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奏交フォルティッシモ  作者: 蒼崎 れい
Phase06:Play the myself , as the melody of Fortissimum
49/62

Stage48:2063/01/26/19:00:25【-0004:59:45】

 スタートの鐘が鳴ると同時に、俺を含めた前衛陣は一気にゲートを潜り抜けた。目の前からは見慣れたサル型モンスター、ボノボノが向かってきている。

 レベルは低い。恐らく、奥に行けば行くほど、レベルが高くなっていくんだろう。この程度、足止めにすらならない。

「はぁっ!」

 必殺技を発動する事すらなく、俺はボノボノの大群を次々と斬り伏せていく。

 前衛陣は、全員がHP自動回復スキルを持っている。向こうの攻撃に自分から体をぶつけ、無理やりダメージを入れて消し飛ばす。

 多少は残っても、たかだか五、六匹では直後の後続──ユイさん達に一掃されていく。

「瑛士さん、なかなかいい動きするじゃないですか。反応もかなり速いし」

「あ、ありがとうございます」

「機会があったら、パーティー誘ってもいいですか?」

「はい! 是非お願いします!!」

 やべぇ、十位の人にパーティー誘われちまったよ!

 うぉぉおおおおおおおッ! やる気だ出てきたぁああああああッ!!!!

 前みたいに、アルマジロ型モンスターのマジラモスが、鳥型モンスターのカロッコを伴って現れた。

 でもそんなレベルじゃ、足止めどころか消し炭になるのがオチだ。

「フィアンムド☆」

 よく通るノリノリのレヴィたんの声と一緒に、後ろから火球が飛んできた。

 他にも風や水の砲弾、雷撃なんかも混じってる。

 合計で三〇体くらいはいたモンスター達が、ものの数秒で消し飛んだ。

「敵撃破効率も高水準だ。このまま進軍速度を落とさずに、行くぞぉおおおおおお!!」

 後ろの方から、威勢のいい声が聞こえてくる。恐らくは、この攻略組パーティーの指揮を執ってる人だろう。攻略組っつのはもちろん、タイムアタック最速を狙うって意味。

 激レア報酬を目的に、戦闘能力の高いランキング上位メンバーで作ったパーティーの中に、なんと俺達も入っちゃったってわけだな。

 ライトフォーゼにもさっき言ったけど、ただ数だけあっても意味はない。きちんと統率がとれて、各々の役割を果たせないと。

 だから、それなりに実力があって信頼できるメンバーばかりを集めたら、偶然その中に入れたってわけ。

「エレクトルボゥ!」

 さてさて、お次は地面から虫さん達のご登場だ。

 クリムゾンアント。顎の噛みつきと蟻酸攻撃をしてくるモンスター。

 そいつらに俺は、麻痺効果のある雷系魔法を放つ。

「アレスク」

 更に移動速度アップの補助魔法も使い、で一気に先頭まで躍り出て、

「ダンナースプラッシャー!」

 麻痺で動けなくなったクリムゾンアント達のど真ん中に飛び込み、エンシェントブレードから伸びた雷の刃で回転切りをかましてやった。

 薙ぎ払われたクリムゾンアント達は、数匹を残してポリゴンとなって散っていく。

「やるじゃねぇの!」

「うわー、うちの見せ場取られてもうた」

「次は、僕の番です!」

 前衛組からかけられる賞賛の言葉。くぅぅぅ、たまらん!

 俺の真似をして加速した二人が、更に前から出てきたクリムゾンアントに飛びかかった。

 片方はステップを踏むみたいに優雅に舞いながら風を纏った刃で斬り裂き、もう片方は防御力に物を言わせてタックルで薙ぎ払いながら炎をまとった大剣をぶん回して消し飛ばす。

 まだまだレベル差もあるってのはもちろんだけで、視界を埋め尽くそうてしていたクリムゾンアントの大群は、三〇秒すら持たずに全滅した。

 すると、いきなりレヴィたん(松井先輩)からホログラス経由で電話がかかってきた。

 視界の端に、レヴィたんの顔が表示される。

『ちょ、前衛組速すぎなんだけど、お兄ちゃん達何やってんの……』

「最大効率目指して敵陣切り崩してるだけ」

『まぁ、パーティー組んでるから経験値は入るから、別に暇でもいいんだけどさぁ。フィアンムドッ! まぁ、暇ではないけど。遠くから湧いてくるの潰してるから。デモニックレイッ!』

