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試合が終わって会場から出ると、サラたちに出迎えられる。


「試合の事は心配してなかったけど、ミュウと何の話をしてたの? というかそもそも面識があったんだね」


ノエルはミュウの事もよく知っているだろうから、気になったのか。僕も実際何が起こったのかはよくわからない。ミュウを目の前にして、不思議な気持ちになって、気付いたらいなくなっていたような、そんな体験だった。


「いや、初対面だよ。見ての通り急に襲撃されて僕も驚いたんだ」


「え、そうなの? あんなに穏やかに話してたのに?」


そう言われるとどう説明すればいいか分からない。何か、お互いに感じるものがあったのだと思う。


「ミュウと早く戦いたいねって話をしていただけだよ」


「そうなんだ……」


納得したようなしないような表情で、ノエルは考え込んでいた。


「私も早くあの人と戦いたいです。一度しか見れませんでしたけど、それでも感動しました。凄い魔法でしたよね?」


サラはあの凶悪な魔法を見て戦いたいと思えるのだから凄い。ハングリー精神は常人のそれではない。僕もそうだけど、こういうところでもサラとは気が合う。


「それにレンさんと二人で親しげに話していたのが許せません。あんな強力なライバルがいるなんて…………」


何かぼそぼそ言っているようだけどよく聞こえない。サラも何かミュウに対して強い思いを抱えているのかもしれない。


「あれが頂点なのね。私で太刀打ちできるのかしら」


フィアは逆に現実的に勝機を探っていた。力で押し切ることを得意とするフィアにとってはミュウは天敵のような相手かもしれない。それに自分でも気づいて、直ぐに他の方法を検討する辺り、フィアも凄い。


挫けるような人がいなくてよかった。それが唯一恐れていたことだ。信じてもいたけど、期待通り応えてくれて良かったよ。


そうして話しながら、僕たちは歩いていた。




そうして寮の僕らの部屋の前に来た時、誰かが待っているのが見える。近づいてよく見ると、それはフレンだ。何故、レオンの事で何か言いに来たとかかな。もう関わりたくないんだけどなあ。


声を掛けようとするフィアたちを抑えて、僕が対応すると言う。


「フレン、何の用かな?」


「リーダー…………さすがでした。レオンさんが手も足も出ないとは思いもしなかったです。もう退学の準備が進んでいるそうですよ」


明るい表情のフレンが不気味だ。何が言いたいのか分からない。


「ごめん。雑談をしたいんだったら今度でもいい?」


少し言い過ぎかもしれないけど、僕がフレンたちと話すとどうしてもきつい口調が出てしまう。それをあまりサラたちに見せたくなかった。


「すいませんリーダー。気に障ったなら謝ります。お願いがあってきたんです」


お願い? 決闘で戦った以上、レオンの退学はもう取り消せないだろう。僕が取り消すメリットもない。そんなことが無理なことくらいフレンだって分かっている。フレンは賢い子だったから。


「私たちのチームに戻ってきて欲しいとはもう言いません。なので、私をそっちのチームに入れてくれませんか? 戦力にはなります。 姉様もと言いたいところですが、私だけでもいいのでお願いします」


その話が突飛すぎて、僕は直ぐに言葉を返すことが出来なかった。フレンは自分が何を言っているのか分かっているのだろうか。自分たちのチームリーダーを退学にさせた相手のチームに入りたいってことだ。本当に意味が分からない。


「レオンは僕が直接退学させたんだよ。分かってる?」


その質問に、にんまりと笑ってフレンは答えた。


「レオンさんの事はありがたいくらいなんです。私たちのチームも、リーダーがいなくなってからレオンさんに足を引っ張られて、迷惑していました。あの時の私はレオンさんが怖くて意見が出せなくて、姉様が賛成するからもうどうしようもできなくて、私だって被害者だったんです」


フレンが話す度に、僕は不快な気持ちでいっぱいだった。レオンが僕に対してした事は確かに酷かったと思う。でも、レオンはチームの為に行動するという名目があった。それが思い違いだったのか何だったのかは分からないが、それでも理解はできた。


でも、フレンが今言っていることは自分のチームを裏切っても何も感じないと言っているようなものだ。レオンに意見したような形跡があったならまだしも、レオンがフレンに対して理不尽なことをしたような様子はなかった。


しかも、レオンが決闘するようにフレンが誘導したという可能性も、僕は高いと思っている。そんな爆弾のような少女だというのが、僕のフレンに対して持つ今の印象だ。


はっきりと断ろう。


「フレン、僕たちが再び仲間になることはもうない。あの時が最後だったんだよ。僕らはあの瞬間にもう完全に離れたんだ。関係が修復されることはない」


僕が頑なに認めないと分かったのか、フレンは表情を歪める。


「あの時の事は私には関係ないじゃないですか。私は何も言っていないですし、それにどうしようもなかったっていいましたよね?」


ああ。そうじゃないんだフレン。もうそういう問題じゃないんだよ。僕の心が、もうフレンたちとは一緒に居られないと言ってるだ。


「もう一度言うよ。僕はフレンをチームに加えたりしない。それに、フレンは今のチームをもっと大切にするべきだ。君たち姉妹ならレオンがいなくてもまだ立て直せるはずだ」


「無理ですよ…………リーダーがいないならもう無理なんです!」


フレンは、泣きそうになりながらそう言う。これも、僕が前のチームで間違った行動をしていたからだ。フレンは自分の力を信用できていない。僕が全て教えてきたからだろう。


「ごめん。何を言われようが僕の意見は変わらない」


そう言って、僕はフレンの隣を通り去る。


フレンは、涙をこぼしながら、サラたちを全く見ずに去っていった。


「あれで本当に良かったの?」


フィアが聞いてくる。あまり前のチームに詳しくないフィアからすれば、泣いているのはさすがに可哀そうだと思ったのだと思う。


「良いんだ。あれがフレンにとってもいいことになると思うから」


「そう」


直ぐに興味をなくすところから、僕を信用してくれているのが分かる。やっぱり今のチームの三人が、僕にとっては一番良い。




そうして僕の因縁はようやく消え去った。

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