ガルド南ダンジョン攻略⑦7層攻略
「ぎょえ~~眩しいでやんす!!」
どうもこの光は慣れません。
「マナ、あなた何故目を開けながら入るのよ・・・何のために手をつないでると思ってるのかしら?」
それもそうですね。その通りです。ですがカルラは様式美と言うものを知らない世界で生きてきてるのでしょう。
「これがわからないとは・・・カルラはまだまだお子様ですね・・・ふっ。そんなことより、目が慣れてきました。ここは・・・」
きょろきょろと周りを見回しますが、1層のような孤島といった感じではなく、アマゾンの奥地と言ったような感じです。
「そうね・・・・こういうところは植物のトゲや毒虫、ヘビなんかに注意が必要ね。ここまでダメージは無く過ごせているけど、気を付けないといけないわね。せいっ!!!」
急にカルラが叫び、背中の剣を振り回しました。ついにおかしくなったのかと思いました。
「カルラ、何をしてるんですか?おう?血しぶき?ついに曲芸でも覚えたんですか?」
「何馬鹿なことを言っているのよ、敵よ敵、よく見てごらんなさい・・・木から飛んできたのよ、ミラージュエーゲル・・・いわゆるでっかいヒルね」
カルラはでっかいといいました。体長50センチくらいのヒルでした。
「おぇえぇぇぇぇぇぇぇぇええ、キッモ!!」
私はヒルが大嫌いです、ナメクジやカタツムリ、しまいには切ったシイタケも嫌いです。
「どんどん来てるわよ、見破るコツは背景との違和感よ。背景がそのままでズレたらそいつ。取りつかれたら血吸われるわよ」
カルラはどんどんヒルを切っていきます。
「気持ち悪くて触るのすら嫌なんですけどね・・・血吸うとかもっと気持ち悪い・・・仕方ないか・・・」
バットで手あたり次第に木に張り付いたヒルたちを叩き潰していきます。
「こういう時に片手で使える剣の方が楽なのよね・・・あ、マナ、奥にある一回り大きい木を見て、たぶんあれがボスよ」
ふと森の奥を見ると、明らかに下手な擬態で立ちすくむ猿が居ました。
「あの奥にいる、木の皮の色をしたからだに、葉っぱ付きの枝を持ってる猿ですよね?」
カルラは切るのが面倒になったのか、ヒルを蹴り飛ばしていました。
「そうね、あれもミラージュ・・・確かN・ミラージュだったわね。擬態が得意で見つかりにくいので伝説のモンスターと言われてるらしいけど・・・大きな木のふりをしてやり過ごしてたのね。遠くから見るから小さいけど、2メートルくらいあるのよ。しかも強いと聞いたわ」
二人で大方のヒルを片付け終わる頃には猿は腕を降ろしていました。
「ふぅ・・・しかしあの猿、腕降ろしましたよ。擬態が得意じゃなくて、擬態が趣味なんじゃないですか?全然近づいてこないし」
干し肉を噛みながら猿を監視します。
「しかし見てごらんなさいよ、あの真剣な顔。絶対にばれていないと思ってるわよ。こっちから仕掛ける?」
カルラも干し肉を齧りながら話をしています。
「大体カルラは一人で突っ込むのに、そういうのは珍しいですね。確かに、一人じゃやばいような気がします・・・・・ドラゴンちゃん達も手伝ってくれますか?」
カバンから這い出て草を齧っていたドラゴンちゃんとアイスちゃんにそう問いかけると、やれやれと言わんばかりの顔でトコトコとこちらに歩いてきました。
「アイスちゃんが手伝ってくれるなら余裕で倒せるかもしれないわね。じゃあ、マナは囮になってもらいましょうか、擬態に気付かないふりをして、通りすがりに不意打ちをしてみて?」
カルラがへらへら笑いながらこちらを見ています。
「それ一発で倒せそうな雰囲気はあるんですけどね、ドラゴンちゃん、頭に乗ってください。行きますよ」
ドラゴンちゃんを頭に乗せ、猿(木)に近付きました。めちゃくちゃ眼球が動いてこちらを追っています。なんという気持ち悪さ。
「ボスはどこにいるんですかね~~、お~い・・・足おったるああああああ!!!」
