誤字報告トラップ!
最近。なろうで実装された「誤字報告機能」を利用して、思いもかけぬトラップに引っかかる作者さんが、増えているようです。
「誤字報告トラップ」。具体的には、誤字報告のついでに、その機能を利用して作者さんにコメントを付して送ったら、作者さんは「報告を適用」を選択し、そのコメントまで含めて本文に反映させてしまう、というものです。
誤字報告機能は、作者にとって、報告さえしてもらえれば、ボタン一つで校正が出来ます。けれど、最新話のみならず、過去掲載分に至るまで誤字報告が送られてくると。
一話につき例えば二つ、誤字があったとして、既に400話(部分)掲載していたら。それを複数の読者さんから報告されたら。
作者にとっては、一気に800件の誤字を確認し修正しなければならなくなるのです。
はっきり言って、気が遠くなります。
それが、ボタン一つで一括修正出来るなら。
その誘惑に耐えらえる作者は、どの程度いるでしょうか?
けれど、その修正候補に、余計なコメントが付いていたら?
けれどこれ、今に始まった問題じゃないんです。
感想欄で、誤字報告をしていただいた頃でも、実は同じ問題がありました。
つまり、「誤字を指摘され、その修正提案をされた内容が、実は間違いだった」というパターン。
例えば、作者が本文中に
「王公貴族」
と書き(傍点筆者)。
それに対する読者さんの修正提案として、
「王候貴族」
と挙げられました。けれど、この四字熟語、
「王侯貴族」
が正しいんです。そんな場合。
「王候貴族」か、「王侯貴族」か。「候」か「侯」か。人偏の右側に、縦棒が入るのが正しいのか、無いのが正しいのか。
そもそも「王公貴族」と誤字してしまう時点で、作者さんはこの四字熟語の意味を知らないということになります。なら、間違っているといわれて、慌ててネットで検索してみたら。
「候」と「侯」。この二つの文字を見間違えてしまっても、不思議ではありません。そして「候」の字は、子供の頃からよく使う文字ですので、憶えています。結果、読者さんが教えてくれた「王候貴族」を信じ、コピペして修正してしまう。そんなことは、良くある話なんです。
* ちなみに。「王侯貴族」の「侯」は、「領主」という意味があります。つまり、「王侯貴族」とは、「王様と、領主貴族、そして領地を持たない法衣貴族」の総称、という意味なんです。
実は、筆者(たかあきら)も以前、似たようなことがありました。ある読者さんがメッセージ機能で誤字を指摘してくださったのですが、指摘116箇所(注:その当時148部分まで掲載)で、実際に修正の要ありと認められたもの、その三割程度。敢えて漢字にしているものをひらがなに開くようにすべしとの提案とか、正式な国語としては誤用だけど敢えてその表現を使用している部分の修正提案とか、それこそ指摘者の修正提案の方が国語(漢字の使い方)として間違っていたものとか、そもそも指摘者の勘違いからの修正提案とか。それらを排除して、価値ある修正提案だけを拾い上げて一つ一つ修正する。それに、約半日かかりました。
ですが、逆に言えば。この116の修正提案から、価値ある36の修正箇所のみを拾い上げ、ボタン一つで修正出来るようになるのなら、そんな機能、喉から手が出るほど欲しいです。けど、そんなモノは不可能です。
誤字に対する校正。これに、近道などありません。
一つ一つ、地道に、虱潰しに行わなければならないのです。
システムで、ボタン一つで修正出来るように配慮してくれたからといって、それに飛びつき思考停止して「報告を適用」してしまったら。
修正後の文章に、「* ○○と△△はそれぞれ同じ意味を指すでしょう。つまり『頭痛が痛い』と同じかと。」などという余計なコメントまで反映してしまう結果になるのです。
読者様へ:誤字報告機能を利用為さる際は、余計な(失礼)コメントは、付けないようにしてください。
作者様へ:誤字報告機能で「報告を適用」する際は、必ず余計なコメント等がぶら下がっていないかどうか、或いはその誤字等の指摘が適切妥当なものであるかを、一つ一つ確認してください。
誤字を修正したら、誤字が増えた。そんなのは、冗談だから言えること。自分でやるからネタになる。のに。
読者さんの指摘で誤字を修正したら、誤字が増えた。これは、ちょっと笑えませんし、その読者さんに対して悪感情を覚えてしまうでしょうから。
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