空腹には勝てない
「はぁ・・・あ、こいつ冒険者タグもってんじゃねぇか・・・なになに・・・マナ・・・?」
ふと想いを巡らせる・・・・
以前同じパーティメンバーだった魔法使いと魔法剣士の二人は性と名前があり、二人とも冒険者ギルドへの登録は名前の方で行っていた。
「しかし・・・思ったやつとは違うのか・・?」
その2人は異世界から召喚されたとのことで、恐ろしく強かった。
そしていつも会話に出てくるのがもう一人の名前、「カナ」であった。どうやら普段から格好つけてるくせによく転ぶドジらしい。
転移門をくぐる時にもこけてしまい、一人だけ別の時間軸に飛んだとのことであった。
特徴は・・・背が高くて、胸が無い・・・長い黒髪とのことであったが・・・
「うーん、背はそこまで高くない・・・黒髪だけど長くもない・・・あとは」
そういい終えると襲撃者改め「マナ」は目が覚めた様子であった。
「き、貴様!!私に何をしようと・・・・!」
あ、いや、ちょっとした確認を・・・
「やめろ、変態!!近寄るな!!」
「ああもう・・・めんどくさいな・・・」
俺は剣を引き抜くと、マナの鎧と上服を全て切り裂いた。鎧だけのつもりだったがつい・・・
「あ、やべ、切りすぎた・・・」
「きゃあああーーー!変態ーーーー!」
マナの叫び声が草原にこだました。
「そういえばお前の名前はなんていうんだ?」
俺は落ち着きを取り戻したマナに名前を聞いてみた。もしかしたらあいつらが捜している人物かもしれないからだ。
「お前に名乗る名はない!!!」
どうやら俺は嫌われてしまったらしい。
「うーん、困ったな・・・迷子の子猫ちゃんじゃあるまい・・・腹減ってんだろ?グーグーずっと腹が鳴ってるぞ
飯食うか?」
「お前にもらう飯は無い!!」
その叫びに呼応するかのように腹の音が大きくなる。
「なかかな強情だね、名前はマナ・・・でいいのかな?」
「なぜそれを!!!!!」
マナは食い気味で驚いた様子だ。
「寝てる間に見せてもらった。間違いなさそうだね・・・」
俺は大きなため息をついた・・・・カナじゃなかったわけで、こうなった以上、この女の子をどうしたものか・・・・
「うーん、君、剣でも習ってみる?」
「お前に教えてもらう剣は無い!!!!」
マナは壁を向きながらぷりぷりしている。
「いいから行こうか。腹減ってるときに悪いけどさ」
俺はひょいとマナを抱え、外に連れ出した。降ろしたマナは逃げる様子もなく、ぷりぷりしながら靴を履いた。
「「剣に生きるものとして、剣に従え」だっけ。北部騎士団の教えだね。」
「なっ、なぜそれを!?」
マナは驚くと同時に少し寂しい顔をしていた。大方退団した後冒険者になったんだろうな・・・そう思うが俺の心に引っかかるものがあった。
「後で教えてやるよ、まず基本的な素振りを見せてみろ。そこに俺の剣がある。その細い方でやってみろ」
「ふん、このような軽い剣・・・!?くっ・・・なんという重さだ・・・」
後半は声が消えかかっていたが、俺は聞いた。
「どうした?俺はほら、もう一本は・・・100キロだったかな?それは半分くらいだぞ。ははははは」
目の前でビュンビュン振り回してやると、マナはやる気になった様子で素振りを始めた。
50・・・51・・・52・・・・
「はぁ”っ・・・はぁ”っ・・・」
マナは死にかけていた、立っているのは気合だけだろう。
「ごじゅうさっ・・・」
うん、倒れた。
「はい、おはよう。二時間寝てたね」
俺はなるべきく優しく接してみようと思って声をかけた
「ふん、この鬼畜め」
前言撤回。
「あの程度で倒れるなんて、情けない剣士様ですね。お腹が鳴りすぎてうるさいんですが」
「うっうるさい!!!・・お前があんなことさせ・・おいししそうな匂いが・・・はっ・・」
マナの焦点が合わなくなってくる、何かに反応しているようだ。
「こっこの匂いは・・・ふるさと・・・山・・・川・・・・」
震え始めた。幻覚でも見ているのだろうか。
「ふるさとが何かわからんが、みそ汁というものだな」
俺がそういうと、食いつくようにマナが言った。
「師匠と呼ばせていただきます」
俺は大きなため息をついた。




