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私のわがままな自己主張(プロット)  作者: とみQ
第3章 揺れる想いなどあってはならないのである
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6月28日


そんなこんなで土曜日は高野の家でお泊まり勉強会となってしまい、その後椎名の提案で色々とその日のスケジュールが組まれていったのだが・・・。


頭が痛くなるので当日のことは今は考えず、私は学生の本分である勉強に勤しむことにした。


そんな木曜日の図書室でのこと。


相変わらず、図書委員の仕事をやるでもなく、城之内はノートに向き合って何かを書き込んでいた。今書こうとしている小説の設定なのか。


まあ、放っておこう。今日は期末試験の前ということもあり、利用者は多いが、皆勉強に勤しむ人ばかりで、カウンターは楽なのだ。


「やっほー。」


そんな中、突然椎名と高野が図書室に現れた。


「どうしたのだ。こんな所に。高野はともかく椎名まで。」


「ちょっとー。私だってテスト勉強くらいしますぅー。美奈がどーうしても図書室で勉強したいって言うからさ。」


「あ・・・あのっ、たまには環境を変えるのもいいかなと思って!そう言えば今日君島くんも図書室にいる日だったし・・・。」


「ああ。まあさすがに一緒に勉強するわけにはいかないがな。」


「あ、うん。じゃあ邪魔したらいけないし、あっちで勉強してるねっ。」


そう言って2人は空いている席の方へ行ってしまった。


「あれって高野先輩ですよね。」


さっきまでノートに張り付いていた城之内が今はペンを止めて私の方へ寄ってきていた。


「ああ。そうだな。」


「もう1人の方は同じクラスメイトか何かですか?」


「ああ。私たちは3人共同じクラスメイトだ。」


「で?先輩はどちらがお好みですか?」


相変わらずそっち方面の話に持っていきたいらしい。


「城之内。悪いが2人とはそういう関係ではない。ただの友達だ。」


「友達・・・ね。」


そう言うとまた城之内はいつものように右手で眼鏡をくいっと上げてから、


「先輩は男女間の友情というものがおありだとお考えですか?」


と聞いてきた。また話に付き合わされるらしい。


「ああ。そうだな。友情関係に男も女もないだろう。」


「ほう。」


そしてまた右手で眼鏡をくいっとやった。


「先輩は女の子に優しくしたり、気遣ったり、頼みを聞いたり、話したりする時に、完璧に友情のみで接しているとそう言い切れるのですね?」


なぜかいつも自信満々の城之内。こいつは一体何者なのだろうか。ただの学生だとは思うが。


さて・・・そこまで言われるとどうだろう。完璧に?100%?・・・確かに椎名に対して好意を持っている自覚がある以上、そこに友情以外の感情があるのは否定できないだろう。

では高野だったらどうだ?高野は以前なら昔からの知り合い程度の関係にすぎなかったが、最近では一緒に帰ったり、家に泊まりにいく予定があるような関係でもある。最早友人と呼ぶには何の疑問もない。

そしてそこに友情以外の愛情や恋愛感情みたいなものが1ミリも混在していないかと問われれば、それはやはりないとは言い切れないのではないか。

例えば高野と男友達のように肩を組んで歩いたら?きっと高野の匂いや柔らかさにドキドキしてしまうだろう。

高野が自分の側から突然いなくなったら?高野とは自然体で話せて、一緒にいてとても居心地がいい。そんな存在を失うと考えることは、ひどく孤独感を抱かせる。


いや、何を考えているのだ!私は!


「先輩。結論は出ましたか?随分と自分の世界に浸っておられたようですが?」


城之内が私の心中を察したように声をかけてくる。全く。こいつというやつは。


私は1つ大きくため息をついた。


「そうだな。確かにお前の言う通り、男女の間に100%の友情などというものは存在しないのかもしれないな。」


そう告げると城之内は嬉しそうにニヤリとしながら右手で眼鏡をくいっと上げてから、


「では、そこに至った経緯を教えていただきましょう。」


と言ってきたので、


「お前に答える義理はない。」


と突っぱねておいた。


ふと顔を上げると机に座っている高野とぱちっと目が合った。


2人は1秒程目を合わせて、そのままお互いに逸らしたのだった。


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