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もし、戻れるのならあの頃に戻りたい。まだリーダーがチームに居てくれた頃に。
レオンさんは最近いつもイライラしています。それは、リーダーについての噂が流れてくることもそうだし、私たちのチームの悪評が流れ始めていることによるものです。
「なんで誰もチームに入ってくれなくなったんだ。俺たちはAランクチームなんだぞ」
怒りの声にも、もう慣れてきました。それにチームに入ってくれなくなったのは、レオンさんに付き合いきれなくなって、何人も入っては抜けてを繰り返していたからでしょう。そんな事が起こっていると知れば、誰もチームに入れてくれと言ってくる人はいなくなります。
それどころか、最近は有望な生徒を追放した無能チームだなんて話されているのを聞きます。間違いなくリーダーの事。あの人の性格的に自分で噂をばら撒いたりはしないと思いますが、きっと誰かが事情を聴いて広まってしまったのでしょう。
レオンさんはその話を聞いた時、大変ご立腹で怒りを抑えきれないようでした。さらに嫌な事は続いて、試合には連敗、このままでは確実に降格という位置です。チームは崩壊気味。もはや私にはどうすることもできない。
「フレン! あの女子生徒には声を掛けたのか?」
レオンさんが言っているのは、リーダーと一緒に試合に出ていた子です。その子を誘いたいと相談されたので、私がやって置くと言っておいたのですが、なかなか時間帯などが難しく、接触すらまだできていません。
「すいません。まだです。今週中にはやっておきます」
「トロいんだよ。お前はいつも!」
最近は新入りが入ってこなくなったのでレオンさんのストレス発散が私の方に来て困っています。レオンさんに何を言われようがいいのですが、大声で怒鳴られるのは落ち着きません。
そして何故こんなにレオンさんが焦っているかの心当たりが私にはありました。それは、リーダーのチームが昇格を果たしたという話です。何故Fランクのチームの昇格がそんな噂されているのか、詳しくは知りませんが、リーダーのチームが上手くいっていることで、その少女が誘えなくなるかもしれないと思っているのでしょう。
正直、もう無理なんじゃないかと私も思い始めました。でも、リーダーが今どんな状況なのか、一番近いい人に聞く事が必要です。どんなに無理そうでも、リーダーには私のもとへ帰ってきて貰わなければ困ります。
「今日、俺が訪ねてくる。フレンもついてこい」
そう言って、その日の朝の会議が終わりました。姉様はめんどくさがって話に加わる気もないのだと思います。
私が聞いても、はぐらかされてしまいます。本当に困った人です。
その日の練習も一通り終わって、ついに、その子の部屋まで私たちは来ていました。
「すいません。どなたですか?」
ノックをして呼び出して、サラという名前だと分かったその子が出てくると、私たちの事を見てそんなことを言います。
レオンさんはAランクチームのリーダーの顔も知らないのかというような表情です。
「お前、今もレンとチームを組んでいるのか?」
自己紹介をすることもなく、レオンさんは用件を話し始めます。そういうところが新入りとの軋轢を生むのだと思いますが、直す気はないのでしょう。
その子は、知らない人からいきなりそんなことを言われて意味が分かっていない様子です。
「何を言いたいんのか分からないんですけど、私はレンさんと同じチームです。それであなたたちは?」
「俺は、Aランクチームのリーダーのレオンだ。喜べ。お前をスカウトしに来たんだ」
偉そうにそう告げるレオンさんに、その子は啞然としています。やはり反応は悪い。そういう事なのでしょう。
「私は今のチームに満足してるので大丈夫です」
はっきりとそう言われて、レオンさんはやっぱり現実が認識出来ていないようです。
「そんなに遠慮しなくていい。チームに欠員が出て代わりを探しているだけだ。すぐに戦力になることを期待してはいない」
的外れなことを言って、更にその子はあきれてしまっているようでした。
「それに、レンのやつに寄生されていて気分もよくないだろ? あいつを切り捨てるチャンスだぞ」
その言葉をレオンさんが言った途端、その子の雰囲気が変わりました。怒り、だと思います。
「もしかしてあなたたちはレンさんの前の仲間ですか?」
「そうだ。だからあいつの迷惑さは理解している。これは俺からの謝罪みたいなものだ。レンを放出してしまったことに対するな」
会話の雰囲気を全く察していないレオンさんがさらに踏み込んで、その子の怒りが増大するのを感じる。これはもう間違いなく破綻するでしょう。もう早く撤退したいです。
その子は大きく口を息を吸ってレオンさんに向かって言います。
「レンさんはあなたたちみたいな酷い人たちには勿体無いくらいの凄い魔法使いです。もう関わらないでください。私たちは迷惑なんてしてないし、感謝しかしてません。私が怒りを我慢出来ているうちに帰ってください」
一息にそう言われて、レオンさんもさすがに面食らって何も口に出せないようでした。そのまま扉をバタンと強く締められて、もう打つ手はない。リーダーの様子を少しくらい聞きたかったのに、これでは何度訪ねてももう無理でしょう。
「なんだあの女は、俺たちはこの学校で最高の地位にいるんだぞ。ふざけやがって…………」
周りの迷惑を考えずに大声で喚き散らすレオンさんが、その地位を落としていると言いたいですが、そこは臆病な私には言えません。
「レンのやつ、どんな手を使って騙してるんだ。あいつが凄い魔法使いな訳がない」
そうやって手詰まりな状況になって、もう私にはどうやって立て直せばいいのか分かりません。先行きへの不安で胸が苦しい。
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