ガルド南ダンジョン攻略⑪8層探索
「さぁ私はこの剣を研ぐわよ」
カルラは砥石を取り出し、アイスちゃんが水を生成し始めた。
「アイスちゃん、水も作れるようになったんですね。日々の進歩が目まぐるしいですよ。どれどれ・・・うん、おいしいです」
マナがアイスちゃんの作った水を一口飲む。
ドラゴンちゃんがその水をじーっと片方の目で睨む。
「あら、気になるのかしら?かわいい子達ね」
カルラが笑顔で2匹のドラゴンたちを見ていた。
「ではカルラ、少し入り口の方から探索してみますね」
「わかったわ。私もこれを研いだら向かうわね。。。鞘も新調しなくちゃ」
カルラはウッキウキで剣を研ぎ始めた。こうなるとカルラは他のことが目に入らなくなる。
ドラゴン達もいつのまにか居なくなっていた。
「ふむ、皆居なくなってしまったか・・・では探索にいきますか」
「私が居ますぞマナ様」
「いや、あんたはいいから・・・」
喋る刀に釘を差してマナはお城の入り口の方に向かった。
「さて、ここは応接間ですかね?特にめぼしいものは無いみたいですねぇ」
そこまで豪華な内装ではなく、机の周りにソファーが二つ向かい合って置かれている。
「お城というか洋館ですね・・・さっきのやつといい、まさしくアレですね」
マナは懐からモデルガンを出し、構えてみた。
「ゾンビでも出たらバーンと撃って、舌の長いやつとかも・・・ぶった切る方が早いか」
マナは1人でブツブツ言いながら次の部屋に向かった。
「キュー・・・キューー・・・」
入った部屋の奥から鳴き声が聞こえた。
「おや、アイスちゃんではないですか、何をしているのですか?」
次の部屋は物置きになっており、アイスちゃんが箱と箱に挟まって身動きが取れなくなっていた。
「本当に何をしているのですか・・・・」
マナがそっと箱をどけてやると、アイスちゃんはトコトコと更に奥の方に歩き出した。
マナはとりあえず付いていくことにした。
「キュー」
アイスちゃんが壁の穴を指差し鳴いていた。
「人が通れそうではありますね、奥は隠し部屋ですか?」
アイスちゃんはトコトコと奥の部屋に入る。
マナも後をついていくと、小さめの書斎のような部屋があった。
「うーん、特にめぼしいものは無さそうですが・・・おや」
机の引き出しを空けていくと、3段目に銃の弾が置いてあった。緑のパッケージで開けてみると、筒状の大きめの弾が入っていた。
「これじゃあまるで・・・んー、カルラはここは特別なダンジョンの一つと言っていましたが・・・火薬もありますし、ドイツ語主体だし・・・うーん?まぁ、いいか」
マナは祖父が金庫から同じものを取り出していたのを微かに思い出したが、考えるのを辞めた。
「おーい、マナーー、どこにいるのー?」
廊下の方からカルラの声が聞こえた。
「今行きますーー」
銃の弾を箱越しカバンに詰め、マナはカルラの居る廊下の方に向かった。
「もう剣の方は研ぎ終わったんですか?」
カルラが剣を見せながら
「どうかしら?思った以上に良い剣よ。魔剣じゃないけど、魔力の浸透も良さそうね。鞘も改造したわ」
剣の表面は丁寧に磨かれており、鏡のような状態となっていた。
「おー、なんだか高級な感じがしますね」
マナがカルラの剣をのぞき込む。
「そういえば何かめぼしい物はあったかしら?」
「これですね」
まなが鞄から散弾銃の弾を取り出した。カルラはそれを手に取りじーっと見つめた。
「これは・・・・・火薬の臭いね。金属と何かしら?筒に小さな球がいくつか入っているわね」
カルラは振ったり臭いを嗅いだり遊んでいる様子だ。
「それは、中にある小さな球を火薬の力で飛ばすものですね。大砲の小さいものですね。これだけじゃ使えそうにないですね」
「へぇー・・まぁ、使えないものならいらないわ。次の部屋はあそこかしら」
