剣を作ろう②二人だけのデザインコンペ
「主都も久しぶりですね・・・のんびり来たので1日近くかかってしまいました」
私は首都の衛兵の前で一息つきました。この都は城壁は無く、水で外周が覆われており橋が架かっています。水はきれいな透明ですが、どうやら魔法がかけられており、勝手に入ろうと水に入ると凍るという訳の分からない仕組みになっているそうです。
衛兵の前に行き冒険者証を見せると
「マナ・・・フェンフ冒険者か・・・通れ」
クールな衛兵さんです。
橋は都周辺に8つかかっており、跳ね上げ式になっています。等級まで読み上げるとは真面目な衛兵だと思いました。
この冒険者の等級は10段階あり、ドイツ語で表記され0等級からスタートします。
私の等級はまぁそこそこの腕と言われるレベルではあります。カルラは7等級だとか・・・あえてドイツ語なのがかっこいですよね。きっとこの階級はセンスのいい人が作ったに違いないです!
都に入ると、まずは近衛兵宿舎に向かいます。大通りの突き当りが議場であり、その傍に宿舎があります。
「あら、マナじゃない。どうしたの?」
宿舎前で入る手続きをするため、冒険者証を見せていると、後ろからカルラが声をかけてきました。
普段目にしない鎧と大剣を携えたカルラ・・・悪くないですねぐふふ・・・
「ぐふふ・・・あ・・・いえ、師匠から議長あてに手紙を預かっているのです、渡しておいてくれませんか?」
カルラに手紙を渡します。今回の手紙はとても薄っぺらいものでした。
「この間も議長に手紙を渡したのだけれども・・・あの時みたいに泣きついてこられないといいのですが・・・」
カルラは苦笑してこちらをみました。
「カルラも大変ですね。それはそうと、今日は何時頃仕事が終わりますか?お話ししたいことがたくさんあるので、会いましょう!!それと、ヤンさんとエンデさんは元気にしてるかって師匠が言ってました」
覚えることが多くて大変なのでちょっと早口になってしまいました。
「え、ええ、元気してるわよ。そうね・・・後で会いましょう。宿はどこにするのかしら?」
「今回はミナガルドにしようと思っています。語呂がいいですからねみんなのガルド、ミナガルド」
都でも一番大きな宿で、冒険者向けなので質素であるが部屋も広く、そして何より安い・・・懐の寒い私にはぴったりの宿なのです。
「そんな由来だったの・・・?じゃあ、今日の夕方にお邪魔するわね」
カルラはこちらに手を振り奥へと消えていきました。
ふむ・・・カルラの佇まいは暗黒騎士・・・・
「こんにちは~パーティ用の部屋を一つお願いします」
私はミナガルドにつき、カウンターでそう伝えました。
「おや、一人なのにパーティー用でいいのかい?」
おばちゃんが困惑してこちらを見ています。
「はい、カルラさんが後で訪れる予定ですので、通してあげてください」
おばちゃんにそう言うと笑顔で
「あ~はいはい、カルラさんの知り合いなら喜んで!はい、部屋の鍵だよ」
と返してくれました。
この都ではカルラの名前を出せば、どこでも待遇が良くなるのを私は知っている・・・・!
私は二階に上がり、部屋に入ると鍵を閉め、持ってきていた数枚の紙を床に広げ
「ぐふふふ・・・カルラ・・・いつでもやってくるといいのですよ・・・・」
部屋の隅っこで三角座りで待つことにしました。
カルラがやってきたのはそれから2時間後でした。お尻が痛くなりました。
コンコンとノックのする音
「マナ、来たわよ、話ってなぁに?」
鍵を開けてカルラを中に入れてまた鍵を掛けました。
「良く来ましたねカルラじつは今日は・・・ウェポンたちの設計図(見た目)を打ち合わせにきたのですよ!!!」
ドドーンとカルラに書いてきた絵を披露しました。
「あはははは、そうだったのね。いっぱい作ってくれたんだ。ありがとうね?」
カルラはクスクスと笑いました。くっ・・・美人です・・・・!
