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最狂勇者の大暴走

ぽっと思いついたので書いてみました、後先考えない大暴走!

こんなんできたらいいのになぁ……

そんなに長くはならない予定なのでお付き合いください。

「フェル、ごめん、私遠いところに引っ越す事になったの……」


 黒髪の美少女が悲しそうに告げる。


「え……なんで……ヒルダ……」


 呆然とした表情で問い返す事しか出来ない金髪の活発そうな少年。


「だって、私は魔族で、あなたは人族だから……」


 紅い瞳を潤ませて告げる透き通った肌の少女。


 ああ、またこの記憶か、俺の原動力になった、あの記憶。


 この頃までは互いの種族では小競合いはあっても決定的なものではなかった。


 物心ついた時には一緒にいたヒルダと別れることになったのは人族と魔族の間に大規模な戦争が始まる兆しが出てきたのが原因で、それは数年で終わると考えられていた。


「なら、平和になったら迎えに行くから!絶対いくからまってて!」


 そう言って何を決意したのか少女の手を握る少年。


「うん、約束ね、そしたら私の事……」


 ちょっと驚いたように、もじもじと言葉を告げる少女。


「ん?」


 最後の方を聞き取れなかった俺は首を傾げる。


「ううん、なんでもない!早く来ないとおばあちゃんになっちゃうから、早く迎えにきてね!」


 そう言って笑顔を見せる彼女に俺はこういったんだっけ。


「当たり前だよ!そしたらまた一緒に暮らそう!」


「……うん!」


 驚きに目を見張りながらも笑顔になる少女。


 これは幼い時の記憶。


 この後数ヶ月して大規模な戦争が始まり、互いの王が深手を負う事になる。


 そのまま硬直状態に陥り10年が経つ。


 そして……






「勇者フェルディナント入場!!」


 近衛兵の警護する中謁見の間を進む。


「よく来たわが国最強の勇者フェルディナントよ!」


 そしてクソみたいに丸々と太った王によって語られる魔族の王との因縁とその討伐の意義の説明。


 そんなものどうだっていいんだけどな。


 俺はお互いがまた平和に暮らしていければそれでいいんだ。


 そんな苦痛ともいえる話が終わり俺は城を後にする。


 あの話を要約すると目障りで邪悪な魔族の王を討伐し、魔族を人族の下管理したいということだ。


 虫唾が走る。


 しかしそうは言っても勇者という立場が無ければ魔族の国にも行けないのでとりあえずは勇者という国のお墨付きの為に聞き流しておいた。


 目的さえ果たせば勇者なんて立場はすぐに捨てて構わない。


 その為評判なんて関係ない。


 何でそんな事言ってるかって?


 右手を振りかぶって振りぬく。


「あじゃぱあああああああああ!!!」


「え!? ええ!?」


 貴族風の男に言い寄られて困っていた女の子の横を通り過ぎて前に出る。


「貴様!モーブ伯爵家のものに狼藉を振るうとは!知らぬでは許さぬぞ!覚悟しろ!」


 護衛っぽい男達が武器を手に挑みかかってくるが。


「ああ?勇者様に何を覚悟しろと?女を口説くのに家の力と多人数で囲むなんて狡い事やってる小悪党を殴って文句あんのか?」


「ゆ、勇者だと……でたらめだ!やっちまえ!」


「はあ、悪党っていうのはどいつもこいつも……」


 そう言って切りかかってくる男達の攻撃をかわして適当にちぎっては投げる。


 何をちぎるかって?野暮だな、皆まで言わせんなよ。


 そうして10秒後には伸びた男達の山が築かれる。


「ほら、もう終わったからいきな」


「え、えっと……」


「早く行かないと面倒事に巻き込まれるぜ」


「あ、ありがとうございます!!」


 そう言って走り去る女の子の行く先を見ると、警備兵を呼んできた男がいてその男の胸に飛び込んでいく。


「うん、あの方がお似合いだな」


 そう言いながら警備兵に勇者の権限で成敗したと言って処理を任せる。


 勿論不心得なボンボンには脅しも忘れずに。


 そうして俺は王都を出るべく歩みを進める。


 目指すは人と魔の境界にされている人族の最前線、ママエ荒野だ。


 とはいっても王都を出たら移動魔法ですぐなんだけどな。


 因みにこれ、割と高度な魔法らしく、使える人間は少ないし、通常自分にしか使えない。


 まぁおれの場合は別の意味でも自分だけしか使えないんだけどな。


 素の他にも基礎4属性と光と闇の属性があり、俺はその全てを使える。


 魔族側にはそれに加えて派生属性といわれる雷やら木といった自然に深く関わる属性があり、それに加えて時やら空間といったものがある。


 幼馴染のヒルダは俺達が別れる事になった10年前にはその全ての基礎魔法を使えていたから割と簡単なんだろうと思うんだが俺は苦手なんだよな。


 まぁ対抗呪文さえ使えれば動けなくなる事はないから大丈夫だと思うんだが、どうなることやら。


 そう思っているうちにママエ荒野の上空二百メートルの位置に俺は到着していた。


 そして……落ちる!


「ひゃっはーーー!」


 そのまま下に落ちると痛いので、風を感じながら魔属領に向けて滑空する。


 これが自分にしか使えない理由である。


 魔法の細かい制御が苦手な俺は移動魔法も大雑把なので大抵上空に現れるのだ。


 そして落下する、そうした時に俺は無事だが同行しているものがいたらどうなるか?


 その答えは試さなくても分かるだろう。


 そんな事もあって最初居た俺の同行者も今ではいなくなって史上最狂の勇者という呼び名が定着している。


 え?それだけかって?皆まで言わせるなよ?最狂って言われてるのみたら分かるだろ?


 そうしているうちに地面が近付いてくるので二本の足を前に出して着地体制に入る。


 そして減速しないままに地面が近付いて……




 その日魔族領に衝撃が走る。


 ママエ荒野に轟音が鳴り響いたと思ったら立ち上る土煙。


 そしてその中から一直線に土煙が轟音と共に走るのだ。


 後にこの出来事は色々なものの転機としてこう呼ばれる。


「最狂勇者の大暴走」

お読み頂きありがとうございます。

細切れにしたほうが読みやすいかと連載形式にしていますがそんなに長くならないです……多分。

キャラが大暴走するので保障はしかねますが、面白いと思ったら応援よろしくおねがいします。

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