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私のわがままな自己主張(プロット)  作者: とみQ
第3章 揺れる想いなどあってはならないのである
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7月1日


朝になって、皆昨日の夜更かしがたたり、午前中はぼーっとして過ごした。


午後からはもう一度気合いを入れ直して最後の詰めを行い、夕方解散となった。


高野とはそのまま家で別れ、椎名と工藤とは魚ヶ崎駅にて解散となった。


なんだかとても色々なことがあったように思うが、私の心は今は一旦落ち着いていた。


駅から10分程歩いて、私の自宅に到着した。

私の家は5階建ての鉄筋のマンションである。築年数が25年を越えており、エレベーターはない。借りている部屋は2階なので、特に不便は感じたことはないが。


私は202号室の前まで来るとドアノブを捻った。部屋は開いていた。


「ただいま。」


「お帰りなさい。隼人さん。」


玄関に入ると、私の母、君島由加里が出迎えてくれた。私の母は隣街の中学校の国語教師をしている。背丈は私より少し低い160センチくらいで、髪を結わえており、背筋もピンと伸びているので、本来よりも高く見える。服は黒とベージュでまとめられており、落ち着いた雰囲気を漂わせている。目鼻立ちも整っており、子供の私から見ても美人な母親だと思う。


「ただいま。お母さん。」


私は玄関で靴を整えながら、返事をする。


「夕飯はまだなのよね?今用意するので座って?」


家はリビングに六畳の部屋がそれぞれ和室とフローリングで2部屋あり、2DKの造りになっている。2人で住むには広すぎる間取りだ。


「あー。今日は少し食べてきたので私は別に構わないのだ。もう少し勉強もしたいのでな。」


私はリビングを通りすぎ、奥のフローリングの部屋へと向かおうとする。ご飯は食べてきた訳ではなかったが、元々そんなに大飯食らいではないし、お腹も減っていなかったので、咄嗟に嘘をついてしまった。


「そう。最近隼人さんは家を空けることが多くなったわね。いいお友達でもできたのかしら?」


「まあ悪い友達ではないのは確かだな。変な所もあるが。」


誰かの君島くんに言われたくないんですけどー!という声が聞こえてきそうだが、それはもちろん心の中に止める。


「もう。相変わらず屁理屈理屈な物言いですね。そう言うところはお父さんにそっくりなのだから。」


「父親の話は止めてもらいたいものだ。気分が悪くなってしまう。」


「あっ・・・ごめんなさい。」


私も反射的に言ってしまったとはいえ、思っていた以上に冷たい物言いになってしまった。

母親もはっとした顔になったが、今さら気まずさを和らげる術を今の私は持ち合わせていなかった。


私はそのまま何も言わず、奥の部屋へと引っ込んだのだった。


母親の視線を背中に感じながら、扉をばたりと、閉めた。




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