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『座標確定』『範囲確定』『属性――雷』『生成』
まず僕が生成したのは雷の魔法。珍しいし強いけど、今この学校には有名な雷使いがいるから。意外と対処方法は広まっている。生成している事にロイドさんは驚いて、急いで魔法を発動させた。
「雷使いとは中々いい適性じゃないか。だが、対処は出来る」
『ベクトル確定』
僕のその詠唱とともに、ビリビリと音を鳴らして雷の線がロイドさんに向かって飛んでいく。久しぶりに手加減抜きの魔法。楽しくなってきた。
対応は『土』の魔法によるものだろう。
「防がせてもらうよ」
そう言ってロイドさんは土の防壁を生み出した。土の魔法は防御に向いている。もちろん雷を通すことはなく、僕の魔法が相手にダメージを負わせることはなかった。
だが想定内。その堅牢な防壁によって移動しなければこちらが見えない。僕は次の魔法を急いで発動させる。
『座標確定』『範囲確定』『属性――鋼』『生成』『ベクトル確定』
四つ、鋼の剣を生成する。そしてそれを上手く操り、ロイドさんに向かって放った。
「二つ目の稀属性か。凄いな。だが、私だってそれくらいのことでは倒れないよ。」
予想は付いていたようで、余裕を持って避けられる。僕の剣はそのまま地面に刺さってしまう。しょうがない。次だ。
「今度は私から攻撃しよう」
そうしてロイドさんが使ったのは水の魔法。これで二種類目の適性だ。Cランククラスになるとこのくらい当たり前になってくる。
「『生成』」
小さな水の粒のようなものがいくつも見える。あれをどうするつもりなんだ。
「行くよ。水の鉄砲玉が」
拡散するように水の粒が飛んで来る。そういうことか。これは躱せない。だけど、僕だってそのくらいは防げる。
『座標確定』『範囲確定』『属性――鋼』『生成』
そうして鋼の盾を作り出して、凄まじいスピードで飛んでくる水の粒を防ぐ。すぐに盾を放り出して次の攻撃に移る。
『座標確定』『範囲確定』『属性――雷』『生成』『ベクトル確定』
もう一度、同じように雷の魔法を撃ちだす。
「それはさっきも見たよ。私には通じない」
先程と同じようにロイドさんが土の防壁を築くのを見て、僕は雷を方向転換して別の方向に飛ばした。目指すのはさっき放った鋼の剣だ。
土の防壁で視界が遮られて、それをロイドさんは察知できないだろう。土の防壁を解除して姿を現した彼の様子を見て、それを僕は確信した。第一段階は成功だ。
「次もすぐに行くよ。今度は防げるかな」
そうしてロイドさんが魔法を発動させる。生成したわけではないことを僕はすぐに察した。さっき使った土の防壁だ。
「気付いたかな? でも遅い」
その土の方から、土製の槍が飛んでくる。遠くからの制御もかなり上手だ。
生成で対抗するのはロイドさんの言う通りもう間に合わないだろう。でも、策はある。
『座標確定』『範囲確定』『属性――空間』『座標交換』
サラの使う空間魔法。その利点は生成の手間を必要としないことだ。これなら少し遅れたくらいで間に合わなくなることはない。練習しておいてよかった。もちろん魔力消費は凄いし、あまり使いたいものではないんだけどね。
槍の周囲の空間が歪んで、別の場所に転移する。その様子を見てロイドさんは感嘆していた。
「それが噂の魔法か。何が起きているのか全く分からなかったよ」
やはり噂にはなっていたか。突然消えたり現れたり、こんなことが出来る魔法は今までなかったのだから、話が広まっていても仕方がない。実際僕は初めてで、いつも使っているのはサラだから、勘違いされているかもしれないけど。、
「まさか僕が使うことになるなんて思いませんでしたよ」
「ん? まあよく知らないが、次はどうする? 君の力をもっと見せてくれ」
「ええ。行きます」
『座標確定』『範囲確定』『属性――雷』『属性――水』『属性――土』『属性――風』
次々と生成していく。物量でとりあえず気を逸らしておこう。
「生成速度もさることながら、適性の多さも凄いな。だが、魔力量勝負なら私だって自信がある。受けて立とうじゃないか」
そう言ってロイドさんも生成し始める。楽しくなってきた。僕たちは魔法を撃ち合って相殺していく。すり抜けた魔法も、土の防壁に防がれて決定打にならない。
何とか崩す方法を考えないと。
『座標確定』『範囲確定』『属性――水』『属性――火』『ベクトル確定』
そうして大量の水を生成して、その後に火の玉を続かせる。
「その堅牢な壁を崩す」
ロイドさんが作り出した土の防壁にまずは水がぶつかる。もちろん防がれるが、水のおかげで脆くなっただろう。そこで続いた火の玉を爆裂させる。
「そう来たか」
真正面からぶち破るとは思わなかったのだろう。ロイドさんもこれには驚いている。この隙を生かさせてもらおう。普通一対一でこういうことはしない。再び張りなおすことは容易だから。だが、僕の生成速度ならその時間で攻撃することが可能だ。
『座標確定』『範囲確定』『属性――火』『生成』『遠隔操作』
今度もさっきの火の玉と同じものだが、普通に飛ばすのとは違う。いつもなら一方向に飛ばすだけだが、細かく操作して、ロイドさんをとある場所に追い込みたい。制御を常にする必要があるから他の魔法に気を使えないが、こういう場合には向いている使い方だ。
「制御も超一流か。これは私には出来ない。だが、そんな速度では当たらないよ」
細かく操作する欠点は速度にもある。ベクトルを一気に指定した方が確実に当てる場合は強い。
でも、今は当てることが目的ではない。気付かれていないようで良かった。避け続けるロイドさんを少しずつ、初めに撃った鋼の剣の方に誘導する。帯電している刺さった剣が四つ。そこまで誘導出来れば僕の勝ちだ。
「当てる!」
声を上げて、何とか当てようと操作している風を装う。そうしていると、段々慣れてきたロイドさんから反撃が飛んでくる。やはり一流の魔法使いだね。
「くそっ……」
ロイドさんは魔力量、魔法の強さや生成速度。身体能力。すべてを高水準にした間違いなく一流の魔法使いだ。その中でもリーダーとしてこれほどの人はなかなか少ないだろう。そんな人が率いるチームでさえ、Cランク。やはり上位は凄い。
僕は、そんな人の魔法を避けながらとうとう望みの場所まで誘導することに成功した。そして火の玉を爆発させて気を引く。
「火の玉遊びは終わりかな?」
堂々と立って余裕をもって話しかけてくるロイドさん。だけど、これは防げないだろう。
「終わりですよ」
『座標確定』『範囲確定』『属性――雷』『放電』
初めに敷いておいた鋼の剣。それに帯電させておいた雷を一気に放った。四方から囲まれているロイドさんには防ぐことも、避けることも出来ない。序盤から狙い続けた勝ち筋。上手くいって良かった。
「なに? あの時から既にこれを狙って……」
そして雷が直撃する。大きく叫び声を上げて焼け焦げたロイドさんは、これで戦闘不能だろう。とりあえず僕の方は勝利だ。
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