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プロローグ
僕は今、玄関の前で固まっていた。冬の寒さのせいではない。目の前の子どものせいだ。
こんな時間に、子供が1人。
なぜここに?どこから来た?
色々疑問は浮かび上がってくるのに、言葉が出ない。
目の前に佇むちいさな男の子。
その頭には、狼のような耳が二つ。さらに、体よりも大きいしっぽがゆらりと揺れていた。
満月の夜だからって、ほんとの狼がでてくるなんて聞いてない。
言葉の出ない俺をよそに、その小狼はくあっと大口を開けてあくびをした。なんと呑気な………
身構えていた体がふっと解けた。
「ねえ君、どこからきたの?」
言葉が通じるかもわからないけど、とりあえずそう尋ねてみる。
ぱち、ぱち……ぱち。3回目のまばたきののち、彼は口を開いた。
「やま!」




