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修行⑤近衛兵をやっつけよう!

100PVありがとうございます。初めての投稿でここまで見てくださる方が居てうれしい限りです。

マナが空に打ち上げられ、絶叫する日々が2週間ほど続いたある日


「今日は・・・・いい天気ではないな・・・、まぁそれも一興・・・茶がうまい」


この地方にしては珍しく雨が降っている。朝のティータイムは雨音で彩られている。カンカンカンカン・・・・・何か音がしている。マナが置いた缶に雨粒が落ちているのだ。

マナは昨晩

「雨が降るんですか?私雨が好きで、うひょひょ」

と言いながら何かを置いていたが、それがこの缶である。うるさい。


「おはようございます師匠。いかがですか雨粒達の演奏会は」

マナがドヤ顔で胸を張ってこちらを見ている。時計はまだ7時だ、無駄に起きるのが早い。

「ああ・・・素晴らしい音色だと思うよ・・・うん・・・」

俺とて音楽の良さくらいはわかっているが・・・無秩序にカンカン鳴っているだけの音を音楽とは・・・

「私、昔テレビで見てて、やってみたかったんですよね、ぐふふ」

マナが缶をしゃがみこんで愛でている。俺にはわからない感性だ。

少し何かひっかかる部分を感じながら俺は独り言を言う

二人で朝食を摂りながら、マナに聞かなければいけないことがあるのをふと思い出した。

「これだけ降られれば修行もできないしな・・・そういえばマナ、小枝はどうなった?最初に渡した小枝の方だ。」


マナには修行で使う二本目の世界樹の枝を渡していた。こちらは持ち主が俺の小枝だ。

世界樹の小枝は持ち主の魔力を吸いながら大きくなるという習性がある。

最初の魔力を感知を感知し、持ち主と認識しているらしい。うちには三本の小枝があり、マナに渡した分で全ての持ち主が決まったことになる。


マナは立ち上がると部屋の方を見ながら

「ああ・・・あの気持ち悪い枝ですか?なんかまた太くなってましたよ。師匠の使う木刀くらい大きくなってるんじゃないですか?ん?そういえば師匠いつも使っている木刀が無いですよね?どこから持ってきてるんですか?ん??小枝??」

マナが怪訝な顔でこちらを見ている。

「ああ、そういえば言ってなかったな、あの小枝は世・・・」

俺が小枝(世界樹)の説明をしようとしたその時


「おはようございます。ハジメ様、いらっしゃいますか」


透き通る声が家に響く、でかい声だ・・・

「久しぶり、カルラ。本来は首都に行かなければいけないのに、来てもらって申し訳ない」

カルラと呼ばれた女性は茶髪で、黒い服の上に鎧を纏っている・・・

「うひょぉ、、、ナイスバディですな・・・めっちゃべっぴんさんやん・・・」

小さな声で部屋からマナがこちらを見ている。こいつもあの異郷の言葉を知っているらしい。

「師匠、あちらの女性は?」

ガルラがそわそわしながらこちらを伺う。

「ぁぁ・・・あれは林で拾った。筋が良さそうだから剣を教えてやっている」

「はい私マナって言いますカルラさんですね?よろしくお願いします。」

無駄に速いスピードでカルラに接近しマナは握手をしている。カルラは「早い・・・」と呟いた。

「ということは、妹弟子と言ったところかな?よろしくね。私はカルラ」

カルラは強くマナの手を握る

「む・・・私はマナです。お主強そうだな・・・ふふふふふ」

マナも強くカルラの手を握り返す

ギチギチギチ・・・・お互いの皮手袋がおかしな音を立てている

「む・・・・お主もなかなか・・・・ふふふふふふふ」

カルラもそっちの気があるのだ。

普段は長としてキリっとしているが、強敵相手となるとおかしくなる。俺の弟子がこうなるのか、こうなるやつを弟子に拾っているのか・・・卵が先か鶏が先か・・・哲学的思考に陥る。

