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ガルド南ダンジョン攻略⑨7層探索

「ふわぁ・・・ぬぅ・・・まだ少し痛みますね。でもこのくらいなら動けます」

マナは珍しく早起きをして、朝食を作り始めた。カルラはまだまだ夢の中のようで寝息を立てている。

頭もとに居たドラゴンちゃんの目がピカッと光った。

「ドラゴンちゃんも充電はできたみたいですね。では朝ごはんを作りますよ」

ドラゴンちゃんはトコトコと歩き回り、薪を器用に咥えて集め、バチッと枯草に雷撃を飛ばし火をつけていた。

「ドラゴンちゃんはサバイバルも上手になってきましたね。色も綺麗になってきましたし、本物のドラゴンのようですよ」

「キュイッ、キュイーー」

ドラゴンちゃんは胸を張って見せた。

「ん~・・・おはようマナ、ドラゴンちゃん・・・マナ、身体は大丈夫なの?」

カルラが目をこすりながら起きてきた。

「7割くらいってところですかね、カルラはどうですか?朝ごはん出来てますよ」

「早起きしてくれたのね、ありがとう。はぁ・・おいしいわ。腕の方は・・・そうねぇ」

カルラはスープを飲みながら腕をブンブン振って見せた

「もう大丈夫みたい。でもポーションもあまり無いから、けがは最小限に抑えていかないとだめね」

「あれは高すぎるんですよ。枝があればいいのに・・・」

マナもマグカップのスープを飲みながら世界樹の枝に思いを馳せる。

「あまり他言してはだめよ、世界樹の枝なんて滅多に出回らないんだから。ポーションだって枯れ葉を刻んで混ぜてるのよ?にしても高額すぎるわよね。師匠が世界樹の葉っぱを煎じてお茶に混ぜてるのは知ってる?」

