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私のわがままな自己主張(プロット)  作者: とみQ
第2章 私はこんな関係にはなりたくないのである
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さて、時間はまた土曜日のお昼に戻ってきて、私は美奈と魚ヶ崎駅で待ち合わせた。


美奈の家は魚ヶ崎駅から歩いて5分くらいのところにある一軒家だった。

お父さんは今日も仕事らしく、お母さんが玄関から出迎えてくれた。


「いらっしゃい。」


「こんにちは!初めまして!同じクラスの椎名めぐみと言います!今日はお世話になります。」


そうしてペコリとお辞儀をした。お母さんは美奈と同じく小柄で、目はいいようで眼鏡はかけていなかった。柔和な笑顔でとても優しそう。美人というか、可愛らしい感じだ。黄色いエプロン姿がその可愛らしさを引き立てている。なんだかすごく若く見えるなー。20代でも通用しそう。でも美奈の年を考えると30代後半か下手をすれば40代だよね?


「まあ。すごく可愛らしいお嬢さんね!モテるでしょ?」


「いやー。そんなことないですよ!私けっこうがさつなとこあったりするし。」


「お母さん!変なこと言わないでよ!」


美奈が素早く割り込んできた。


「いいじゃない。せっかくあなたがお友達を連れて来てくれたんだから。お母さんも仲間に入れてよー。」


「だーめ。今日はお勉強会なんだから、もう部屋に行・き・ま・す。めぐみちゃん、行こう?」


そう言って二階に行こうとする。


「あ、う、うん。じゃあお母さん!失礼します。」


「うん。また後でおやつでも持っていくわね!」


そう言って笑顔で見送られた。その時、なんかおみやげ持ってきとくんだった!と今になってきづいた。


「もう!お母さんたら!」


美奈はぷんすかしていた。へー。美奈って家ではこんな感じなんだ!


その後はテスト勉強。一時間半くらいしたらお母さんがおやつにクッキーと紅茶を持ってきてくれた。なんとお母さんが焼いてくれたやつらしく、それがすごく胃に染みて、脳に糖分が行く感じで、甘くて美味しかった。お母さんに美味しいって伝えるとすごく喜んでくれて、そしたらまた美奈が


「お母さん。社交辞令です。」


って突っ込んでた。それでお母さんが拗ねて「ふーんだ!」といいながら部屋から出ていくのを見て美奈も「ふーんだ!」っておんなじように言ってて、ホントに仲いいんだなーって笑ってしまった。美奈はえ!?え!?ってなってたけど。


そしてそこからさらに二時間程勉強して、みんなで夕食ということになった。ちなみにお父さんはまだ帰ってないみたい。仕事でいつも9時くらいまでは帰らないんだそうだ。


夕食はお母さんの手料理でご飯と肉じゃがに豆腐とわかめのお味噌汁、玉ねぎのサラダに玉子焼き、鮭にきゅうりとなすのお漬け物とすごく家庭的な晩御飯だった。なんだか温かい家庭って感じがして私は好き。バランスも考えられてて、肉じゃがもじゃがいもはほくほくで、お肉も味がすごく染みてて美味しかった。


そのあと、お風呂をいただく前に、駅前のコンビニに行くことにした。うっかり携帯の充電器と歯みがきセットも忘れちゃって、着替えはあるけど、私ってそういうとこがさつなんだよなー。


コンビニは駅前にあるので、歩いて5分でつく。コンビニに入ると、美奈が少し大きめの声で


「君島くん!」


と言った。ん?と思ってコンビニの通路を覗きこむと、そこに黒のパーカーにジーンズ姿の君島くんがいた。君島くんは、


「おお、高野ではないか。偶然だな。」


と言って振り向いて、そこで私と目が合った。

彼は驚いたように目を見開いた後、こくんと会釈してきた。


「こんばんは。」


と一言だけ挨拶した。


「あ、今日はめぐみちゃんとテスト勉強とお泊まり会なんだ。」


「そうなのか。二人とも仲がいいのだな。しかし、友人同士で勉強して集中力がお互い削がれたりしないものなのか?」


「んー?意外にそうでもないよ?それは勉強する気があるかどうかの問題じゃないかな。」


「そういうものなのか。しかし、こんな時間にコンビニとは、どうしたのだ?」


「あのね。めぐみちゃんが歯みがきセットと携帯の充電器忘れちゃって、あと夜食なんかも買いにきたの。君島くんは?」


「ああ。私も携帯の充電器を買いに来た。母親が充電器が壊れたとかで、コンビニまで買いに来させられたわけだ。しかし・・・。」


そう言うと君島くんはチラッと私の方を見た。


「充電器・・・、一つしかないのだが。」


ちょうど君島くんが手に持っているので最後だった。


「あ、気にしないで!?それ買って帰らないと君島くん何しに来たかわかんないし、お母さんに怒られちゃうでしょ?それに1日くらい実際充電も持つし、私そんなに携帯とかいじらないし?」


まあどちらかというと私の場合、夜食の方が重要だったりしてね?


「・・・そうか。すまないな。ではお言葉に甘えようか。」


と申し訳なさそうにした。


「だいじょぶだいじょぶ!気にしないで?」


と言うと、君島くんは目を逸らしながら、


「あー。高野・・・と椎名。テスト勉強頑張ってな。それでは私は行くよ。・・・おやすみ。」


と言いながら、コンビニから出て行こうとする。あれ?ちょっと待ってよ?


「あっ。君島くん!?」


先に美奈が君島くんに声をかけた。


「ん?どうしたのだ?まだ何かあるのか?」


「あの・・・、それ、まだ買ってないよね?」


「・・・あ・・・。」


と間の抜けた声を出した。・・・どーした君島!?


そして今度はちゃんとお会計を済ませてもう一度「おやすみ。」と出て行こうとした。


「あ。君島くん。」


またまた美奈ちゃんが声をかけた。まだなんかあるの!?と内心突っ込む。


「あの・・・また学校でね。おやすみなさい。」


なんだか今度は異様に振り向く速度が早かった君島くんはなんだかほっとしたような顔になって。


「ああ。それではな。」


と言って今度こそ帰っていった。



私たちもコンビニを出て家までの帰り道、私は美奈にさっき気になったので聞いてみた。


「ねえ美奈?」


「ん?どうしたの?」


「美奈って君島くんとすごく仲がいーんだね?」


と聞くと美奈は途端にビクッとなって、


「え!?そんなことないよ!?普通だよ!?何でそんなこと聞くの!?」


と早口で言ってきた。私は思わず苦笑しながら、


「いや、だって美奈はさ、基本男の子とはまともに話したりしてるの見たことないし、女の子同士ですらあんなに普通に会話してる人ほとんどいないじゃん?」


「え!?そうかなっ!?私めぐみちゃんとも普通に話してるよ?それにっ、君島くんとは小学生からずっと同じ学校だしっ!」


うーん。切り返しが何時になく早い。ま、このくらいにしときますか。


「はいはい。わかったわかった!それでは帰って勉強もう一頑張りしましょー!」


「・・・う、うん。そ、そーだね。」


ちょっと意地悪だったかしら?





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