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それは、僕が一人で歩いている時の事だ。


見間違えかと思った。僕は、その人物ともう会うことはないと思っていたから。あの時、僕らの道は完全に途絶えた。だから、もし会うとしてもそれは敵として試合をする時だけ。そう思っていたのだ。


でも、今僕の方に歩いてきているのは、何度見直しても間違いなくレオンだった。僕の元チームメイトであり、そして僕を追い出した男。その人は、何故か怒りの表情を浮かべながら僕の元へ来た。


「レン。久しぶりだな。お前に言わなければならないことがある」


そのまま知らないふりをして通り過ぎようと思ってた。だってどうでもよかった。僕は順調で、楽しい暮らしが出来ていたから。でも話しかけられてはどうしようもない。


「レオン。久しぶりだね。もう二度と顔を合わせることはないと思ってたよ」


「こっちのセリフだ。お前みたいな姑息な奴に合わなければならないのは苦痛だが、それでもこっちに害が出たのだからしょうがない」


何を言ってるんだ。何より、追い出しておいてなんでそんな風に言えるんだ。その思考が理解できない。


「僕は君たちにもう関わりたくない。もう行くよ」


僕だってやることは山ほどある。忙しいのだ。


「待て。お前あんなことをしておいて、何もこっちが反応しないと思ってるのか?」


「あんなこと?」


全く心当たりがない。


「学内新聞のことだ。追い出したことを広めただろ。今のうちに謝罪と撤回をするなら許してやってもいい」


僕が広めた? 僕が直接話したのはクロとレイラ先生。そしてサラたちくらいだ。それにそんなことをして何の意味があるのか。


「僕はそんな事をしてない。それでもういいかな?」


「良いわけがあるか。とぼけるのか?」


とぼけてなんかないんだけど、レオンの中ではそうなっているらしい。このまま引き留められるのはめんどくさいな。


「そう言われても冤罪だとしか答えられない。新聞に書いてあったなら、情報の出所もそこに聞いてくれ。僕には関係ないから」


僕が冷静に対処していることにイラついたのか。レオンは顔を真っ赤にして僕に怒鳴る。


「ふざけるな。お前がそのつもりなら俺にも考えがある。決闘だ。レン。お前には決闘を受けてもらう」


決闘。それはこの学校の特殊な制度だ。実力をこそ何よりも尊重するこの学校が定めた絶対的なものだ。しかし、その理不尽さなどから、なかなか両者が納得することはないし、前に行われたのがいつなのかも知らない。少なくとも僕が入学するより前の事だろう。


そして僕もそれを受けるメリットがない。今要求があるとするならばもう関わらないで欲しいという事くらいだ。全く話にならない。


「そんなの受けないよ。僕に受ける理由がないからね」


僕がそう答えると、予想がついていたのか余裕綽々でレオンは言う。


「汚いお前ならそう答えるとは思っていた。だが、本当にそれでいいのか?」


ニヤリと汚い笑いを浮かべるレオン。


「何が言いたいんだい?」


「もし受けないで逃げるのなら、俺はこのことを広める。Aランクチームに嫉妬して地位を貶めようとした汚い男としてな」


また意味不明なことを言い出すな。そんなこと僕にとってはどうでもいいことだ。


僕がそれでも冷静でいるのが意外だったのか、レオンはさらに言葉を続ける。


「お、お前は良いかもしれないが、仲間はどう思うだろうな。評判は間違いなく落ちるだろう。お前がここで逃げたことによってな。それに、お前の今の仲間のサラ……だったか? 調べたが元々落ちこぼれだったんだな。そんな奴が耐えられるかな?」


汚い手段だ。確かにサラたちまで貶められるのはあまりに理不尽すぎる。事実無根の噂であったとしても、僕のせいでそんな事にはしたくない。サラたちには王道の道を進ませてあげたい。これまで苦労してきたのだから。


それに、今僕は決闘を受ける理由が出来た。僕に因縁をつけてくるのならともかく、サラたちまで巻き込むのなら別だ。明確な敵とレオンを認識した。僕は仲間は大切にすると誓った。


被害をサラたちが受ける前に落とし前をつけさせなければいけない。


「分かった。受けよう。その決闘。僕も君を倒さなければいけないみたいだ」


僕の最後の答えに、レオンは満足したように笑う。想定通りだとでも言いたそうだ。


「ははは。寄生先に見限られるのは困るもんなあ。想定通りの答えだ」


「で、要求は何? 何でもいいよ」


どうせ今の僕ならレオンには絶対負けない。僕がレオンの魔法を生み出す手伝いをしたし、どんな考えをしているのかも分かる。多少成長していても、魔法石を全力で使う僕の相手ではない。


「虚偽の情報を広めたことの謝罪と撤回。それを公に発表してもらう」


「それだけでいいのかい?」


僕が要求することは決めた。だから、挑発をすると、見事にレオンは顔を歪ませる。


「なら退学だ。お互い退学も賭ける。それでどうだ?」


思い通りの展開になってよかった。


「僕は構わない。負けることなんてないからね」


「ふん。退学することになったお前の焦る姿が今から楽しみだ。手続きは俺の方でしておく。お仲間とのお別れを済ませておくんだな」


怒りながら、レオンは去っていった。本当に変わっていない。


でも、そんなレオンに少し違和感を覚える。僕を説得する時の手際の良さだ。基本感情的に動くレオンが、計画的に僕に会いに来たとは思えない。間違いなくレオンを誘導した人物がいるだろう。


そしておそらくそれはフレンだ。前に会った時の様子などから察しがついた。何を思っているのか知らないが、本当に迷惑だ。もう関わりたくない。


今回の決闘で、全て元のチームとの因縁は切れるだろう。それだけは良かったことだ。



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