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奏交フォルティッシモ  作者: 蒼崎 れい
Phase06:Play the myself , as the melody of Fortissimum
48/62

Stage47:2063/01/26/18:56:41【-0005:03:19】

 やべぇ。色んな意味で死ぬかと思った。

 戦闘貢献度や経験値上昇率とかから算出される、プレイヤーズランキング。各サーバー上位ランカーには特典アイテムやお金(クレジット)がつくんだけど、ランキングトップページに表示される十人は、特に最強プレイヤーフォルティッシモ・ディエチなんて呼ばれ方をしている。

 んだけど…………いたんです。ランキング二位と五位、そして十位の三人が…………。

 あの人達って、【シルフィーダ】の人だったんだな。

 てか、レヴィたんなんでそんな人達と知り合いなんだよ。

「でもまさか、オレなんかがトップの方々と一緒にプレイできるなんて。夢じゃないよな?」

「夢じゃないけど、邪魔だけはするなよ。スペック違いすぎるから、下手うつと邪魔にしかならねぇぞ」

「わかってるって。なんだよあの武器と防具。どんだけやりこみゃ、ああなるんだよ」

 それに関してだけは、俺も同意せざるを得ない。

 現在公開されてる中では最高級のハンドメイド、オア、モンスタードロップの激レアアイテム。それの最終強化済みの武器と防具なんだぜ?

 持ってる方も持ってる方だけど、作る方もたいがいどうかしてるだろ。

「とか言いつつ、お前のその武器もたいがいだけどな。俺のやつの三倍くらいあるじゃん」

「そりゃ、一日に一回しか湧かないモンスターだからな。それにあの凶暴さと強さなら、これくらいのドロップじゃないと納得いくか」

 そう言いながら、俺は腰からぶら下がる、黒曜石のように黒光りするエンシェントブレードに手をやった。

 大きさも重さも丁度いい。まさに、俺のためだけに作られたみたいな……。いや、違うってわかってんだけどね。

 だって五位の人、最終強化済みのエンシェントブレード持ってたし。

「ふははははぁ。余裕だねぇ、お兄ちゃん達ぃ」

「レヴィたん先輩、いきなりあんなモノゴッツイ人のとこ連れてかないでくださいよ。オレ緊張してちびるかと思いましたよ」

「さすがに、一言くらい言っておいてください。俺もだいぶびっくりしましたよ、最強プレイヤーフォルティッシモ・ディエチの人いて」

 心臓に悪いから、マジで。

「ところで、ユイさんとラピスはどこですか?」

「おうおう、二人とも俺の女ってか? エイジお兄ちゃんも隅に置けないねぇ」

「ちげーよ」

 いらん時だけオヤジ化するなよ。

 しゃべりまで幼女キャラ貫いてるんだろうが。

「まぁ、冗談はさておき。あたしと違って中身もリアルおんにゃのこだから、ほとんどアイドル状態になってるよ」

 と、ちょっと遠くを指差すレヴィたん。

 その指の差し示す場所に視線を向けると、割とレベル帯の高そうな方々でできた人垣が見える。

 俺とライトフォーゼは確認の意味も込めてもう一度レヴィたんに視線を向けて、二人そろって高レベル帯の人垣を指差すと、うん、って大きく頷きやがった。

 あー、ありゃ確かに、大変そうだなぁ……。きっとあの中で、激レアアイテムと一緒に山のようなフレンド登録依頼が届いてんだろうなぁ……。

 ただ、なぜだろう。ラピスの方はハイライトの消えた目で一蹴しそうな気がする。

 なにせ、野良パーティーすら嫌悪するよえなヤツだからなぁ。

「やっぱ、中がリアルな女子って人気なんだな。なぁ、瑛士」

「そりゃライト。どっかの見た目が幼女でも、中身が留年した男子高校生と一緒にしちゃダメだろ」

「お兄ちゃん達、最近あたしに対する態度がヒドいよね」

 さーて、雑談している内にだんだん時間が近付いてきた。

 参加者は全員、【シルフィーダ】の出入り口付近に作られた、特設ゲートの近くに集まっている。

 このゲートをくぐったプレイヤーから、イベントクエストが開始される。

 イベント中は何度死亡してもペナルティーはつかないけど、復活は不可能でゲート付近にリスボーンされるようになっている。

 奥に進んでから死ぬとまた振り出しに戻るので、油断は禁物だ。

 魔城へ続くゲートがある洞窟以外からも、相当量のモンスターが出てくるらしいから、奇襲にも気を付けなければ。

「そういえば、レヴィたん、杖が新しくなってますね。この前のでドロップでもしましたか?」

「お、さすがエイジお兄ちゃん。観察力ゼロのライトお兄ちゃんとは、目の付け所が違うねぇ」

 いやいや、そんな明らかに俺剣と同じ素材っぽい杖持ってたら、誰だって聞くでしょ。

「ほい、これデータ」

 そう言って、レヴィたんは攻略Wikiの情報を見せてくれた。

 って、えぇ……………………。

「エル・アンティークスタッフ?」

 素の魔法攻撃力が、俺の剣よかもう一段階上だとぉ!?

「うん。エンシェントシリーズの、もう一つ上みたい。てへ☆」

 だから『てへ☆』じゃねぇよ、『てへ☆』じゃ。

 中身知ってるから、全然可愛くねぇんだよ。

 最初の頃はちょっとヤバかったけど、一ヶ月もしてたら耐性もできるわ。

「まあそんなわけで、これで今まで以上に、容赦なく敵を薙ぎ払えるのであります。おにいたん☆」

 だから、首ちょこんって横に傾けて可愛らしく敬礼しても、台詞の物騒さは軽減されねぇよ。

「あー、疲れた」

「ユイさん、真剣に答えすぎです。あんなの、踏まれたって喜ぶんですから、容赦なく蹴ればいいんですよ」

「それができたら苦労しないって」

 いい加減イライラが溜まってレヴィたんを一発しばきたくなってきたところで、ユイさんとラピスの二人が人垣をかき分けて出てきた。

 あ、今のだと語弊があるな。正確には、人垣をかき分けて出てきたのはユイさんだけで、ラピスは人垣を踏み越えてきた、だ。

 いくらなんでもそれはダメだろって注意しようとも思ったんだけど、践まれたヤツがあんまりにも幸せそうな顔してたから、思わず引いちまったよ。

 あれか、これがいわゆる『我々の業界ではご褒美です』ってヤツなのか。

 仮想だけど、リアルで見るとキモ過ぎて引くわぁ。

「それじゃあ、全員そろったところで、もう一回それぞれの役割の確認ね。エイジお兄ちゃん突破力を武器に、前から来る敵をどんどんぶっ飛ばしちゃって」

「了解です」

「次、ラピスお姉ちゃんは、二人を含めた前衛陣のサポート。全員のHP管理、任せたから」

「わかってます」

「ユイお姉ちゃんは、エイジお兄ちゃん達に向かってくる横からのモンスターを牽制」

「任されました~」

「ライトお兄ちゃんは、固いモンスターが出てきた時は呼ばれるから、優先して叩きに行って。後は基本、横っ腹を突かれないように側面からのモンスターに注意」

「わ、わかりました!」

「で、私は遊撃隊。前方以外で、敵の団体さん見つけたら大声で教えてね。遊撃隊(私達)の内の誰かが、魔法砲撃ぶちかますから」

「「「「了解!」」」」

 そして、いよいよイベントがスタート。

 フィールド全体に聞こえるような鐘楼の音が響き渡った。

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