表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚でわかる魔法工学  作者: M. Chikafuji
Chapter 3 僕の場合
29/56

3.10 Wallpaper group:pmm 壁紙群pmm

本項には図表があるため、挿絵表示ONを推奨します。



 壊滅(かいめつ)していたゴブリンの巣まで進むと、ダンジョンが出現していた。報告は無かったから新規ダンジョンだ。何かの影響で魔力場が歪んだ場所に入口ができたんだろう。



「やっぱりダンジョンか。あれだけのモンスターが地上に隠れてたなんて考えにくいもんな」


「ダンジョンって、こんな広場だったっけ? 前のは迷路みたいだったのだ」


「これは、いわゆるモンスターフロアってやつだね」



 モンスターフロアは、その名の通り非常に多くのモンスターが出現する階層で、広大な空間からなるものを指す。

 仮に浅層であったとしても、階層数から想定されるより強いモンスターが出現するため、数的も質的にも苦戦を強いられることが探索での注意点だ。



「あいにく、モンスターは出払ってるみたいだ」


「残党も討伐しておこうか」


 そして今、残っていたモンスターも全て暗転に飲まれた所だ。僕のパートナーが頼もしすぎる。


「まったく、広いだけでわくわくしないダンジョンなのだ。ルーちゃん、これ最後までいくの?」


「いや、この階層の階段を調べたら終わりにするよ。ラトちゃんの言う通り、大部屋1つで面白い所がないな」



 ダンジョンの階層と階層の間を繋ぐ階段は、ダンジョンを構成する魔力を反映した特殊な構造物だ。僕たちは、階段に表れる模様のパターンを調べることで、ダンジョン全体の性質を知ることができる


 ダンジョンの階段に現れる2次元の模様に対し、直線的に移動させたり、回転させたり、鏡写(かがみうつ)しにしたりする操作を行い、模様の重なり方を調べる。


 この重なり方を分類すると、完全に重なるパターンは17種類+αになる。αの時は、神などによる超自然的魔力が影響したダンジョンだと分類できる。


「このダンジョンの壁紙群は、pmmか」


「ぴーえむえむ?」


「こういう模様のことだよ」


 分析機器に接続した魔力板を見せる。

挿絵(By みてみん)

「きれいな模様だけれど、青い窓はなんなのだ?」


「えっと、ちょっと難しいんだけど、全体の模様は、あの青い部分の繰り返しで表現できるんだよ」



 今回の模様を例にして、壁紙群pmmの説明を試みる。まずは図の青枠の部分を拡大してみよう


挿絵(By みてみん)


 窓の中の旗は、図形の向きを表している。まず、青枠内の図形について、大きさを変えずに、ぴったり重ねる方法、対称(Symmetry o)操作(peration)を集める。


 左上の枠を基準に考えて、横方向に鏡写しにすると、右上の枠に重なる。同様に、縦方向に鏡写しにすると、左下に重なる。さらに、青枠を180度、ぐるっと半回転させると、右下に重なる。これは他の枠を基準に考えても、全て成立する。


 この窓を単位構造とすると、繰り返しによって全体の模様が作れる。そして、全体の模様でも単位構造と同じように、横の鏡写し、縦の鏡写し、半回転で元の模様にぴったり重なることがわかる。


挿絵(By みてみん)


 壁紙(Wallpaper)( group)pmmは、以上の3つの対称操作で図形が重ねられるパターンだ。この3つに、「何もしない」という対称操作を加えた、4つの対称操作に名前を付けて、以下のようにする。


横方向の鏡写し:σh

縦方向の鏡写し:σv

180度回転:C₂

何もしない:E


 とにかく、4つの対称(Symmetry o)操作(peration)、重ねられる操作があるパターンなのだ。


 次に、4つある操作について、操作を組み合わせたらどうなるかを考えてみる。組み合わせって何をすればいいかというと、単に操作を連続して行うことだ。


 例えば、左上の青枠に対して、横方向の鏡写し(σh)を行った後に、続けて縦方向の鏡写し(σv)をする。そうすると、左上の青枠は、右下に重なる。左上の青枠が右下に移る操作は、青枠を180度回転させる操作(C₂)と同じだ。


挿絵(By みてみん)


 横と縦の鏡写しを組み合わせた変換は、180度回転と同じ結果になる。術理院ではσhとσvの積と表現し、以下のように記述する。


σh・σv = C₂

σv・σh = C₂


 このように全部の組み合わせを調べると、次のような表が作れる。模様のパターンに対してこういう表を作ってみて、同じ表が作れたら、それらの模様は同じ壁紙群に分類できる。


挿絵(By みてみん)


 僕の説明に目をぐるぐるさせるラトちゃん。



「あうぅ、何がわからんのか分からないのだ~」


「とにかく、この群の指標表を作ると、いろんな分類ができるようになって便利なんだよ」



 屈んで解析機器を立ち下げる僕の背中にラトちゃんが乗っかり、肩越しにどこまでも深く深い青の香りがくすぐった。



「ルーちゃんが精神にぼくを入れてくれたら分かるのにな」


「その魔法は可逆だ。あるいは、ラトちゃんの精神に僕が入ることになるな」


「むぅぅ、それだと発狂しちゃうかも…」


「そうならないためにも、ラトちゃん自身が理解してくれたら嬉しいよ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