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ワイマール共和国における共産党(KPD)の政権掌握過程(1919~1933)

第1期:敗戦と革命の余波(1918〜1923)

1. キール軍港の反乱とドイツ革命(史実と同じ)

• 1918年11月、キールで水兵が反乱。革命が全国に波及。

• 皇帝ヴィルヘルム2世はオランダへ亡命。

• 社会民主党(SPD)のフリードリヒ・エーベルトが臨時政府を樹立。

• 同時に、急進左派(スパルタクス団=リープクネヒト、ローザ・ルクセンブルク)が武

装蜂起。

→ 史実ではSPDが反乱を鎮圧し、左派は壊滅。

だがこの世界では、右翼の結集力ナチスが欠如しており、

社会の反共的エネルギーが弱いため、蜂起はより長期化。

2. 1919年「ベルリン人民政府」樹立(史実より成功)

• ルクセンブルク派がベルリン市の労働評議会を実質掌握。

SPD右派政府エーベルトはヴァイマルへ避難。

• 「二つのドイツ政府」が並立する形となる。

3. 1920年、カップ一揆(右翼クーデター)が失敗

• 史実通り、右派軍人が反乱を起こすが、今回はヒトラー不在で民衆支持ゼロ。

• 労働者ゼネストにより鎮圧され、逆に左派が勢力を拡大。

• 共産党(KPD)はこの時期に議会に合法政党として台頭。

4. 経済混乱と「赤色ルール地方共和国」

• ルール地方・ザクセン・ハンブルクなどで労働者評議会が実権を握る。

• 史実では短命だったが、この世界では5年以上持続。

• 「赤色地帯」としてドイツ国内に小規模ソビエト圏が存在する。

---

第2期:インフレ危機と左右対立の激化(1924〜1929)

1. 経済政策の不統一

• SPDはヴァイマル政府として中道的な安定政策を模索。

• しかしハイパーインフレで中産階級が没落。

• ナチ党不在のため、右派が統一軸を失う。

→ 保守層は軍・カトリック政党ツェントルムに分散。

2. 共産党が「民衆の党」として成長

• KPDはソ連から資金援助を受け、労働者救済と食料配給で支持を拡大。

• プロパガンダで「赤色ルールは飢えを知らない」と宣伝。

• 1928年選挙:KPDが全ドイツで第2党に浮上(得票25%)。

SPDとの協力で議会多数を取る勢いに。

3. ソ連との接近(ラパロ条約強化)

• 史実のラパロ条約(1922)は継続し、さらに深化。

• 1927年には「独ソ産業協定」が締結され、経済的に連結。

• 西側(特にフランス・英国)はこれを「赤化ドイツ化」と非難。

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第3期:世界恐慌と赤化の決定打(1930〜1933)

1. 1929年:ウォール街崩壊 → ドイツ経済の崩壊

• 史実同様、アメリカ資本に依存していたドイツ経済が瓦解。

• 失業率40%を突破。都市部で食料暴動が発生。

• 右派の求心力がないため、民衆は左翼運動へ流れる。

2. SPDの分裂とKPDの台頭

• SPD内で「穏健派」と「急進左派」が対立。

• 1931年、「社会主義統一委員会」が設立され、SPD左派がKPDに合流。

• 新たな**統一社会主義党(USPD改組型KPD)**が形成される。

3. 1932年選挙:KPDが第一党に

• 国会選挙でKPDが38%を獲得、SPDを抜いて最大勢力に。

• 保守派は分裂(ツェントルム、国家人民党、モンツェラー軍閥など)。

• 連立交渉は不調に終わり、1933年3月、国会多数派によりエルンスト・テールマン首相

が誕生。

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1933年:ドイツ社会主義共和国の成立

• 新政府は「人民戦線内閣」を名目に、実質的な共産党主導の非常政権を樹立。

• 軍部の一部(特に若手士官)がクーデターを試みるが、労働者民兵が鎮圧。

• 緊急法により議会を解散、「ドイツ社会主義共和国」(Deutsche Sozialistische

Republik, DSR)を宣言。

• 大統領制度廃止、計画経済・労働者評議会制度を採用。

「ドイツは再び一つの大義のもとに立ち上がった。

今度は鉄と血の帝国ではなく、労働者の共和国として。」

1934年、ベルリンに「ドイツ・ソビエト友好条約」が結ばれ、

独ソ両国は欧州赤化同盟(Bündnis der Volksrepubliken Europas)を創設。

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結果:欧州の力の均衡が一変

勢力 主要国 備考

掌握

勢力として対抗

共産主義陣営 ソ連、ドイツ、スペイン(後年)、ハンガリー、チェコ 欧州大陸の大半を

自由主義陣営 英国、フランス(分裂)、イタリア(中立的王政)、日本、アメリカ 海洋

中立・緩衝地帯 スカンディナヴィア、スイス、オーストリア 経済的中立圏を形成

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まとめ:ナチス不在のドイツは「もう一つの赤い巨人」と化す

• 右翼の求心力を失ったドイツ社会は、

経済危機と失業を背景に左翼的救済思想へ大転換。

• ヒトラーという“統一軸”の喪失が、

逆に「共産主義による統一軸」をもたらした。

かくして、1933年――

史実ではヒトラーが権力を握った年、

この世界ではエルンスト・テールマンがヨーロッパを赤く染め始めた。

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