「おや??そちらの後ろにまだ二人居るようですね」

マナは後ろに控える10代の男性を見つけたようだ。心なしかウキウキしている様子である。

「ああ、この二人が今回修行をつけていただきたい二人だ。自己紹介を」

「はい、ハジメ様、マナ様、わたくしはヤンと申します。よろしくお願いします!」

向かって右手の黒髪少年がヤンと言うらしい。少し落ち着いた雰囲気でマナの動向を伺っている様子だ。

「ハジメ様、マナ様、わたくしはエンデと申します!よろしくお願いします!」

向かって左、金髪少年がエンデと言うらしい。こちらは特に何も考えていない様子。ニコニコしている。

「二人とも、野荷物はハジメ様の家に預けておくよう。では手はず通りにテント設営からの食糧調達、では取り掛かれ!」

カルラが号令を出すとてきぱきと野営の準備をし始めた。雨の中せっせとテントを張る姿を見てマナが

「雨なのに野営とは鬼畜の所業ですね、結構降ってますよ」

と呟いた。それを聞いていたカルラが

「騎士団と言えども野営の技術は磨いている。雨が降ろうが雪が降ろうが、火山地帯は厳しいが、どこでも野営の準備はできるぞ」

カルラがどや顔でマナに説明する。

「むむ・・・私だってできますよ。なんせ北部騎士団で鍛えられましたからね!!」

マナがそれ以上にどや顔で自慢する。

「あ・・マナ・・・それは言わない方が・・」

「貴様ぁ!!あの地の者かぁ!!!」

カルラが剣を抜く。

「ひょえええええ!!!やるんですか!!!受けて立ちますよ!!!」

マナが部屋から木刀を持ち出す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

北部騎士団とは、ガルド地方の北側にある国家の騎士団のことを指す。

こちらから見て北部なので北部騎士団、あちらから見れば南部騎士団。とてもややこしい。

ガルドの北側はそこまで広くはなく、ダンジョンの群生地になっているので天然の城壁のような役割を担っており、有事の際はガルド所属の冒険者が徴兵され、中央騎士団が指揮をとることとなっている。

マナは1年ほどガルドを彷徨ってこの中央付近まで移動していたため、北部騎士団の呼び方が定着したとのことであった。敵国だとは理解しているらしく、普段は言わないようにしているらしいが・・・ちょくちょくボロを出している様子で、憲兵においかけられることもあったとか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今回、何故か一番言ってはいけない相手に話してしまったようだ。

「ま、まさか!!お前小枝を!!!!師匠!!私の小枝はありますか!?」

カルラが焦ってこちらに顔を向ける、俺は目線で部屋の奥を指す。

「くっ、これさえあれば・・・・小娘、覚悟するがいい」

カルラが小枝を正面に構え、魔力を発する。小枝は鈍く青く輝く

「やるっていうんですね・・・?よかろう・・・かかってくるがよい・・」

マナが正面に木刀を構える。

「・・・とりあえず外でやってくれないかな。家壊されたくないし・・・」

俺はマナとカルラの首根っこを掴んで外に放り投げた。

二人は着地し、お互いを正面に捉え向き合っている。

野営準備をしていた男子組がこちらに歩いてきた。

「えーと、どうしたんですか?なんか二人飛んでましたけど、団長知らない間に空飛べるようになったんですかね」

ヤンが心配そうな顔でこちらに問いかける。

「ああ、マナが北側騎士団と言ってしまって、カルラが殺そうとしてる。邪魔だから外に投げた」

俺が椅子に座りお茶の準備をしながらそう答えると

「えっ・・・それ大丈夫なんですか?団長無茶苦茶強いですよ?って・・二人ともなんで変な枝と木刀持ってるんですか?」

エンデが不思議そうに二人を見ている。

「うん、うまい・・・あれは世界樹の枝だよ。」

「えっ!?あれが伝説の・・・世界樹の枝って魔剣の柄になるんですよね?」

二人が声を揃えて驚く。

「ああ、よく勉強しているね。持ち主の魔力を吸って成長し、魔剣の刃の能力の制御をするんだ。俺のこの件の柄も世界樹が使われている。装飾してあるから見た目にはわからないけどね。あれは加工するまでは持ち主の意思に呼応して大きさを変える・・・カルラは手加減しているのかな、枝のまま戦っているね」

「そうなんですね・・・じゃあこの剣があの伝説の・・・あっ、始まりましたね」

ヤンがハジメの剣を凝視していると大きな衝突音が聞こえてきた。


ガンガンガンッ!

