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私のわがままな自己主張(プロット)  作者: とみQ
終章 私はわがままなのである
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その後、私たち3人の家族は約10年ぶりの再会を果たし、久しぶりの家族での食事を楽しんだ。


当時、本屋の店長をしていた私の父親は、私が幼稚園に入った頃から店の経営不振に悩まされていたという。

さらにそんな中、お人好しな父親は友人の会社の起業のための資金の費用を借りるための借金の保証人になっており、その会社の倒産に伴い失踪した友人の借金まで肩代わりすることになり、多額の借金を抱え込んでしまった。

それに責任を感じた父親は、私たち2人に苦労をかけまいと、離婚を申し出たのだという。

母親はもちろん一緒に乗り切ることを提案したのだが、最後は父親の説得に負け、代わりに父親のことを凄く慕っていた私に金輪際会わないよう約束し、私にも父親に会いたくなくなるよう仕向けさせたのだとか。

結局のところ、何をどうするのが良かったかなんてことは、後の祭りだ。

ただ、今の私にとっては、父親に再会し、本当の気持ちを聞けて、私のことを想ってくれていたという事実を知れたことが、心から嬉しかった。


その時いつかの高野の言葉が脳裏に甦った。


『子供のことを想わない親なんて、いないと思うよ?』


高野の言うとおりだった。

高野のあの時の言葉に引っ掛かりを覚えてしまっていた私は、それを信じたくて、だがそれを信じきれなくて、本当の気持ちに蓋をしてしまっていただけだったのだから。

私は自分の頑なさ、意固地な気持ちが今となっては恥ずかしい。


そしてもう1つ思い出したことがある。


私は父親に別れを告げられる日の午前中に、この公園で高野に会っていたのだ。

あの日、公園で寂しそうにしている女の子に声をかけて一緒に遊んだ覚えがある。その子の名前がみなだ。たかのみなだったのだ。


あの勉強会の日の夜に、高野はその事を覚えていて私をここに連れてきたのだろうか。


・・・高野。


高野は今どうしているだろうか。


・・・。


会いたい。


高野に会いたい。


会って色々話をしたい。


色々なしがらみや、もやもやした想いが今、全てクリアになったようになって、最後に高野への想いだけが私の心を満たしていた。

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