【なんて書いたでしょーかゲーム】
前回の次の日
太陽が12時の仕事を終えた夕方頃の教師。
夕日の光が左奥の席を照らしていた。
「いや、だからこれじゃー平方完成できてないよ」
『だってさっきの最大値の説明分かんなかったんだもんー』
「それはまた別の話だっつーの…」
学校が終わり、放課後の静まった教室の隅で、勉強会が行われていた。ただ、まだ勉強らしい勉強ができていなかった。
「ここまで勉強に付き合って分かったことがあります」
『?』
「前田さんは圧倒的に基礎知識が足りていません」
『えー?!そうー?』
「じゃールートの意味は?」
『えーと…カッコでくくる的な?』
「そーいうとこですよ」
そこから、1時間ほど基礎知識の説明をするも、理解したとは思えない状況だった。
『ねぇー分かんないー』
「僕の教え方が原因ですね多分…」
『じゃあーさー』
(心の声)((否定しないのかよ))
『息抜きにゲームしよーよ〜』
「ゲーム?何のゲームかにもよりますねー」
『何を書いたでしょーかゲームしよ!』
前田さんが提案したゲームは、要するに相手の背中に文字を書いて、それを当てられたら勝ちというゲームである。
『じゃ!私が最初に書く役するね!』
「え、ちょ…」
前田さんの指が背中に当たる。青春の風にあたるの如く優しい感触がする…はずもなく、とにかく痛かった。昨日木の上から川に落ちたために背中がとにかく痛かった。その上で前田さんが何て書いてるかなんて分かるはずない。
ひとしきり書き終えたらしい前田さん
『よしっ!なんて書いたでしょーか!』
「…分かんないです…」
『えー分かんないの?』
流石に昨日の事が原因で背中が痛くて分かんないなんて言えず、普通に分からなかったことにした。
『じゃーもっと分かりやすくしてあげるー』
そう言って前田さんは僕の右手をサッと掴んだ。前田さんの細くて綺麗な指が手全体に触れる。ひんやり冷たい。喉が冷たさでキュッと閉まる。
手に文字を書く前田さんの顔が視線に入り、目のやり場に困る。今度は別の意味で答えが分からなかった後谷だった。
ちなみにクイズの答えは「すきやき」だったらしいです