初めての友達
仕事の関係上、更新は不定期です。
昼休み、ボッチである僕は
いつも中庭の角にあるベンチで、1人昼食を食べる
先日2曲目が完成し、あとは収録のみの状態となっていた為
現在は3曲目の構想をボッチ飯しながら考えていた
1曲目も2曲目もバラードな為
3曲目は詩にそって曲調を変えたいと思い、現在に至る
(うん!いい歌詞が浮かんだぞメモメモっと……)
フレーズが浮かんだらメモをして、また昼食を再開していた時
不意に後ろから声がした。
「自分、なかなか良い詩書くやないか!」
「ひぃ!? だ、誰ですかっ!!」
「ああ、ゴメンゴメン。なんか集中してたから、邪魔したら悪いおもて黙ってみてたわ〜。ウチは1年3組の此花 由香ちゅーねん、よろしくな♪」
此花 由香
高校1年生 身長160㎝
関西弁を使いグイグイくるタイプ
部活は帰宅部で
本人も知らないが学園美少女10傑に入っている。
「あ、はい。僕は時鳥恵です。ってゆうか勝手に見ないでください!」
「そない怒らんといてーな。ウチらもう友達やねんから、ちょっとだけ見せてくれへん?」
「え? と、友達じゃないです。」
「えぇ!酷いわぁ。ウチとは遊びやったんやな……しくしく。チラッ」
「遊びってなんですか、遊んでないですよっ!!あと、バレバレの泣き真似やめてください………。」
「ええツッコミするやん!なあ、ウチとコンビ組んで世界目指さへんか?」
(世界というか日本は席巻してますけど………)
「お断りします。」
「振られた〜。振った男は数知れず振られたことないウチを振るとは、あんたなかなかのチャラ男やなぁ」
「もう疲れたんでツッコミませんよ。じゃあ、僕はもう行きますね。」
「そっか、けいちんまたな〜!」
(けいちんって…また来る気なのかな……。 場所変えよ。)
次の日、屋上
(ここなら大丈夫かな………)
「けいちん、こっちこっち!」「なんでいるのっ!?」
次の日、校舎裏
(流石にここまでは………)
「けいちんのお弁当美味しそうやなぁ〜」「どっから湧いてきたのっ!?」
次の日、男子トイレ
(まさか便所飯する事になるとは…………)
ドンドンドンッ
「けいちん、はよ出てきてウチ漏れそうやねん。」
「女子トイレ行ってよっ!?」
男子トイレを出た僕たちは、中庭で昼食を取る
「なんでそんなに僕に執着するんですか?」
「友達やからに決まってるやん!」
「友達になった覚えはないです。」
「この前から友達やん、詩書いてたやろ【君の髪に触れt…「わかった!分かりましたから。詩を朗読しないで!」……わかればええねん。」
「でも、僕と友達になっても何も良い事ないよ。」
「良い事? そんなん期待してへん、友達に良いも悪いもないわ。友達はフィーリングっちゅうやつやろ。」
「はあ、分かったよ。まったく。」
「じゃあ、改めてよろしく。けいちん♪」
「此花さんよろしく!」
「《《ゆか》》でええよ。苗字で呼んだら詩を朗読……」
「分かった分かったよ!! ゆ……ゆか…ちゃん。」
「ちゃん付けかぁ。それで勘弁してあげるわ!」
(妙な友達ができちゃったな。でも初めて友達できたからちょっと嬉しいかも。)
放課後、1年2組教室
「けいちん、いるかー?」
「「「此花さん!?」」」
「けいちん居るなら返事してーな! ところで、一緒に帰らへんか?」
「「「陰キャ!?」」」
「ゆ、ゆかちゃん! 用事は特にないけど……」
「「「ゆかちゃんだとっ!!」」」
男子生徒全員から痛いほどの視線を感じる
「此花さん、そんな陰キャと話してたら……」
「人の友達を陰キャ呼ばわりとか、あんたは誰やねん!まあモブキャラの名前聞いてもすぐ忘れるから名前言わんでええで、覚える気もないしな。」
「なっ!?」
「ほな、けいちん帰ろかー」
ゆかちゃんに強引に手を引っ張られる
