7ht、8ht
7:決勝戦 〜勝利の女神とはとても皮肉なもので……〜
「ピッチャー振りかぶって
第6球を……
投げました!
とらえたー!!」
君は振り返った
その目線の先
すっ飛んでいくボール
まるで君の心を
切り裂いているかのようなスピードで
僕には解ってたよ
あれは君の渾身の
ウイニングショットだったよね
フェンスを越えるボール
マウンドで力尽きた君
ダイヤモンドを廻る僕を見て
ただただうなだれて涙を流している君
マウンドはもうグランド整備の後のように濡れていた
そんなに泣くことはないよ
君は精一杯戦ったんだから
君自身でも
今日の試合で一番のボールだったんだろう?
大丈夫だよ
みんなちゃんと解ってるから
だからもう
立ち上がろうよ
もうすぐ試合が終わるんだから
サードを廻った
ホームはもう目の前だ
黙々と走る君
意外なことに泣いていたね
まるで君が打たれたみたいに
僕には解らないよ
あれは僕の渾身の
ウイニングショットだったのに
なんで君はそんな悲しそうな顔をしてるの?
ダイヤモンドを廻る君を見て
余計にやるせなくなってきちゃったよ
涙も拭かず
ついにサヨナラのホームを踏んだ
頼むから堂々としてくれよ
あれは僕の生涯最高のボール
僕自身でももう二度と投げることのできない球だったんだ
悔し過ぎるよ
打ち損ねで持って行かれたなんて
だめだもう
立ち上がれないよ
もうとっくに試合は終わったのに
もっと堂々としていいよ
あれは君の勝ちだったんだ
あんなだったら普通に振って
普通に打ち損ねて凡退するんだった
悔し過ぎるよ
適当に振ったらたまたま捉えたなんて……
どうしても
勝った気がしないよ
確かに僕たちが試合に勝ったのに……
8:L’Arc en ciel
ずっと探していた場所
七色に輝く場所
ようやく辿り着いた虹の麓なのに
なぜだろう
なにか無性に
虚しいんだ……
初めて君と
この景色を見に行ったとき
君は
心から楽しんでいたね
そこでの一時を
だから
勘違いしちゃったのかも知れない
君なら解ってくれると
君なら乗ってくれると
隣に君はいないけど
もうすぐ行けるかもしれない
今まで探していた虹の麓まで
なぜだろう
嬉しい筈なのに……
光の色が足りない気がする
六色の輝き
何か足りない虹の麓なんかに
何の意味がある?
無い
意味なんて
ある訳がないんだ……
君と行った
七色に輝く場所は
僕より
君のほうが気に入っていたよね
そこでの空気を
だから
一緒に探してくれると思い込んでた
だけど
「わたしもう付いて行けない」
君からの手痛い言葉
君はいなくなったけど
もうすぐ行けることになったよ
ずっと探し続けてきた虹の麓に
だけどまだ
色が足りないんだ……
光の色が絶対に足りない
六色の輝き
君の色が抜けた虹の麓なんかに
何の意味がある?
無い
意味なんて
ある訳がないんだ……
君がいなくなったから
もう来れないかと思ってたよ
ずっと探していたこの虹の麓に
だけど
君の色が……
だから君にも来てもらいたい
七色目の光を
君の色をこの初ライブに加えてほしい
だから送るよ
このチケットを……
今度は僕らで創ろう
いつか見た七色の輝きを