修行⑥近衛兵をいじめよう!
「「おはようございます、師匠」」
「・・・・・・」
弟子の起きるのが早いせいか、朝のティータイムを三人で楽しむこととなった。
しかし、二人はずっと喋っているので、俺の安息は無いのだ。
「昨日の体力勝負は私の勝ちでしたね、最後のマナは情けないものです。地べたに這いつくばってこちらに手を伸ばす姿ときたら・・・ふふふ」
優雅にお茶を飲むカルラ。お茶を持つ手がカタカタ震えている。
「ふん・・・走りは私が負けたけど、その後の腕立てで地面に這いつくばって涎を垂らしてたのはどちら様かしら・・・・ふふふふふ」
優雅にお茶を飲むマナ。足がカタカタ震えている。
「「フン」」
「・・・仲が良いのは良いことだ・・・はぁ・・・」
両隣で美女に挟まれ、俺は頭が痛くなった。
「おはようございます。皆さん」
ヤンとエンデがテントから出てきた。身なりはきちんとしており、俺たちが起きてくるのを待っていた様子である。
「おはよう、朝ごはんは食べたみたいだね、軽く走ってから打ち合いをしようか」
「「今日はまけないわよ!!」」
マナとカルラは既に走り出している。
「僕たちも行こうか・・・」
「だね・・・」
エンデが呆れ、ヤンが同意する。
「はい、ではこれから順番に打ち合いをします。まず重剣から・・・マナとカルラは小枝使ってね、ヤンとエンデは自分の剣を使って」
そう促すとマナがこちらに近寄り
「師匠、この小枝・・・?木刀・・・?なんか小さくなれって思えってカルラに言われて念じたら、なんかまた枝になったんですけど、きもすぎでしょこれ、捨てていいですか」
心なしか、小枝がさらに小さくなった気がした・・・
「それは大事な小枝だからね、また説明するけど大事にしてあげて、ほら、しょんぼりしている」
枝から生えた葉っぱを指さすと本当にしょんぼりしていた。そんな機能があったのか・・・
「本当だ、しおれてる。仕方ないですね・・・独り立ちするまで使ってあげますよ。やれやれ」
マナはそういうとヤンの前に立つ。
「ではまずヤンとエンデが打ち込んでみろ」
「「はい!」」
二人が返事をすると、上段に構える。
「「せやっ!」
同時に振り下ろす。
ペチッっという音がマナとカルラの枝から発せられる。
「うーん、気迫はなかなかのものですな、しかし重心のかけ方が未熟なり」
マナがヤンの方をニヤニヤしながら見ている
「そうですね、重心とタイミングがずれていますね」
カルラはエンデにわかりやすく説明している。
「そうだね、二人の指摘通りだ。では反対、今度はヤンとエンデが受けだ、始め」
何故かマナが受けの言葉に反応している「ぐふふ・・・」と前の男子を見ながら笑顔になった。
マナとカルラが同時に構え、小枝を振り下ろす。
「「しねやおりゃああああああああ!!!!!」」
ドガァ!!!
ヤンとエンデはなんとか剣で受け止めたが、衝撃が足に残った様子で、膝をついている。
女性二人は虫けらを見るような顔で男性二人を見下ろしている。
「腰が入っていませんね、腰ですよ腰」
カルラが腰をくねくねさせている。
「膝ですよ膝、膝が弱のよ!!」
マナが自分の膝をぺしぺし叩いている。
「そうだね、受け流しは基礎ができていると思うけど、直接の衝撃を受ける攻撃、今みたいなのは地面に衝撃を受け流すことが必要だね。その時は腕、身体、足と順番を意識しながら力を分散させる必要があるね」
俺が説明するとヤンとエンデはうんうんとうなずき、立ち上がった。あの打撃を受けて立ち上がれるのもたいしたものだ。
「くへへ、獲物が立ち上がりましたよカルラさん・・」
「ふふふ・・・人をいたぶるのは楽しいわねマナさん・・・」
二人が涎を垂らしながら男性陣を見ている。
「ま、まぁ、本当に死にそうだったら止めるから安心して・・・」
俺は近衛男子人を見る
「頑張ります・・・これでもエリートなので!」
エンデが気合いを入れなおす。
「自分もです、やってやりますよ!」
ヤンも柄になく厚くなっている様子。
「はい、では入れ替わりながら交代で、はじめ!」
「はぁ(ドガァン)・・・、一人のティータイム(ドカァン)がこんな(ペチッ)に恋しいとは(ドガァン)・・」
「師匠、動かなくなりました」
マナがエンデを引きずって報告に来た。
「師匠、これもだめです」
カルラもヤンを引きずってきた。
小枝で叩かれたとは思えないボロボロ具合である。
「ふむ、一時間か・・・よく頑張った方だね。休ませてあげよう。意識飛んじゃってるじゃん・・・二人は昼食の準備をしてくれるかい?」
「「はーい」」
二人はおとなしく従ってくれた、上機嫌なのはきっと人をボロ雑巾にしたからだろう。
「小枝なのに・・・・くそぅ・・・」
「茶髪・・・黒髪・・・ヒィ・・・・・」
エンデとヤンはうなされながら眠っていた。




