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私のわがままな自己主張(プロット)  作者: とみQ
第3章 揺れる想いなどあってはならないのである
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6月26日


次の日。


早速朝から椎名と工藤が勉強会について絡んできた。


「ほら!やっぱりこういうことは美奈が頼むのが一番なのよ!」


椎名は何故か自信満々のご満悦といった表情で、腰に手を当ててビシッと私の方を指差した。なんなのだ?その決めポーズみたいなものは・・・。


「確かに、俺たちだと既に言質取っているとはいえ、うだうだと渋られる可能性が高いもんな!その点高野なら安心だぜ!高野ってこう守ってあげたくなるというか、頼まれると断れないというか、とにかく放ってはおけない存在だもんな!」


工藤も興奮気味で、心の声がだだ漏れだ。


「え?何それ。ちょっと気持ち悪いわよ。工藤くん。ちょっと、気持ち悪いわよ。」


「ちょっ!2回も言うんじゃねーよ!傷つくだろーが!」


心なしか工藤の頬にはほんのり赤みが差している。いつか言われた言葉を返そう。初やつだ。


「あのっ、とにかく話を進めようよ。えっと、勉強会の日はとりあえず今度の土曜日でいいのかな?」


当の高野も自分のことを話題に挙げられて、顔を真っ赤にしながら話題を変えようとする。なんとも賑やかだ。


「まあ曜日はそこでいいのではないか?あと言っておくが私も3人同時にあれもこれもと教えている時間はないので、その日までに特に苦手な所に絞って、質問するのはせいぜい1人1教科にしておいてくれよ。」


まあそれでも最大3教科あるのでけっこう多いかもしれないが、何も言わないと1から10まで教えてくれと言われかねない。今の言葉を聞いた工藤と椎名の表情を見れば一目瞭然だ。予防線を張っておいて損は無いだろう。


そうこうしているうちに始業のチャイムが鳴ってしまった。


「仕方ない。では細かいことは放課後にでも決めるとするか。」


「そうね。私、今日から部活もテスト休みに入るから。時間もあるしね。」


「おー。そーだな!じゃ、また後で!」


中間試験と違って期末試験は教科も9教科あり、部活のテスト休みも中間は土日くらいだったのに対して1週間程取られる。


それでも運動部の生徒などは、体が鈍らない程度に汗を流す者もいるようだが。2人はどうしているのだろうか。



そして、放課後になり、皆が帰った教室で、私たちは土曜日の予定を決め始めた。


「では、決めるといっても場所と時間くらいな気もするが、誰か希望はあるのか?」


私が話し始めると、まず高野が口を開いた。


「あのー、朝は言えなかったんだけど・・・1つ提案したいことがあって・・・。」


みんなが高野に視線を集中させる。なんだか言い出しにくそうだが。


「良かったらなんだけど・・・私の家でどうかなって。」


「えっ!?マジで!?いいのか!?女の子の園にお邪魔しちゃっても!?いいのか!?女の子の園にお邪魔しちゃっても!?」


工藤が一気に興奮し始める。というか、2回言うのは流行っているのか。


「高野がいいなら私は構わないが。」


「うん。私もー!またお母さんにも会いたいし!なんならまた泊まってもいい!?」


「え、うん。そのことなんだけどね。・・・皆でお泊まりで家に招待したいなって。」


「え!?マジマジ!?そんなことがっ!?現実にあっていいのか!?」


工藤の興奮もいよいよMAXといった感じだ。しかし、高野の家にお邪魔するだけでなく、泊まりとは・・・どうするか。


「ち、ちょっと工藤くん・・・、さっきから興奮しすぎだから・・・。」


「健全な男子高校生としてこれが興奮せずにいられるわけねーだろっ!」


「ま・・・まあそれは理解できるけど、私たちの前でそれを言っちゃうの?美奈。工藤くんだけ9時解散の次の日朝6時集合とかにしといたら?」


「っ!6時集合とか早くねっ!?」


そこかよと突っ込みたくなったが工藤の興奮が余計に冷めなくなりそうなのでやめておく。


「6時集合はともかく、一昼夜年頃の男女が同じ屋根の下というのもな。気が引けるのは確かだな。」


「っ!君島ぁ!お前それでも男か!?とても正気の佐太とは思えぬっ!そこになおれいっ!」


もう工藤は面倒くさいので置いとくとして、言い出しっぺの高野が口を開いた。


「・・・やっぱり迷惑だったかな。せっかくのお友達を両親にも紹介したいなって思ったんだけど・・・。」


高野が悲しそうに俯いてしまった。


「私は美奈がいいならいいんだけどね。何かあってもあたしが守ってあげるわよ!」


「大丈夫!俺も誓って襲ったりなんかしないぜ!」


そうしてピシッと親指を立てた。何の誓いなのか。


「もうっ!だからしょーもないフラグ立てないで!」


「いてっ!」


椎名も遂に耐えかねたのかローキックが綺麗に工藤の左太腿に入った。その際に椎名のスラッとした足やおへそがちらちら見え隠れしてドキドキしてしまった。


「君島くん?」


高野がこっちを見ていた。私の目線に気づかれたかと今度は違う意味でドキドキしてしまったが、どうやら私の返答を待っているようだ。


「・・・ふう。しょうがないな。ではお泊まり勉強会にするか。」


まあ2人っきりとか高校生だけの外泊というわけでもないのだし、そんなに気にすることもないだろう。


「じゃあ決まりね!それじゃあ私、行きたい所もあるんだけど!」


ここに来て椎名がまたいらぬイベントをぶっこんできたのだった。

まだまだ話し合いは長引きそうだ。私は頭が痛くなりそうだった。

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