「ははははは、貴様やるな!!!」

カルラが笑いながら流剣を繰り出す。7連撃をマナはうまく柔剣でいなしながら叫ぶ

「小枝ごときで調子にのるなぁああああ!!」

マナが一歩踏み出し、上段に木刀を構える、カルラは小枝を頭の上で両手で持ち踏ん張る。

ドゴォォォン!地面水が剣の勢いで空を舞う


「お、見事な重剣だ。二人も見て覚えておきなさい。あれが君たちの目標だよ」

お茶のお替りを入れながら男子組に二人の動きを説明する。

「すごいですね・・あの二人。この土砂降りでも動きに変わりがない。マナさんもすごくないですか?それにしても小枝と木刀であんな音が出るんですね・・・」

エンデがちょっと引き気味に質問する。

「マナはまだ魔力操作ができないからね、魔力を垂れ流している。でも元々が素養があるのかな?あの状態で疲れていないのは普通じゃないね。お、勝負がつきそうだ」


「うおりゃあああああああああこれでとどめじゃああああああ」

カルラが上段に小枝を構え、魔力を小枝に注入する。小枝は青く鋭く光り輝く

「必殺、流星切りぃぃぃ!!」

カルラが一瞬でマナへ間合いを詰めその勢いで上段に構えた小枝を振り下ろす。


「え、なんですかあの技名・・・聞きましたけど・・・ダサいですね・・しかし団長のあんなボロボロな姿初めてみましたよ」

ヤンがこちらを向いて困惑した顔で話しかけてきた。

「ああ、ただの兜割だね。どうもあの二人、技名をつけると気分が上がるっていうんで・・・ほっといたらいろんな技名つけてるよ。ほかには確か、円月切りとか・・・流星キックとか・・・」

「そうなんですね・・・強さはすごいですけど・・・」

男子組は困惑しながら戦いを見届けようとしている。


「眩しいだけじゃねぇかぁああ!!見切ったぁあああ!!!一文字切りぃいいい!!」

マナが一歩踏み出し、振り下ろす瞬間を見切り剣を横薙ぎする。その瞬間木刀が赤く輝きカルラの鎧を砕く


「はい、終わり。二人ともお疲れ」

俺は二人の間に入り込み、小枝で二人の勢いを利用し、空高くに打ち上げた。


「びゃああああああああああああーーーー・・・・・」

マナがいつもの叫びで天高く舞い上がり

「ひゃあああああああああーーーーー・・・・」

カルラも懐かしい悲鳴で空高く舞い上がった。


「これは新記録だ・・・二人とも強くなったな」

俺が感傷に浸っていると、男子組か駆け寄ってきた。

「人間ってあんなに飛ぶんですね・・・」

ヤンが心配そうに空を見上げる。

「あれだと30メートルくらいでしょうか・・・、あ、そよ風」

エンデが何かに気付いた。

「そうだ、風を操作して飛びやすいようにしている。空気にも摩擦?があるらしくてね・・・よくわからないけど人間を打ち上げるときはそよ風で飛ばしたり、受け止めたり、いろいろ便利だよね」

「そ、そうなんですね。あ、落ちてきた」

エンデがそう言い、俺が受け止める。

「うん、二人とも今日は使い物にならないからベッドで寝かせてくるよ。君たちは野営準備を続けてくれ」

「わかりました!!」

男子組はせっせとテントを張り終え、食材の調達に向かった。


ベッドで横並びに寝ている二人はなぜか抱き合いながら「おのれー」「きさまー」と唸っていた。


「はぁ・・・・頭が痛くなるな・・・・」


俺はそう呟き雨上がりのお茶を満喫し、演奏会の終わった缶を片付けた。





卵が先か鶏が先か・・・・・・・・生物の起源は原始の海、いわゆる生命のスープに由来するものだと思っています。

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