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プロローグ 〜異世界転生を阻止せよ!〜
主人公紹介
五十嵐 悠翔
霊魂管理庁・転生阻止課に所属する“転生阻止官”。22歳。
過去に「理不尽な死」を経験しかけたことがあり、「逃げとしての転生」を徹底的に否定している。冷徹に見えるが、実は誰より人間の可能性を信じている理想主義者。
「……あーあ。また出たよ、異世界行きたい系男子」
監視室のモニターに映し出されたのは、電車のホームでフラつく高校生男子。
遺書らしきメモには、こう書かれていた。
「チートスキルが欲しい」「現実がクソ」「生まれ変わってハーレム作りたい」──。
「希望者ランク:C。処理対象」
五十嵐悠翔は、静かに立ち上がると、黒いスーツの胸元から《転生阻止印》を取り出す。
「悪いけど、今世から逃げるのは許可できない」
数分後、男子高校生は何事もなかったように無事保護され、異世界行きはキャンセルされた。
これは、転生願望者が消えない限り終わらない、「生きること」への説得の記録である。