「尻が痛くなるまで座ったかいがありました。それで・・・カルラの剣なのですが、こちらが一番のおすすめです。刀身が半透明の両刃なので、真ん中に青い部分を入れて・・・手元はハンドガードを外に伸ばした感じです。刀身の根本にはサファイアあたりを埋め込みましょう・・・いかがですか」
少し笑みが漏れてしまいました。
「う~~~~~ん、なかなか心に響くデザインね。こっちもなかなかのものね。これはどういう意図があるのかしら?」
カルラはもう一枚の方に目を落としました、こちらに気づくとはお目が高い・・・
「ふふ、こちらは普段カルラが使っている騎士剣をベースに、私の知っている剣を融合させてみました。あえて世界樹の柄をそのままにし、まだら状に水色と透明を配置するのです。少し邪悪さを演出するためにハンドガードは茨のモチーフを取り入れてみました」
また少し笑みが出てしまいました。
「あなたニヤニヤしすぎでしょう・・・・こちらもなかなかいいわね。今のところ・・・最初のに心惹かれるわ。もう一枚の方はどうなのかしら?」
カルラ用には3枚デザインを起こしてきているので、最後の説明に入ります。
「こちらは・・・ちょっと邪悪な感じを出してみました。私の土地では聖戦というモノがあり、ラグナロクというものがあって・・・それはおいといて、刀身は深い青で、ハンドガード部分には黒鉄を使い、剣の根本にはクモをあしらってみました」
最後のは私の趣味なので、お披露目する予定はなかったのですが、鞄から落ちてしまったようです。
「へぇ、難しい話も知ってるのね・・・悪くはないけど、むしろ一番好きまであるわ。でも・・・私のイメージがあるわよね~。やっぱり最初のがいいわね」
カルラは最初のデザインが気に入った様子。よかったです。
「後の数枚はマナのデザインね。マナは片刃なの?」
カルラが散らばったデザイン稿をきっちりと並べてくれました。
「そうですね・・・私二刀流の方が得意みたいで、二つも作らないといけないんですよね~、対にするかあえて非対称とするか・・・一本は刀身が黄色くなると思うので・・・やっぱり刀かなぁ・・・これは魔力注入の時に波紋が光るイメージです」
カルラに対の刀のデザインを渡しました。
「いいわね~~、黒の刀身に波紋を電撃状にあしらっているのね。そしてグリップ部分は赤と黒で・・・鞘も雷撃が走ったイメージなのね。いいじゃない。渋いわよ・・・」
カルラはいたくお気に入りのようです。
「もう一つ、こちらは非対称のイメージにございます。右手の直剣はシンプルですが、あえて両刃にして透明のままにしておきます。魔法発動の時のみ刀身を黄色く光らせて・・・本当は赤がいいのですが・・・光らせて本気度をアピールです。鞘は青と金色で、黒の布を雑に巻きます・・・左手の剣は片刃の刀身を手まで伸ばしハンドガード状にしてあり、トリガーをつけています。手前部分の羽っぽいのはタンクで魔力を貯蔵して、突き刺し、刀身から魔力を放出して内部からドカン。です」
そう説明すると、カルラは食い入るように見ていました。
「くっ・・・・こっちもいいわね・・・・ちなみに、名前は決めているのかしら・・・?」
カルラはさも当然のようにこちらをニヤニヤとした笑顔で見てきます。
「総じてドラゴンウェポン。カルラの剣はアイスコフィン・・またの名を氷龍剣。氷のドラゴンを封じる棺桶と言ったところですね」
カルラはごくりと唾を飲んだ。
「私のは、刀は黒刀「迅雷・劫火」、剣の方は右手がライトニングゼーゲ・・・降雷剣・・左手がシュプレゲンシュヴァー・・・爆裂剣・・・・ぐふふ」
「なんというセンス・・・恐ろしい子だわ・・・・そのまま採用と致します」
カルラは深々と頭を垂れました。大切な何かを伝え忘れているような気がしましたが、気分がいいので良しとします。
「ふふふ、くるしゅうないぞ。では夕食に参ろうぞ。無論お主の奢りじゃ」
今日もカルラにたかります。
「はいはい、しかたないわね~」
いつもの笑顔で快諾してくれました・・・カルラは優しいお姉さんです。
更新の頻度が落ちましたね・・・なぜかと言うと武器名を2日考えてました。
とっても中二な名前を捻り出せたと思います。もう悔いはねぇ・・・ダス・イスト・アレス!
次回からダンジョン攻略に入っていきます。




