第1話 小さな魔女
小さな生き物がじゃれてる所って可愛いですよね。猫って可愛いですよね。よし、混ぜよう。そんな軽いノリで出来たお話です。ショートストーリーみたいな、短いお話がちょこちょこ続く感じになると思いますので、ゆるーく読んでやってくださいませ。
人は忙しそう。いつも何か急いでいるし、重いものを背負ってる。走る人間を見ながら猫に生まれてよかった、なんて欠伸しつつも思う。
……でもまぁ、私よりも気ままな奴らはいるのだけれど。かさり、動いた草むらに目をやれば小さな人の形をした生物。私から見たら人と全く変わりない。その大きさと能力を除いては。それの大きさは5~10cm程度、正直踏み潰されそう。少し大きめのダボッとした服。動きにくくはないんだろうか。そんな小さな生物がじゃれあっている。
これだけ見れば微笑ましいだろう。可愛い、で済むだろう。でも私は知っている。この小さな人間が火を、水を、風を、雷を、影を、それぞれ何も無いところから生み出せることを。そしてそのせいで私の尻尾の毛が犠牲になったのだ。前に散歩していた時に人間の子供が持っていた本を見ると、この生物は魔女と呼ばれる類らしい。この現代に魔女、等と思ったものだがそうでなければ説明出来ない。魔法は無い、のではなく見えない、なのだろう。猫である私にはまた別なのだろうが。
………どうやら興味があるようだね?私も誰かに話さねばこの鬱憤も晴れない。少しだけでいい。聞いてくれると嬉しいね。まぁ、今はこの生物の特徴だけでも覚えてくれればいい。話はその後でも遅くはないからね。
まずは水を操る魔女。どうやらルイと言うらしい。水色の長い髪をなびかせ翡翠色の目をしている。見ていると大変内気で泣き虫だけど、時折とんでもなく大胆なことをする事がある。私も驚かされることが多々ある。手先も器用なようで色々作っている様子が微笑ましい。
次に火を操る魔女。いや、見た目は男であるので魔女と言っていいかは疑問だが、面倒だし魔女で通そう。名前はレッカと言うらしい。彼は赤髪でつんつんとした髪型、目は真っ赤だ。言うなれば火そのもの。感情が高ぶると発火する。私の尻尾が燃えたのもそのせいだった。まぁ、その話はおいおい。少しは落ち着いて欲しいものだ。
次は風の魔女。名前はナルガ。緑がかった髪色で長さは肩にかかる程度。目は深い緑。おっとりした性格で魔女達のお姉さん的存在である。しかし普段静かな人ほど怒ると怖い。表情は笑顔なのに目が笑ってない。しかも彼女の周りに風が吹きまるでカマイタチのようになっている。竜巻を起こしたこともあった。敵に回したくないタイプだろう。
次は雷を操る魔女。名前はライハ。見た感じ最年少なのだろうか。私が見つけた魔女達の中で一番小さい。黄色の髪色で短髪。目は髪と同じ色だ。子供らしい元気さで猪突猛進と言った所か。レッカとぶつかる事が多いらしくよく揉み合っている。泣くと雷が落ちて大変な事になるがそうなる前にナルガになだめられているので大体未遂で済んでいる。色々なことに興味津々なのかちょっとしたことではぐれて迷子になっているのを見つける。やんちゃ、というのがしっくりくる。
最後が闇の魔女。名前はリアというようだ。髪は艶やかな黒で身の丈程あるのではと言うほど長い。髪のせいで顔が隠れているため表情はうかがえない。そもそもずっと寝ているので表情も何もない気がする。ルイとは時々話している様子が見られ一緒にそこら辺の花で冠を作ったりしていることもある。私としてはこの2人が癒しと言っていいだろう。(肝を冷やす奴らはまぁ予想通りだと思う。)
……とまぁ、私が見つけたのはこの5人。もしかしたらまだいるのかも知れないけどね。さて。今日はここまでに留めておくとしよう。私も眠くなってきたからね。お昼寝タイムだ。また来るといいよ、お客人。
読んでいただき有難う御座いました。今回はまぁ、紹介っぽくなってしまいましたね。ちょっとずつではありますが、この子達のことを書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。