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アルフとの再開3 ゾーン

スロウリー=ゆっくり=ソフトーク


最近音声ソフトも進化していてびっくりです。


「アンドリューを取り戻す?」

「そうだ……メイズイーターがメイズマスターを倒した際、オベロンはお前たちにメイズイーターは死ぬといったみたいだがあれは嘘だ、いや正確には違うといったところか」


「違う? 死なないということですか?」


「あぁ、メイズマスターが世界を崩壊させる。もしくはメイズマスターが倒されるまで……メイズマスターの元の人格も記憶も力も……死ぬわけではない」


「……では、一体どこに」


「一時的に封印をされるのさ……迷宮の中に、膨大な魔力に入念に包まれてな」


「……膨大な魔力に……」



「え? もしかしてそれって……」


びくりと、カルラは目を見開き……同時に僕もあることに気が付く。


まさにそれは。


「ラビの封印」


そう、迷宮協会があがめるラビ……その封印のようではないか。


その言葉に。


「あぁその通りだ……アンドリュー・G・ラビリンス……それがアンドリューの本名だ」


その言葉に、その場にいた誰もが……驚愕に凍り付く。


しかし腑に落ちるところもある。


それは、ブリューゲルが放ったラビの呪いと呼ばれるものを……メイズイーターで吸収できた時の話。 あれは単純に、メイズマスターの力であるから、メイズイーターで吸収ができたということなのだろう。


考えてもみれば、迷宮協会に王国騎士団が手を出せなかったのも……アンドリューを人質に取られていたからであり、アルフが必死になってカルラの中にあるラビの力を回収しようとしたのも……すべては仲間を助けるためだったのだとしたら……腑に落ちるところがいくつもある。


「しかし、魔物たちは人間に間違いなく敵対しています」


「そうだな、今迷宮を仕切っているアンドリューは、アンドリューの力を借りた偽物だ……おそらく俺たちの知っているやつとは似ても似つかない誰かの姿を借りてるだろう」


「どういう?」


「アンドリューのやつは魔法の天才だった。 メイズエンドシステムに気づいたやつはすぐに対策を講じてな……魂と力を封印される瞬間に、自分の肉体も力と一緒にふういんしたのさ」


「……まさか第一回の進軍って……」


「そう、その力が封じ込められた封印を奪いに行くために、ルーシーたちが派遣された。

だが、迷宮もバカじゃなかった」


「アンドリューの偽物が出張ってきて、邪魔をされた」


「そういうことだ……いや、最初からわかってたんだ……アンドリューはメイズエンドシステムの完成した瞬間がチャンスだと言っていた……だがロバートのやつは」


「……自分たちの力を過信し、迷宮に挑んだ」


「アンドリューとロバートは……親友だった。 それこそ、ほかのメンバーなんかと比べ物にならないほど……大切な……な」


行くべきではないと分かっていながらも……ロバートはそれを止められなかった。


確かに、その行為は間違いであったと僕たちはいえるだろう。

だがきっと、僕が同じ立場であれば……同じことをする。



「……あぁそういうことだ……結果、俺たちはルーシーを失った」


「……師匠」


「あんたは、そのことからロバートたちとは疎遠になったのね」


「あぁ……その計画を、俺は知らされなかったからな……」


無茶な計画よりも、仲間を無駄に失ったことへの怒りよりも……アルフは自分だけ 

のけものにされたことを悲しんだ。


「ようやく話が見えてきたね……つまりは、君たちはラビの力を回収しつつ、メイズエンドシステムを食い止めたい。 そういうことなんだね」


「そういうことだ……知っての通り、メイズマスターはメイズイーターにしか倒せない。同時に、封印されたアンドリューの力を回収し、それを正しく扱えるのも、メイズイーターだけだ」


「それをずっと隠していたのは」


「俺たちだけで片を付けるつもりだったからさ」


「自分勝手な話ですね」


「その通りだ。 アンドリューを助けるのも、アンドリューの力を回収したいのも、全部が全部言ってしまえば俺たちのわがままでしかない……仲間を助けたいってな……そんな自分勝手に……誰かを巻き込むわけにはいかなかった」


「だけど、そうは言っても、王都襲撃とか、迷宮協会とか……自分たちで片を付けるとか言っておきながらほとんどウイル君に任せきりなんですけどー」


「その点は本当に至らなくて済まないと思っている……いや、ほんとごめん!」


珍しくシオンがチクリとさした。


「……まぁいいけどね。 おかげで尋常ではありえない速さでレベルアップもできたし」


「お金も稼げましたからね」


「そう言ってくれるとありがたい……」


そう都合よく笑うアルフに対し、僕はあきれる反面……ほっとした。。


僕の知らないアルフの顔があるのではないかと……僕の接してきたアルフというのは、メイズエンドシステムを遂行させるための嘘であり……本当はもっと違う人間がアルフのうちにいるのではないかと……僕は不安に襲われたのだが、しかし、誰よりも仲間思いで不器用な変わらないアルフに……友人を失わないで済んだ僕の心は晴れ晴れとする。