「ちょ、ちょっとーーー!!」
校門を抜けしばらく歩いていた
「さっきはゴメンな。困らせる気はなかったんやけど……ついカッとなってしもて。」
「………べ、別に良いよ。僕のために怒ってくれたんだし、気にしてないよ。」
「けいちん………おおきにな。」
「た・だ・し! 今後は目立つ事はなるべくしないでよ。」
「はーい♪」
(ほんとにわかってるのかなぁ〜)
帰宅した僕は早速2曲目の収録に取り掛かった
♪〜
「今の最高だったなぁ♪ 」
満足のいく出来に仕上がり、早速アップロードする
一仕事終えた僕はベッドに横になると
そのまま夕食まで寝てしまった。
夕食が終わり部屋に戻る途中
姉さんの部屋から音楽が聞こえてくる
(これって僕の新曲だ!……姉さん聞いてくれてるんだ。でも、きっと僕だと知らないから聞いてるんだよね。)
嬉しいけど悲しくて、少しだけ胸が苦しくなった。
朝、新曲動画の再生数は100万再生を突破していた。
母さんが言うには、広告収入とかその他諸々の収益が入ってくるらしい
(なんか実感湧かないなー。CMとかで流れたら実感するのかな?)
そんな事を思いながら家を出ると幼馴染とまた遭遇する。
「おはよう……」
「………………」
(また無視……か。もう昔みたいには戻れないよね…。)
僕は早足で駆けてゆく幼馴染の背中を見つめていた。
放課後
今日はバイトがあるからと、ゆかちゃんにメッセージを送り
1人でアムーレへ向かうと受付カウンターに店長と私服の澪さんがいた
「おはようございます!」
「おはようケイ君!」
「おはよう時鳥さん。」
「どうしたんですか?」
「今から歌の練習をしようと思ってね。」
「澪は、時々ここのカラオケで練習してるのよ。」
「昨日、またメグミさんが新曲出したから負けてられないって思ってね!」
「そ、そうだったんですね。……が、頑張ってください!」
更衣室に向かい着替え終わると
生野さんがバックヤードにいた
「時鳥君はもう聞いた?」
「え?ああ、メグミさんの新曲ですか?」
「そうそう!電車で聞いてたんだけど、涙出てきちゃって変な目で見られたのよ」
「そ、そうなんですか。大変でしたね。あはは……。」
「この曲ってさ、自分の抑えている感情をそのまま歌詞にしたって感じじゃない?なんか涙が止まらなくってさ、悲しい事があったんだなって思っちゃった。」
生野さんの言う事は的を得ていて、僕は複雑な気持ちになった。
バイトが始まり業務をこなしていく
カラオケルームの清掃に取り掛かっていると
隣の部屋から歌声が聞こえてくる
(これって………澪さん!? すごく綺麗な声だなぁ♪)
透き通るような声で
いつまでも聞いていたいと思うほど心地よかった。
その後も澪さんの歌声には
こんな曲がいいかなぁとか
こういう歌詞はどうだろう?とか色々と考えてしまい
仕事が手につかなかった。
しばらく清掃を続けていたら
受付カウンターから澪さんの声が聞こえてきた
「…………少し割引きしとくわね。」
「店長ありがとうございます♪ あ、ケイ君お疲れ様!」
「澪さん、お疲れ様です!もう帰るんですか?」
「これ以上は喉がもたないかなって。」
「ちょっと聞こえてきたんですけど凄く綺麗な歌声でした!」
「ありがとう!じゃあ今度一緒にカラオケしよっか?」
「ぇ? あー、その。僕はカラオケ行った事ないので……」
「じゃあ尚更行かなきゃね♪」
「は、はい。」
まあ、澪さんには打ち明けてもいいかなと思っていた事だし
カラオケまでに練習して披露できるようにしよう
あと澪さんの為に曲も書いて渡したいなぁ〜
喜んでくれるかなぁ?
この時すでに新曲の動画再生数は1000万回を突破していたが
それを恵が知って驚いたのは、翌朝の事でした。
カクヨムで連載中の〇〇家族もよろしくお願いします。