カルラはあまり弾には興味がない様子で、次の部屋に向かっていった。
「次は、食堂ですね。明らかに怪しい箱がありますよ・・・」
食卓にはスプーンとフォークが置かれており、真ん中に少し大きめの宝箱が置かれていた。
「考えても仕方ないわ、開けるわよ」
カルラがすぐさま宝箱を開けた。
「お、これは・・・チーズですね。しかもでかい」
中には円柱のチーズが一つ入っていた。
「むむ、これは何のチーズかしら?硬いわよ。うん、おいしいわ」
カルラは端の方をガリガリとナイフで削り食べている。
「前から思っていましたが、カルラはかなりワイルドですね」
その姿を見ながらマナはつぶやく。
「そうかしら?これはもらっていきましょう」
カルラは大きなチーズの塊をバッグにそのまま入れた。
「そういえばドラゴンちゃんは一緒じゃなかったのですか?」
マナはふとドラゴンちゃんを見ていないことに気付いた。
「そういえば、水に映った自分の姿をひとしきりみたと思ったら、アイスちゃんと一緒に歩いて行ったのよ。アイスちゃんは何処に行ってたの?」
「アイスちゃんは気の箱に挟まっていましたよ。はてさて、どこに行ったのでしょうか?とりあえずもう一つの部屋に行ってみましょうか」
二人は残った最後の部屋に入った。
「これはこれは・・・カルラは動かないでくださいよ」
明らかに怪しい穴あきの天井
目の前の額縁には明らかに怪しい短剣がかけられていた。
「キュッ・・キューー」
壁の向こうからドラゴンちゃんの鳴き声が聞こえる。
「あら、ドラゴンちゃんの声ね。しかし何かしらこの剣は」
「ちょっ・・・」
カルラが剣を取った。ゴゴゴゴ・・・・
「この剣も質がいいわね、もらっておきましょう(ゴゴゴゴ)」
カルラは短剣を鞘に納め、腰に下げた。
「いやいやカルラさん、天井が落ちてきてますけど。ドアも開かないっす。早く戻してください。なんで剣を抜くんですか」
マナはカルラを呆れた顔で見つめる。
「ドラゴンちゃんはこの向こうね。そいっ!!」
カルラが剣を壁に何度も突きを放った。
「・・・・・ゲームなら苦情もんですよこりゃぁ・・」
「ふぅ、こんなものね」
壁は無残にもばらばらにされ、恐らく仕掛け扉であったのだろう、ギアや細かいねじなどが地面に散らばっていた。
「おや、ドラゴンちゃん」
ドラゴンちゃんは奥の部屋の隅の方でこちらを見ていた。
「キュー」
ドラゴンちゃんが奥にある机の上を指差した。
「あら、これは・・・武器の製造方法が書いてあるわね。なになに・・・サムライソードの作り方・・・マナの魔剣と同じ形ね」
カルラがノートをマナに渡した。
「刀ですねぇ。なんとなく見たことはありますが、こういう風に作るのですね。しかしサムライソードとは・・・」
マナがページをパラパラめくっていると
「マナ様、サムライですぞ、サムライ。大陸の東側に居た種族です。私が生まれたのもそこです」
「おわっ!急に話しかけないでください」
刀がマナとカルラに話しかけていた。
「私はあいつに捕まって幾年も経ちましたが、当時の持ち主と一緒に戦ったのです。東の国では異国から持ち込まれたその刀が主流でしたね。マナ様はそのサムライたちとよく似た臭いがしますぞ。クンクン」
「マナ。こいつなんか気持ち悪いこと言ってるわ。折る?」
カルラがマナの黒刀を手に取りぶんぶん振り回した。
「戻ったら町の鍛冶屋さんのところに持っていきましょう。部屋もこれで終わりみたいですし、少し休憩したら次の層に行きましょうか」
「そうね、行く前にチーズとベーコンでサンドイッチを食べましょうか」
ドゴーン
天井が床に落ちた。
「あ、天井が・・・まぁゲームでも現実でも脳筋が強いのでしょうね・・・」
カルラが天井からつながっている鎖を切り裂きながら部屋を出て行った。