「……裏切られたと思ったよアルフ」


だから、僕はそっとアルフに手を差し出す。


まだ何も変わってはいないし、僕がこのままいけばメイズマスターになるという事実は変わらない。

だが、それでも……今は友達を失わなかった……それだけで僕は十分なのだ。


「お前……俺はお前たちをだまして裏切ってたんだぞ?」


「裏切り……ではぎりぎりないことにしておくよ……友達のためっていうのと、僕が逃げ出したら全部終わりだったんだもんね」


「……あぁ。 何の因果か、冒険者に向いてないくらい優しいお前に、メイズイータ

ーの力が渡っちまった……きっと本当のことを話したら……お前は逃げ出す……いや、俺はお前を逃がしちまってたと思う」


あまりにも重い宿命を背負い、迷宮に挑み続ける。


確かに、コボルトに追い回されていたころの僕であれば、到底かなうはずのない大役だ。


そんな姿をおせっかいのアルフが見過ごすわけもない。


だから、成り行きに任せたのだろう……何も語らず、何も語れず。


「関係再開ってやつだよアルフ……またよろしくね」


仲直り……というのは少し違うから、僕はあえてアルフとの関係を再開するという言葉を使った。


そんな言い草にアルフは黙って笑い……そっと僕の手を取った。


これで、何もかもが元通り……というわけにはいかないが、それでも彼との友情はまだまだ終わる気配はなさそうだ。


「……くしくもあなたの判断は正しかったということですねアルフ……」


「そうだな、今やリルガルム一の冒険者だ……」


苦笑を漏らすサリアは、どこかまだ不満げであるがお代わりで用意されたジョッキを手に取り、アルフのジョッキにぶつけてちんと鳴らす。


仲直りのしるしだろう。


「……まぁ、でも気になったことが一つだけあるよー?」


「なんだ?」


「ティズちんはメイズイーターを選定するものだって言ったじゃない?」


「あぁ」


「なんでスロウリーオールスターズの中からメイズイーターを作らなかったの?」


「……確かに、技能に経験、ノウハウという点でいえば、メイズマスターとの対峙はスロウリーオールスターズから出すべきでした……それこそ、師匠やあなたがメイズイーターを手に入れれば作戦の成功率は格段に跳ね上がったはずです」


それがなぜ、ティズはリルガルムの最北端ノスポールムラで妖精狩りに合う……なんて羽目に陥ったのか。


「……あぁ、そのことだが、お前たちの言う通り、本来であれば次のメイズイーターはスロウリーオールスターズの中から生まれるはずだった」


「やはり……しかしなぜ?」


「俺がアンデッドハントを追っている理由がそれだ」


「?というと?」


「メイズイーターを受け継ぐ数日前に……その候補者がアンデッドハントによって襲撃され……姿を消した……すぐにロバートや俺たちはそいつを探し……ようやくそいつの手掛かりを掴んだと思ったら、そいつを助けに行ったティターニアが……今度は行方不明になったのさ……そっからロバートはおかしくなっちまった……」


「……待って……その村が、ノスポール村ってことだよね……それって……後継者って」


「お察しの通りだ……スロウリーオールスターズが一人……次元渡りのゾーン……本来であればお前の父親が……メイズイーターになるはずだったんだ」


                     ◇




【スロウリーオールスターズ】

英雄王ロバート。 音律の魔導士アンドリュー・G・ラビリンス。剣帝ルーシー・S・ガスタール。

無限頑強のアルフレッド。 妖精女王ティターニア。 次元渡りのゾーン。


この六人で構成されたワールドスキルホルダーの集団。 圧倒的な強さで戦争をおさめ、長きに渡る3大陸を巻き込んだ部族戦争を終結させた。 ちなみに、名前からわかる通りアンドリューはカルラの祖父である。 秘匿事項であること、ブリューゲルはアンドリューをラビとは認めていなかった事より、カルラには伝えられていないが、ラビの後継者としてブリューゲルがカルラを利用したのは純粋に血縁関係があったから。 さらに、死なずの呪いは息子夫婦を虐殺したブリューゲルに怒り狂ったアンドリューがかけた。 そりゃ怒るわ……。

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