通り過ぎがてら、少し気合を入れて足をぶち折るスイングをかましてやりました。
「バシッ・・・ギギッ!!ギギギギギギッ!!」
猿は足で器用にこちらの鉄棒を掴み、ギギギと笑い、空いている足でカウンターを仕掛けてきました。
「げっ、やばっ!!」
なんとか両手で蹴りをガードしましたが、あまりの威力で吹き飛ばされてしまいました。
「くぅ・・・まさか障壁張るより早く蹴られるとは・・・いてて・・・くそう、なめやがって・・」
あまりの痛みで体が強張って動けません。鉄棒を自分の横に突き刺し、何もなかったかのように木の擬態に戻っています。
「キュウ~?」
ドラゴンちゃんも頭の上からこちらをのぞき込んでいます。
「ドラゴンちゃんの電撃で弱まっていなければ死んでいたかもしれません・・・不覚です・・・」
ドラゴンちゃんは尻尾で猿の方をちょいちょいと刺していました。
「ああ・・・カルラですね、成る程。あとは任せましょう」
私は少し眠りました。
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「思った以上に強い個体のようね・・・マナは大丈夫かしら・・・」
「キュイキュイ」
カルラはN・ミラージュの左の木陰で待機していた。
マナが殴り掛かり、蹴られた瞬間アイスちゃんに魔法をかけてもらったのだ。
「どうしても探知されるわけにはいかなかったから・・・よし、そろそろ頃合いかしら。我々は惜しい人を亡くしてしまった。敵討ちといこう」
背中の剣を鞘から抜き、音もなく立ち上がる・・・・
「スー・・・・ハー・・・・・、よし、アイスちゃん、空中に足場と剣と手の固定を、本気で行くわよ・・」
「キュイッ!」
アイスちゃんが地面に降り、に空中に足場をいくつか作ってもらい、一気に駆け出す。
猿はこちらを目で追ったがまだ余裕の表情である。カルラが一気に氷の階段を駆け上りジャンプする。
「死にさらせ!!!マナの仇じゃあああああああ!!!!メテオスラアアアアアアアアアッシュ!!!!」
カルラが叫び、舞い上がったカルラが青い光を撒きながら一回転し、急落下した。
「ギギギッ!ギッ!?ギギギギギッッ!!」
N・ミラージュは避けようとしたが足が凍り付いて動けないことに気付いた。
そのため、一瞬カルラへの対応が遅れた。あんなに遠くにいた女が目の前に迫ってきている、おかしい。
N・ミラージュがそう思考を巡らせ、なんとか片腕を上げたが・・・ドゴッ!視界は黒く塗り潰された。
カルラの斬撃がN・ミラージュの片腕を飛ばし、頭部から胴体にかけてを切り裂き、腸付近の筋肉で剣が留められ、両足は膝近くまで地面に埋まっていた。
「うっ・・・」
カルラはN・ミラージュの想像以上の皮膚の硬さと防御障壁、急激な落下の衝撃をもろに利き手に食らってしまっていた。右腕が折れ、数メートル先に横たわっている。
「はぁはぁ・・・くぅ・・・さすがに負担がすごいわね・・・」
てくてくとアイスちゃんがカルラに近付き、折れた腕を氷で覆い固める。
「キュゥー・・・」
とても心配そうな顔でカルラを見上げている。
「綺麗に右腕逝っちゃってるわね。こいつがあまりにも硬いせいよ・・・腕で着地したような衝撃だったわ・・・着地も失敗したせいで体が痛いわ・・・剣の回収は後でしましょ・・・マナの方に行くわよ・・・」
そうカルラが言うと、反対側から「キューキュー」と鳴く声が聞こえた
「か‥カルラですか・・・・しぬぅ・・・・たすけてぇえ・・・・」
小さなミラージュエーゲルがマナのほっぺたに吸い付いており、ドラゴンちゃんが引きはがそうとエーゲルのしっぽを引っ張っていた。
「ははは・・・無事そうで何よりね」
カルラは心底ほっとした様子であった。
N・ミラージュは並の剣士では歯が立ちません。しかもその特殊個体となります。今回はマナの武器との相性や多少の油断がありました。
さて、次回は宝箱探しと休息の回です。




