すれ違う運命の悪戯、決着、そして……?いやいや、運命なんかに俺の正義は惑わされねえぞ!
ちょっと展開に苦しみましたが決着です!
しかし運命を支配する神は彼らを引き離そうと画策しています。
さあ勇者と魔王よ!その立場に悩み苦しむがよい!
耳を疑う。
まさか⁉︎、そうは思うがそこに思考を向ける余裕はない。
いや、意識を割かれただけでも非常に拙い。
魔王の絶叫と共に打ち出された必殺の一撃に合わせる為に準備していた技の機を逃してしまった。
オマケに魔王の魔法のおかげで身体が重くて回避も間に合わねぇ。
だが、俺は諦めねえ!
「俺だって!平和にしなきゃ迎えに行けねえんだよおおおおおお!!」
迫る破壊の力に対して全身全霊、全ての力を振り絞り構えた剣を叩きつける。
一瞬だった。
叩きつけた剣と魔法。
二つは接触したと思った時には全てが光に包まれる。
そして遅れて轟音と衝撃波。
それは容赦なくフェルの身体を打ち据える。
常人がそれを受ければどうなるか、そのような事は考えなくても明らかな衝撃波が襲う。
10秒……20秒……どれだけたっただろう。
音はなく、爆発の光に視界が塗りつぶされた中でどれだけ耐えていた事か。
心臓は早鐘を打ち、呼吸は苦しい。
いっそ吹っ飛んでいった方が楽なのは分かってるんだが、そうするわけにもいかねえよ!
そんな無様な所見せられるかってんだよ!
「ド根性おおおおおおお!!!」
叫びを上げ自分を奮い立たせ踏ん張る。
それにあわせるかのように一際大きな波が訪れ……
「や、やったのか?」
舞い上がった土煙の向こうからそんな呟きが聞こえてきた。
どこか懐かしい、そんな気持ちになりながら俺は足を進める。
平和になってないし、何も解決しちゃいねえ、何もかも未達成だがこうなったら関係ねえよな!
迎えに行こうじゃないか!そして打ち上げる!平和の道標を!
「や、やったのか?」
土煙で見えないが確かに当たったはず。
私の全身全霊を込めた全力全開の最強の一撃。
余波に耐える為に魔道具であるこの鎧の力を全て使わないといけない、それだけの一撃。
これ以上削られてしまったらこれも撃てなくなる、そんな状況に追い込まれての勝負を焦っての一撃。
これで決められてなかったら……いや、弱気になるな私!私はこんな所じゃ終われないんだから!
そうやって気を強く持ちながらじっと煙の向こうを見据える。
「魔王様ーーー!」
城の中から四魔将の配下達が駆けつける。
正直きついけど、そうやって来られたら膝もつけないじゃないか。
そう思いながら苦笑いを浮かべるが、すぐに切り替えて煙る視界の向こうを見据える。
そろそろ晴れるか、そう思った所で変化が起こる。
その変化は私を絶望に突き落とすのに十分な変化。
ガシャ、ガシャ。
それは鉄靴が地面を踏みしめる音。
煙に浮かぶシルエットは今しがた自分を追い詰めた者と同じ物。
それは敵である勇者が健在だという証明。
それは自分が討伐されるという事。
それはもう、フェル君との約束を守れないっていう、そんな、そんな……
「勇者は未だ健在だぞー!」
「ひるむな!奴は手負いだ!我々で魔王様を守るのだ!」
「勇者覚悟ーー!ぐああああ!」
立ち尽くす私の前に駆けつけてきた彼らが出るが為す術も無く吹き飛ばされていきそして。
「うああああああ!!!!」
前に誰も居なくなった私は最後の力を振り絞って突撃をかけようと声を上げるが。
「なーんて顔してんだ、美人が台無しじゃないか」
戦場にそぐわないその声に気を抜かれてしまう。
どこか懐かしくて、優しいけど、ちょっと呆れたような、そんな、ずっと聞きたかったそんな声に聞こえて。
ふと、顔を上げたら、フェル君がいてくれたらなって、そう思ったら気が抜けて。
「おっと、あぶねえあぶねえ」
膝から力が抜けて前に倒れていたみたい。
受身も取る力も残ってなくて、そのまま顔から地面にダイブするところだったんだけど。
「全く、昔から無茶しすぎなんだってお前は」
正面から抱きすくめるように受け止められて痛いことも無く、それどころかそれはとても信じられない事で。
「フェル……君?」
「おう、約束どおり、とはいかなかったが、迎えに来たぜ」
昔と同じ様に、太陽のように笑うフェル君に、気がついたら、抱きつきながら大声を上げて泣いてしまっていた。
「待たせて悪かったな」
そうテレ臭そうに言う彼の姿に安心したのか、私が次に気がついたのは見慣れた寝室のベッドの上だった。
な、なんだと!?
おいちょっとまてフェルディナント!台本どおりうごくぁwせdrftgyふじこlp
ええいこの狂人め!無事に終われると思うなよ!!!