カルラは1層で採れた果物の最後のパイナップルを口にぽいぽい放り込みながら喋った。

「あ、カルラ、私も食べたかったです・・・師匠のお茶は何か苦い気がしましたが、そういうことだったのですね」

マナが残った最後のパイナップルを口に放り込んだ。

「そうそう、私たちの葉っぱを再利用してるのよね。とは言っても錬金術を使わないとうまくこうやって効能を引き出せないから、宝の持ち腐れね。ご馳走様」

カルラは上品に口の周りを拭った。

「さてカルラ、ご覧の通り果物は無くなりました。あとはあの変な魚の干物と米・・・、パン、チーズ、水、ここは密林、敵もいない・・・さぁ俺たちの冒険はこれからだ!!」

マナは立ち上がって背を向けた。

「帰るのなら逆の魔法陣に乗ればいいわ」

カルラは真逆の方向にある青く光る魔法陣を指さした。

「ていうか戻れたんですね・・・・全然気づかなかった・・・」

「ふふふ、あえて言ってなかったのよ」

カルラが意地悪く笑った。

「むぅ・・・さぁ探索いきますよ!」

マナが木に目印をつけながら歩いて行った。


「マナ、そこに宝箱があるわ」

少し歩いたところでカルラが立ち止まり、木の根元の銀色の箱を指差した。

「あ、本当だ。どれどれ・・・開きませんね・・・・」

ガタガタと揺らしたり、ナイフで入口をぐりぐりしてみたけど開く気配はない。

「こういうのは・・・こうするのよ!」

カルラが剣を引き抜き、箱に切りかかった。

箱は剣に弾かれ、ばいーんとどこかに吹き飛んで行ってしまった。

「カルラ・・・・・・・・・・」

「ふっ・・軟弱な箱よ、次に行こうぞ」

カルラは颯爽と探索を再開した。


「おや、これは木箱ですね。どれどれ・・・よし、開きましたよ」

マナが箱をあちこち触ると、カチッと音がして箱が開いた。

「ん~、これは干し肉だわ・・・うん、おいしい。燻製されてるわね」

カルラがすぐさま箱に顔を突っ込み、肉を頬張った。

「カルラは意外とそういうところありますよね・・・・え、タッパーに・・・ベーコンですか・・・なんともこんなところに似つかわしくないものがありますね・・・」

「タッパー?なぁにそれ、それよりこれおいしいわよ(モグモグ」

カルラは二本目のベーコンを食べ始めている。

「カルラ、食べすぎです。焼くともっとおいしいですよ?というか四本しかないんだから置いときましょうよ・・・」

「そ、そうね、おいしいので思わず・・・この入れ物も用途がありそうね、丸ごといただきましょうか」

喋るカルラの口がとても燻製くさくなった。


「お、そこにもありますね」

10分ほど周囲を歩き、次の木箱を見つけた。小さな木箱で銅の飾りが付いている。

「これは・・・鍵が掛かっているわね。フンッ!!!硬いわね・・・マナ、頼んだわ」

カルラは木箱を無理やり開けようとしたが、腕力では無理と悟ったのか、興味無さそうにマナに木箱を渡した。

「カルラは本当そういうところありますよね。かわいい顔なのに脳筋なんだから・・・」

マナはぶつぶつ言いながらヘアピンで鍵穴をいじり始めた。

「かわいいのは認めるわ。しかし、師匠の教えなのよ。筋肉は全てを解決するって」

「師匠がそう言ったの聞いたことないですよ・・・よし、開きましたよ」

マナが小さな木箱を開け、カルラがそれをのぞき込む。

「お、さすがマナ~!何が入っているのかしら?ん?鍵と手紙ね・・・なになに・・銀の宝箱鍵をここに隠す。財宝を貴殿に託す」

「カルラ・・・・・・・・・・」

「人生くよくよしてても前に進まないわ。さぁ戻るわよ!」

カルラは来た道を走り去っていった。


「やっと見つけましたね・・・・・」

マナが疲労の顔でそう言った。あれから一時間ほど探し回ったのだ。

「意外と遠くに飛んでたのね、さぁマナ、鍵をいただけるかしら?」

「はいはい・・・どうぞ。カルラは今日はいつもより元気ですね」

はぁ・・・とため息をつきながらマナはカルラに鍵を渡した。

「ポーション飲んだらこんな感じになるわね。人生前向きな気がするのよ。開けるわね」

カルラが銀の箱に鍵を入れ、回すとガチャリと音がして銀の箱の鍵が外れた。

「ヤクか何かやばいものでも配合されてるんすかねぇ・・・開けましょうか」

銀の箱が開かれた

「あら、何かしら・・・かわいい帽子ね。麦わら帽子じゃないの」

カルラが銀の箱から麦わら帽子を手に取り、被った。

「カルラ、とても似合っていますね。私は犬のお面、カルラは麦わら帽、ここはおかしなものが多いですね」

マナが思わず笑いだした。

「私も思ってたのよ・・・普通はこんなもの出てこないのよ?それこそ剣だったり、食べ物だったり、金銀だったり指輪だったり、誰も来ないうちにおかしくなっちゃったのかもしれないわね」

カルラも麦わらが気に入った様子で、マナのお面も被った。すらっとした体によくわからないコスプレになってとてもシュールな図になった。

「この犬のお面もいい被り心地ね。あ、底に手紙があるわ・・・読むわね「この島には化け物がいる。この帽子は私の殺された妻の形見だ。虫よけのまじないが掛かっている。また仲間がヒルに吸われていく。もう俺もだめかもしれない。奴め、ふざけたなりをしやがって、今日が決戦の時だ、この魔剣で妻の仇を取ってやる」だそうよ」

「ああ・・・そういうことだったのですね・・・その帽子、お面と同じ効果があるんですね」

カルラは麦わらとお面が気に入ったようで外す気配が無い。

「仇をうったので、この帽子はいただいていくわよ。地味な効果だけど、夏にはいいかもしれないわね」

「それと、あのキモい刀、この人が持ち主さんだったんですね」

「そうね、あんなおかしな剣を使うから負けるのよ」

カルラは手紙をぽいっと銀の箱に投げ入れ、スタスタと荷物の場所へと戻って行った。魔力を吸われたのを根に持っているのだ。


「よし、じゃあ次の階層に行くわよ」

カルラとマナが荷物を持ち、立ち去ろうとしたとき

「待ってください、おいていかないでください」

二人の心に何かが語り掛ける

「次は何があるんでしょうね、楽しみですね~」

「お願います連れて行ってください」

泣きそうな声に変ってきている

「しつこいわね、人の魔力を吸うような禄でない武器なんていらないわよ、叩き折られてないだけでも喜ぶといいわ」

カルラが冷たい目で刀を見る。

「マナ様どうか御慈悲を・・・」

火あぶりにされている刀をマナが鞘でつつく

「仕方ないですねぇ、喋らないことを条件として連れていってあげてもいいですよ?まぁあなたのデザインはそれなりに気に入っていますから、いいですよね?カルラ」

「そんな汚い剣置いていきなさい!」

カルラはプリプリして怒っている。

「拾った猫を捨ててこいと言われた記憶が甦りました・・・まぁ武器も鉄棒しかないので、私の責任で連れて行ってあげますよ」

マナはひょいと倒れた刀を拾い上げ、布で拭いた。

「ああ・・・マナ様なんという御慈悲・・・一生ついていきます」

「はぁ・・・仕方ないわね。ちゃんと首輪もつけるのよ」

カルラがため息をつきながら許してくれた様子であった

「貴様は認めていない、コスプレ女め」

「黙れ小汚いボロ剣がぁあああああああ!!」

カーーーーン!!

カルラが剣を一瞬で構え、マナの手元にある刀を空高くまで弾き飛ばした。

「助けてマナ様~~~」

刀が直接心に語り掛けてくる。


「もう君は喋らない方がいいよ・・・・」

空高く舞い上がる刀を見ながらマナは呟いた。


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