者のテメエ何を隠してやがる編。これから先も何かあると思うしね」

「うざいのか、ヒロイン(の視線)」

「うざいよ、ヒロイン(自体がね)」


 まあ、正統派のヒーローとかヒロインとか、現実にいたら普通にイラつくよな。

 そう言って頷くまっちゃん。流石、分かってる。


「うーん、後は……あ、攻略対象は全員に接触したのか? あと、探りいれられてるって言ったけど、どこまでバレてどこまで怪しまれてるんだ?」

「攻略対象は、ううん、結構接触しちゃったねえ。接触してないのは風紀委員の(いかずち)創操(そうえん)、夏休みに出てくるはずの大場夢移(むい)、風紀委員長の遠藤晁未(たつみ)の三人。攻略対象じゃないけど、生徒会ファンクラブ会長の城之内麗華とヒロインの小田桐藍那とも、ちょっとだけは会話した。というか、僕を含めた三人全員腐女子だった」

「え、まじ」

「探りの方は、能力の存在については知っているっぽいけど、誰が能力者でどんな能力を持っているのか知っているのか? あと、政府がらみだということは知っているのか? そして、どうして知っているのか? ってくらいかな」

「成程」


 成程されてもね。成程されたないし、成程したくないね。どうしてこうなんなっちゃったんだっけ? 僕の行動って結構裏目に出てる気がするんだけど、気のせいかな。


「もうない?」

「いや――最後に一つだけ」


 目を細める。


「生徒会長補佐を進められたと言ったな? それと、俺ら以外のイレギュラーは?」


 ああ、阿呆っぽいけど、馬鹿じゃない。鋭いなあ。できればあんまり、話したくはないんだけどね。


「……イレギュラーは、知っているだけで僕と君の存在。補佐の件と、後は紅くんとヒロインの接点が以外に少ないことかな。いや、ファンクラブが目につけたのが、ヒロインじゃなくて僕だってことも」

「紅くんは、火八馬紅貴だよな。本来ならある接点は?」


 空閑聖夜の声での紅くん呼び萌え。

 ……じゃなくて。


「本来ならヒロインの転入初日、自己紹介の途中で教室に入って来た紅くんがヒロインの校内を案内するはずだったんだ。でも僕が意識を失った所為で紅くんは僕に付き添って帰宅。案内役は実は迷子になっていたところを助けてくれたという設定がある、クソ薙もとい草薙になった。原作通りなら今頃紅くんはヒロインと仲良くなって、ヒロインの番犬的な立ち位置にあるはずだったんだ。だからその所為で、今でもヒロインとは能力者の一人であるよ、っていう接点しかない」

「へえ、で、今はヒロインじゃなくてお前の番犬だったりするのか?」


 揶揄するようにニヤリと笑って言う、まっちゃん。その爽やかフェイスに意地の悪そうな笑みは似合わないよ。とっても腹黒に見えないこともないけど。


「あのね、金坂満との接触では幼馴染という関係がばれてどうのこうの言っただろう? 番犬どころか元からクラスメイトのままだって見られてるよ。昼休みとか登下校とか一緒だから、全員が全員そう思っているわけではないけどさ、そりゃあ……」

「は、そうかい。つまらんね。脇役がヒロインの居場所を奪うようなルートでも面白かったケドな」

「相手がヤンデレなのに? ドMじゃあるまいし」


 殴られたり蹴られたり首絞められたり精神的にも肉体的にも追い詰められたりトラウマとかもできるし、そのくせほとんどのエンドは監禁か死だし。やっぱ二次元に限る。


「あ、これもうちょっと見ていいか?」


 指さすのは、フラグ携帯。


「いいよー、あ、でも、もうすぐ昼休み終わるんじゃないかな?」

「ああ、あと七分。ちょっとだけだから」


 そう言って僕のフラグ携帯(白)を見ているまっちゃん。その間どうしよう、折角生徒会室にいるんだから、ちょっといろいろ見てみようか。元々ゲームに貢いだ僕にとって、ゲームの中の本物の生徒会室って、結構に興味のあるところ。

 一番に見たのは生徒会会計金坂満のデスク。アイツの弱点かなんかないかなー、と相変わらず悪役チックに思っていると。


「ん……、何これ?」


 紙の束の中に、紙ではなく写真が挟まっていて、その角が突き出ている。個人情報かなと思いながらも弱点を探しているためそんなことは気にせずそれを取れば、その写真に写っているのは幼い女の子と男の子。


 ああ、これ、男の子はミッチーだ。顔ってやっぱり分かるなあ。

 あれ…………これ、女の子のほうもなんか見たことあるような……。


「みっちゃんみっちゃん、」


 ここでどうやら、僕の呼び名らしいものを言葉に出しながら手でコイコイしてくるまっちゃんの傍に行けば、携帯の場面をトントンを叩く。


「これ、知ってたか?」

「これ?」


 そう言ってまっちゃんが画面を叩く。ちょっと、それボタン型――つまりガラケーだからね? 画面が動くわけ――、


「って、え?」

「おお、意味不明だな」


 動いた。画面が。

 溺愛フラグの〝草薙友弦〟の名前の部分を叩けば、その文字が一つずつくるりと周り、違う文字へと変わる。


「な、何これ……」


 まっちゃんが意味不明と言ったのも分かる。

 画面にはこう書かれていた。











〝草薙友弦――――――――――攻略不可〟


次、他者視点予定。


【拍手にて感想を贈ってくれた方、ありがとうございます!】

>名無しさん。ヤンデレ乙女ゲー面白いです!まさか空閑が~の方。

 ありがとうございます!

 いや、正直作者も驚いています←

 ヒロインの藍那についてか、後になるにつれて成長していき、いずれ親友のような関係になればいいな、と思っています。今はとことんうざくしていきます(笑)


>名無しの方。紅貴くん頑張れ!~の方。

 紅くん派の人多いですね~、もうこれは決まりでしょうかw

 作者も早くいちゃつかせたいです!^w^!


レス不要のみみさんもありがとうございました!



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