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100の‥‥‥

昔、力が欲しいと願った。

それが間違いだった‥‥‥









赤く空が染まる時にいつも言っていた事

「あ~あ、力があったらな~」

「無理だよ。願ったってすぐつくものじゃないし」

「分かってるけどさー」

「でも何で欲しいの?」

「だって、俺は体弱いし、頭も良くないけどさ…守りたいものは守りたいじゃん」

「君は本当、優しいよね」

彼女はいつも笑いながら言ってくれていた。


だけどあの路地を曲がって別れた時、あいつがいた。



「君、何か欲しくないかい?」



全身黒づくしの奴がしゃべってきた。最初は何を言われたか理解できなかった。

「もう一度言うけど、何か欲しくないかい?」

「何かって?」

「君が望むもの全部、君が満たされるまで」

黒づくしの奴の言うことにとても引かれた。自分の欲しいものがもらえると感じた。

そこに疑いと言う文字はなかった。

「条件は?」

「お、乗ってきたね。条件は俺も満たして」

「どうすればいい?」

「いや、勝手にやるけどいいかい?」

その時はそんなことどうでもいいと思ってた。力が欲しいと思ってそれ以外はなにも考えていなかった。

「いいよ、お前の名前は?」

「名のるようなものではないけどさ、この世界で言う“死神”」

「お前のことはどうでもいい。俺が欲するものは全部くれ!」

「いいよ、条件は満たしてね」

死神は俺の方へ来たかと思うと俺の目の前で透けて消えて行った。

最初は夢でも見ていたのではないかと思っていたが、それは夢ではなかったことを次の日に教えてくれた。

次の日はとても爽快な気分だった。今までいじめてきた奴等が虫並みに弱く感じた。

そのうち学校で一番強くなった。

いつも帰っていた彼女には

「すごいじゃん、いつの間にそんなに強くなったの?小さい頃はでこぴんでも泣いてたのに」

「内緒、あの頃とは違うのだよ」

色んな奴に自慢をした。そのうち、いつも称えてきた奴等がよりつかなくなった。

いつの間にか周りには彼女しかいなくなった。


“寂しい”


そんな事を考えていると死神がやってきた。

「何か欲しくないかい?」

いつもの口調でいってきた。

「権力が欲しい」

そう願ってしまった。死神は分かったようにまた同じように消えて行った。

その日からおれの後ろについてくる奴や、今まで普通のしゃべり方だった人達も俺に敬語を使うようになってきた。王様みたいで嬉しかったがだんだんつまらなくなってきた。

そうして、いろいろと死神に与えてもらえれば、まだ満たされない。

その繰り返しする日常が根付いてきた。そんなある日、俺のことを疑うものが現れた。死神の存在を知られたくない、自分のものだけにしたい。そんな願いが叶ってしまった。

そして、念じた相手を事故死させる能力がついてしまった。最初は不気味で嫌だったが、自分の感情だけで相手の命が左右させる快感にはまっていた。嫌な相手がいるとすぐ殺す。とてつもない面白さ、とても自分では止められなかった。



だけどある日、彼女には話さないといけないような気がした。なぜだか分からないが秘密を共有して彼女との距離を縮められるのではないかと考えていた。帰り道、彼女には強くなったことだけの経緯を話した。人を事故死させたことやそのほかのことは話せなかった。

「すごいね。でももう願わないほうがいいよ。君が優しい人なんだから、そうゆうところが好きなんだから」

と、笑って彼女は言ってくれた。その日からはもう願わないと決めた。



だけど、ある日の放課後、彼女は別の男と話ながら帰っていた。その時は偶然だろうと思っていたが、その回数はどんどん増えていき、いつしか彼女は近くにいなくなった。その男に聞いてみた。


「彼女のことが好きなのか」


彼は紛らわしながら否定しているが答えは分かってしまった。






次の朝、彼は橋のしたで水死体として見つかった。

彼女は泣いていた。雨と一緒に泣いていた。俺はなにもしなかった。なにも できなかった。



彼女は学校に来なくなった。心配になってお見舞いに行ったら部屋に入れてくれた。


「死神を追い出そう!早く普通に暮らそう」


彼女によると死神を追い出すには血がたくさん必要だった。今まで彼女が一緒に帰らなかったのは血を集めていたからだったらしい。俺は後悔した。俺のために犯罪をおかしてまで血を集めてくれた彼女に、なにもしてあげられなかった。素直にその血を受け取ろうとした。だが、俺は死神を失うことが怖かった。この力を失うことが怖かった。そして俺は‥‥‥。



体が赤に染まった。



泣いた。



血と涙が混ざり床は濡れた。



嫌な匂いが体にまとわりつき、耳には彼女の最期の言葉だけが残った。




《ずっと、ずっと好きだったよ》




彼女の部屋を飛び出して訳もわからず走った。ただ無我夢中で走った。そして俺は死神と出会った路地でまた、死神と出会った。

「返してくれ、返してくれよ!早く!今までのものは返すから!」

「何をだい?」

「彼女を、返してくれよ!お願いだ!」

「ククク、ハハハハ、ア――ハハハハ!」

ネジが壊れたような声で死神は笑った。

「返してくれ だと、笑わせる。だから人間とは愚かなのだ。なにも失わずに手に入れようとする。そんなわけないだろ!何かを手に入れようとするのは、何かを失うことと同じなんだよ」

「 俺が欲するものは全部くれると言っていたじゃないか!俺は、今、彼女を欲している!かなえてくれよ!」

「あー、それ。もういいや、99個、集まったし」

ビンのなかにビー玉ぐらいの大きさのきれいなものが詰まっていた。

「それは、何だ?」

「これ?私を満たすもの。君から頂いたもの。冷静、感情、血や肉、そして君が守りたかったものとかね」

声が出ない。

怒鳴ったり、

殴り飛ばしたいのに、

体の力を奪われたように 動かない。

「そして最後、君から涙をもらうね」

俺の涙を奪って握りしめたと思ったら、中から出たのはビー玉みたいなものだった。それをビンのなかに入れると光りだし、その光に包まれた。





その光のなかでもがいていた。そのなかに死神がいた。死神は笑った。


「ありがとう、100、集まった。自由になった」


死神がフードを外すとそこには笑顔の彼女がいた。俺は絶叫していた。そのあとは覚えていない。











起きるといつの間にかいつもの路地にいた。ただ、全身が黒づくし。あの死神と一緒の衣装だった。胸のところで不可解な音が鳴っていた。チクタクチクタクと。胸を見てみるとテレビでよく見る爆弾らしきモノが何本か、その中心には数字がかかれていた。


《あと100 ××日、×時間》


気味の悪い機械仕掛け声と同時にカウンターが動きだした。

光のなかでの死神のことばを思い出していた。


「は、早く集めなきゃ、100」


俺は100集めるために走りだした。


 Fin

ありがとうございました。

これからも私の作品を読んでもらえたら幸いです。


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