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私は最初、レオンさんにリーダーの試合を見に行くことを提案したら、嫌な顔をされるかもしれないと思っていました。だから、少し勇気を出して言ってみたのですが、意外な反応が帰ってきたのです。
レオンさんは歪んだ笑顔で了承して、何なら積極的に行きたいと思っているようでした。私もその時は驚きましたが、よく考えるとレオンさんが考えていたことは何となく分かります。
藁にも縋る思いで入れてくれるチームを探したのだろう。新入生くらいしかあいつが入れてもらえるようなところはないし、どうせ弱小で負けるに違いない。なら惨めなあいつを見学してやろう。なんて、思っていたに決まってます。それが間違いだとも気付かずに。
「あんなの何かの間違いに決まってる! レンのやつ、何のズルをしやがった」
試合は素晴らしいものでした。私はリーダーの身に何が起こったのか理解できませんでしたが、それでもリーダーが凄い魔法使いだったということは分かります。
でも、レオンさんはそれを認められないようでした。
「レオンさん。落ち着いてください」
今にも暴れだしそうなレオンさんを抑えます。どうしましょうか。やっぱり、レオンさんはリーダーに戻ってもらうことを受け入れてくれそうにありません。それがどのようなものかは分かりませんが確執は相当深そうです。
「有り得ない! 有り得ないんだよあいつがこんなに魔法を使うなんてことは……。魔力量は絶対だ。その欠陥がどうにかなるなんて有り得ない…………」
「そうよ…………あたしたちに今まで隠してたってこと?!」
姉様も混乱しているようでした。確かに私もそこは驚きました。リーダーにあんな才能があったなんて知りませんでしたから。
でも、隠していたということはないはずです。だってリーダーはずっと必死で頑張っていたんですから。私の予想では何か解決方法を見つけたんだと思っています。
「姉様、レオンさんも落ち着いて聞いてくれませんか?」
「フレン?」
姉様が私を不審な目で見てくる。実際私がこんな風に意見することなんて今まで一度もなかったんですからしょうがない事です。臆病者の私は全て他人に選択を押し付けていました。
でも、これは言わなければならないんです。
「今のリーダーなら、私たちのチームに戻ってきて欲しいと思いませんか?」
私はリーダーに戻ってきて欲しいです。そうじゃないと私たちのチームは成り立たないでしょうから。
まずは姉様だけでも説得したかった。でも、私の希望に反して反応は悪いものでした。
「は? 何を言ってるんだフレン! あんな無能はいても邪魔なだけだ。今回のも何かズルい手を使っていたに決まっている。フレンもあいつに騙されるな」
その言葉は怒っているというより、何故か焦っているように聞こえました。レオンさんも本当は気付いているのかもしれません。
「そうよ。今更そんなこと言えるわけないじゃない」
姉様はそう言うと思ってた。
「でも、リーダーがいないと…………」
私が続きを言おうとした瞬間、レオンさんのイライラが爆発しました。
「あいつの事をリーダーと呼ぶな! 今は、俺がこのチームのリーダーだろ?」
「す、すいません……」
気が弱い私は、そう言われるともう意見出来ないです。そうして、その日は終わりました。
「もうやってられるか! もう俺はこのチームを抜けさせてもらう。Aランクからの誘いだから期待してたのに…………こんな地雷チームだとは思わなかったよ!」
あの日からしばらく経って、私たちが普通に連携の練習をしていた時の事でした。
新しく入った人と中々合うことがなくて、何度もレオンさんは怒りました。きつくイライラをぶつけるかのような言い方で。
そして、それに対してその新入りの男。ジョイドさんがとうとう言い返しました。レオンさんは、何を言われているのか分からないといった様子です。こうなるような気はしていました。
「待てよ。今のはどう考えてもお前が悪いだろ? 何を怒ってるんだ?」
「ああ。確かにそうかもしれない。俺が合わせられなかったのは事実だ」
外部から客観的に見て、誰が悪いのかという話になると、恐らくジョイドさんの責任になるでしょう。でも私から見ると、どっちもどっちだと思えます。
だって、レオンさんは全くジョイドさんの癖やリズムといったものを理解しようとせず、俺に合わせてこいというような姿勢です。役割上の違いとは言え、それで合わせられるような人は中々いないでしょう。
前までリーダーは、レオンさんのそういうところをきっちりと理解していて、どう行動するかまで予測してコンビネーションを考えていました。だから、今との違いが私には分かってしまう。
「だが、お前らも俺に合わせようとする気持ちなんて少しもねえだろ? 自分たちにとって都合のいいコマが欲しいのなら他を当たれ。俺は御免被る」
そう言ってジョイドさんは練習室を去っていきました。これで二人目の新入りです。この前の試合の人は、終わった後にレオンさんが解雇を言い渡しに行って辞めさせました。これ以上辞めさせたりすると悪評が立つかもしれないですし、今後のチーム運営にも関わってくると思います。
「俺たちはAランクのチームだぞ。何だあいつは偉そうに。拾ってやった恩を仇で返して来て、失礼な奴だな」
段々私は、レオンさんが本当はこのチームの足を引っ張っている。そう言いたくなりました。でも、臆病で、情けない私には、そんなことは言えず、次にどうレオンさんが動くかしか、聞くことが出来ませんでした。
「どうするんですかレオンさん? このままだと三人で試合をすることになります」
「そうだな…………」
そう言って考えているけど、私にはレオンさんから有効な解決策が出てくるようには思えませんでした。姉様はそういうことが出来る人ではないし。どうすればいいんでしょうか。
「良いことを思いついた。聞いてくれフレン」
自信満々といった表情でこちらを向くレオンさんが、とても不安です。
「この前レンと一緒に出ていた女子生徒。あれを勧誘しよう。筋は良さそうだったし、新入生を俺たちで鍛えれば、フレンたちの時と同じように上手くいくかもしれない。それに、レンがどんな汚い手を使ったのかも、聞くことが出来るだろう」
呆れます。まず私たちが才能を開花したのはリーダーが魔法の使い方を教えたからであって、レオンさんは全く関係ありません。それに、レオンさんもあの時の試合。序盤戦全く何が起こっているのか分かっていなかったでしょうに。
でも、よく考えたらその作戦もいいかもしれません。だってリーダーがチームに戻ってもらう為に周りから囲うのは良い事ですし、問題はレオンさんをどうするかですね。
私はレオンさんの話に適当に頷きながら、作戦を練っていく。今度は私自身で考えて動きます。待っていてくださいリーダー。あなたは私と一緒にいるべきなんです。
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