議長からの手紙
「さて・・・とそろそろ食材を買って帰ろうか。カルラ、今日は何か用事があってきたのかい?」
女子の会話が一段落したのを見計らって俺はカルラに声をかけた。
ドラゴン達は話を聞き飽きたのか、草の上で「キュイー」と言いながら魔法をぶつけ合っている。
「はい、今日は議長から親書を預かってきています。剣を見に来る喜びで忘れてしまっていました。すいません・・・」
カルラは申し訳なさそうに手紙をこちらに手渡した。
マナはボケーっとこっちの方を見ているだけで何も話さない。
「内容は大方予想できるものだからね、先日久しぶりにあいつに手紙を出したんだ。ま、カルラも楽しみにしているといいよ。では、買い物に行こう。ライアンさん。また来るからよろしくお願いします」
俺はライアンさんに手を振り、鍛冶屋を後にした。
「いいことを思いつきました。カルラ、今日は甘いものが食べたいです。奢ってください!」
歩いていると急にマナがシャキッとした顔で話し始めた。どうやらお腹がすいていた様だ。
「またですか・・・・あなた・・・仕方ないですね・・・おいしいパンケーキ屋さんがあるので行きましょう。師匠はどうしますか?」
マナがまたカルラにたかっている。カルラもまんざらでもない様子だ。
「俺は先に帰るよ。手紙も読みたいし、では食材の方も頼んでいいかな?お金は渡しておくよ」
俺はマナに食材費を手渡す。
「師匠はいつも必要なお金以外くれないんですよ!クエストも受けさせてくれないし・・・カルラが居てくれて私は幸せですよ~~」
マナがカルラの腕にすがりついている。
「はいはい・・・では師匠、また夕方には帰ると思いますので、行ってきます」
と言い二人は走り去っていった。
近くの露店で肉の串焼きを買っていると
「「キュイー・・・・」」
ドラゴン達がのそのそと近づいてき、こちらを見上げた。
「ああ・・君達・・・そういえば鍛冶屋に置いてきてしまっていたね・・・一緒に帰ろうか」
「「キュイー!」」
そう鳴くと俺の頭にしがみついた。
「ハジメ様にしてはおかしものを頭に乗せてらっしゃる・・・あれは誰だ・・・ヒソヒソ」
好奇の目に晒されながら俺は帰った。
自宅に戻り、俺は議長からの手紙を開けた。
「みんなの勇者クルトより
やぁハジメ、君が居なくなって何年になるだろう。あの時は楽しかったね!また飲みに行こうじゃないか!
それはそうと、僕は今楽しく議長をさせてもらっている、君が変わってくれないかな?とても楽しいよ!
みんないい人ばかりで首を跳ねたくなる!僕の腕じゃ返り討ちが関の山だけどね!
先日こちらに手紙を送ってくれたけど、カルちゃんを旅に出せたいんだって?オッケーさ!
ハジメのおかげで後任の二人がとてつもなく強く・・・僕でも勝てないよあれは!才能って怖いね!
なのであの二人に団長と副団長をしてもらおうかと思っている。
どうせ再編しないと周辺諸国に侵略されて終わるからね!
カルちゃんの解任は来年の春を予定しているよ!
追記:あの二人が居なくなったお陰で死にそうです。助けてくださいお願いします。」
と書いてあった・・・元気そうで何よりである。最後の一行は無視することにしよう。
ドラゴン達が不思議そうに手紙を覗いていたので、声を出して読んであげた。理解できたのか
「キュイッ!キュイッ!」
とアイスちゃんはドラゴンちゃんに抱き着いて喜んでいる様子であった。
「ただいま帰りました」
「ただいまーー」
マナとカルラが夕暮れになって帰ってきた。どうやらお店でパンケーキを食べた後、買い物をしたときにおかしなものを見つけ、遊んできたとのことであった。
「あ、ドラゴンちゃんとアイスちゃん、師匠ありがとうございました。師匠を見つけて連れて帰ってもらうよう指示を出しておいたんですよ」
マナがケラケラと笑う。先に言っておいてくれ・・・・
「それで、議長からの手紙はなんと?」
カルラが食材を置き、こちらに近付いてくる。
「ああ、君の解任は来年の春頃になりそうかな。例年の異動に合わせてだろうね」
カルラはあまり驚いていない様子で
「そうなのですね、議長は秘密というものがありませんからね・・・時折しょぼんとした顔で訓練場にきてはだらだら喋って帰っていくのですが、冗談かと思いましたが、本気のようですね」
カルラはこちらを見て微笑んだ。美人だ。
「マナ、来年の春で私も近衛団を辞めることになります。そこからはここにお邪魔するわね」
今度はマナの方を振り向いて微笑んだ。
マナはそっぽを向きながら
「えー、無職ですか?奢ってもらえなくなるじゃないですか。ヤダー」
と言いながらも顔はニヤついていた。
勇者クルト・・・パーティーのバフ係でした。基本はパーティの後ろで盾を構えて指示を出します。
剣はからっきしで、ヤンとエンデに秒殺されるレベルです。ちなみにこの二人もとても強くなっています。




