言の葉を紡ぐ心の木
もどかしいほどに言の葉が茂る
口の端から指の先から零れ落ち
会話の花は咲かずに朽ち果てる
茂った言の葉は枯れ落ちて腐る
周りには意味も価値もない塵芥
空っぽな言い訳の種だけは残る
心が淋しいほどに言の葉は茂る
温かい光と優しい雨がほしいと
想いを仮想の空に張り巡らせる
仮想の空を覆う言の葉が刺さる
五感を通じて脳幹までえぐる刺
電子の光を避けて心へ立ち戻る
言の葉を遡って幹の傷をなでる
重ねた歳は青春を越えて朱夏へ
刻んだ年輪が喜怒哀楽を物語る
積もる言の葉の下で根が伸びる
立ち上る朱色の熱を迎え入れて
伝えたいと心の木が叫んでいる
心底の叫びで言の葉を震わせる
夏空の下で一心に花実を咲かせ
幾千の想いが一つの願いとなる