 と、頭上を超えて赤い線が横薙ぎに放たれたと思うと、進行方向で大爆発。クリムゾンアントっぽい外見のモンスターが、ポリゴンになって散っていった。

『ただ、後続が遅れ始めてる。うちの複合パーティーだけ突出し過ぎると、後ろからも攻撃受けるから、少し緩めてね』

「わかりました。進軍速度をちょっと緩めます」

『お願いね☆』

 魔法砲撃で忙しい時に限って、キャラ作り徹底してるよな。

 まあそれはそうと、少し足を緩めないとな。

 他の前衛組や、その後ろから小湧きしてくるクリムゾンアント達を消し潰してきた前衛補助組達にも、同じように自分達のパーティーから連絡が来ていたんだろう。

 全員がほぼ全力疾走から、三、四割ほど速度を落としていた。

 この間に、消費したMPを回復しないと。最前列からやや内側に入って、アイテム一覧からポーションを選んで出現させ、それを一気に飲み干す。

 甘いような苦いような味がしたと思ったら、二割弱ほど減っていたMPがバーの端まで回復した。

「瑛士くん達、すごく速いね。でも狩りすぎだから、私達仕事なくて暇なんだけど」

「いや、それはそうなんだけどさ。そういや、なんで今日学校来なかったんだよ」

「今それ聞くぅ?」

「だって、昨日あんな事言われたから、今日なんて言おうかずっと考えてたのに、来てねぇんだもん。電話かけても不通だし」

「あはははぁ……。ごめんねぇ。今日定期検診で、病院行ってたの。あ、健康診断みたいなのだから、別に病気とかじゃないよ? どこにも異常なかったし」

 そういえば、昔心臓の手術したんだったな。きっと、それの定期検診なんだろう。

 はぁぁ、今日気合い入れていった意味は、いったいナンダッタンダ。

「あ、今返事するのはナシだよ。私、リアルで聞きたいから」

 俺の心を見透かしてるみたいに、先回りされた。

 仕方ない、来週の月曜日、ガンバレ俺。

「さぁさぁ、前衛組は前に行った行った!」

 恥ずかしさを紛らわせるみたいに、顔を真っ赤にしたユイさんが背中をばんばん叩いてきた。

 確かに、俺もこのままこの場にいるのは恥ずかしい。

 両足への力を強め、俺は再び最前列へ戻った。




 その後も、上位組の複合パーティーによる快進撃は続いた。

 ゴーレムを粉砕し、虫達を蹴散らし、鳥は撃墜、その他陸上モンスターも、鬼畜の正面火力でごり押し。

 ただ、モンスターのレベルが上がるにつれて、進軍速度はだんだんと落ちてきている。

 ほとんど通常攻撃で一発だった最初の頃と比べたら、今のゾーンは必殺技スキル一つでは沈められない。

 遠距離の内から魔法砲撃を叩き込み、HPを削れるだけ削ったところで、前衛組の必殺技スキルを同時に食らわせてなんとか倒しているのが現状だ。

 でも、それは他の国も一緒だろう。三位、四位、七位を擁する、うちの国と同じく正面火力が売りの【サラマンデール】、六位、八位、九位を擁する【ウェンディーヌ】は魔法砲撃が群を抜いていて、唯一擁する最強プレイヤーフォルティッシモ・ディエチが一位の【グランノーム】。

 どれも油断できない相手だけど、単騎での突撃には限界がある。どこの国も、うちと同じように上位陣が複合パーティーを組んで、後ろは勝手に付いてくるその他のプレイヤーに任せる算段だろう。たぶん、他のサーバーの国も。

 どこまでいっても所詮はゲーム。全体を指揮する事はできない。なら、可能な範囲でそれを行い、好き勝手する他のプレイヤーに合わせて戦術を考えるしかない。

「はぁ、はぁ、洞窟が見えてきたぞ。あと一息だ!」

 最前列で上位のサル型モンスター、ボノゲヒアの群れを単独で沈めた最強プレイヤーフォルティッシモ・ディエチ二位のプレイヤーが、全体に向けて叫んだ。

 それを聞いて俺達も、相手にしていたボノゲヒアを一掃する。周囲に敵がいなくなった事で、改めてHPバーとMPバーへと意識を向けた。

 ゆっくりと回復しているHPバーは五割を切る目前。MPバーの方はすっからかんになっている。

 でも、さすがは上位陣の複合パーティー。疲れは溜まっていても、脱落者はいない。もっとも、後続の方はそれなりに被害が出てるけど。

 戦列は途切れてないけど、横から来た敵にそれなりの数が撃破されている。

 とりあえず、アイテム一覧からHP回復ポーションとMP回復ポーションを複数個出して、飲み干した。精神的な疲れは抜けないけど、体の方はこれでまだまだ動く。

「ふぃぃ、おーいーつーいーたー」

「瑛士さん、お疲れ様です」

 すると、後ろの方から小走りでレヴィたんとラピスがやってきた。

「あれ、なんで二人がいるの?」

 そこへ、ポーションを飲みかけのユイさんも追加。

「さすがに、前衛の進軍速度が落ちてきたからねぇ」

「お二人とも、HPの回復なら任せてください。レシナルト」

 ラピスが呪文を唱えると、HPバーが一気に端まで全開した。

 どうしよう、回復系の魔法覚えたくなってきた。

「休憩したなら、速く行ってください。四〇ヶ国でのタイムトライアルなんですから、速く行かないと」

 とまあ、ラピスお嬢さんにそうおっしゃらるては、頑張らないわけにもいきませんな。

「なら、先に行ってるから」

 ユイさん達に一言いってから、俺は最前列へと復帰した。

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