表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/17

第一章:異世界願望者、現る! 〜 死にたい、じゃない。異世界に行きたいだけなんだ。〜


その男子高校生は、午後2時54分、都内のとある駅ホームで身を投げようとしていた。

制服のポケットには折りたたまれたA4のプリントが入っており、そこには黒いボールペンで、こう記されていた。


《お願い。俺を異世界に転生させてください。魔法が使える世界で、できれば最強系の能力希望です。

ハーレムとか、ステータス画面とか、できればお願いします。

現実に希望はありません。》


……もう、何人目だよ。


霊魂管理庁・東京第三支部。監視室No.3。

俺──

五十嵐悠翔 (いがらし・ゆうと)は、カップラーメンをすすっていた箸を止め、深く溜息をついた。


「観測チーム、詳細確認。生死ラインは……?」


「ボーダーライン上です。放置すれば十中八九、転落死です。魂、分離準備中」


「転生願望レベルは?」


「Cランク。逃避型・妄想依存系ですね」


「……よし。阻止する」


ラーメンの残りに未練を残しつつ、俺はデスクに置かれた黒いケースを手に取る。

ケースの蓋を開けると、中には細身の金属製デバイス──《転生阻止印ソウルリジェクター》が収まっていた。


こいつは魂に直接干渉する専用装備。転生寸前の魂を“現世”へ強制的に引き戻すことができる。


「転生申請、非承認。生還処理、開始」


俺は立ち上がり、胸ポケットに阻止印を差し込みながら、イヤホンを耳にねじ込む。


「行くぞ、“願望者”くん。お前の現実、まだ終わってねぇんだよ」


次の瞬間、俺の意識は空間を跳ねた。

目的地は──

駅ホームの“死と異世界”の境界線。

そこに、願望者がいる。


……そして、それを阻止するのが俺の仕事だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