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奏交フォルティッシモ  作者: 蒼崎 れい
Phase05:Growing vernal feelings
39/62

Stage38:2063/01/19/20:00:37【-0171:59:23】

 一昨日(おととい)の夜になって、俺達はようやっと木材の伐採から解放された。

 あのくそぶりっ子め、後から後から本数増やしていきやがって。お陰でなんか、高速伐採のスキルまで開眼しちゃってるじゃねえかよ。

 効果、伐採用のオノ装備時に、伐採効率が十パーセントアップ。ヤメテ、もうしばらく木のあるフィールドにはイキタクナイ。

 だから昨日は憂さ晴らしに砂漠系のフィールドでアホほど暴れて、他のプレイヤーからメッチャ引かれてたよ。

 いやぁ、いいねぇ、HP自動回復スキル。レベル帯にもよるけど、上手く立ち回れば回復ポーションいらねぇし。

 おかげで(クレジット)荒稼ぎできた。経験値はそこそこだったけど、久々に戦闘で身体動かせたぜ。

 “《眞鍋咲希》さんから入室の許可が求められています。許可しますか?”

 “《三枝美夏》さんから入室の許可が求められています。許可しますか?”

 “《柏木琢磨》さんから入室の許可が求められています。許可しますか?”

 っと、きたきた。

「全員入室を許可」

 三枚のダイアログに許可を出すと、電子の海を見渡せる窓際に、三つのアバターが構成された。

「先輩、眠いです」

「やっぱ眞鍋のアバター、全然慣れねぇわ」

「あははははぁ。でも、ゲーム内のアバターと似てるから、私はそうでもないかな」

 残念お嬢様アバターの咲希に、ブレゴス内のアバターデータを使ってる柏木と三枝さんだ。

 なぜこんな風にパソ研のメンバーが俺の仮想の部屋にいるのかと言うと、松井先輩からそういうメールが来たからなんだけ……ん?

「あ、松井先輩からメールが」

「私にも」

「お、オレにもだ」

「こっちも来ました」

 視界の右上に表示された新着メールのアイコンをタップ。

 すると、




From:松井泰範

Sb:すまん

家の件なんだが、もう少しかかりそうだから、適当に時間を潰しててくれ。




 おい、自分で呼び出しといてどういう意味だよこれ。

 他の三人も、呆れたような、見放したような表情になっている。そりゃ、こんだけ待たされてこれじゃあなぁ……。

「とりあえず、一狩り行きましょう。今朝、絶好の穴場スポット見つけたんです」

 咲希の提案により、俺達はブレゴスを起動させた。




 咲希こと、ラピスに案内されて到着したのは、怨霊の沼とかいう、見た事も聞いた事もないフィールドだった。

 ネットに繋いで攻略Wikiを見てみたけど、やっぱりない。

「どうも、出現には特定の条件が必要っぽいんですけど、それがわかんないんですよねぇ。それに、村とかからけっこう離れた場所にあるんで、見つかりにくかったみたいです」

 自慢気なラピスは鼻息むんむんで仁王立ち。可愛いやつめ。

 でも確かに、穴場的なフィールドなら、何か特殊なものがあってもおかしくないな。

「それではぁ、みなさん行きましょう!」

 その後俺達は、ラピスがなぜこんなにニヤニヤしていたのかを知った。




「バスタースラァァァアアアアアッシュ!」

「ブラストスラッシャー!」

「チェインスピアー!」

 俺達は視界を埋め尽くす勢いで向かってくるモンスターに向かって、範囲攻撃の必殺技スキルを連発していた。

 ライトフォーゼのバスタースラッシュは、大剣を打ち下ろした場所を基点に、前方に斬撃を飛ばす技。

 同じく、俺のブラストスラッシャーは放射状に斬撃を、ユイさんのチェインスピアーは連続した突きを飛ばす技だ。

 三人の一斉射で二〇体はまとめて吹き飛ばしたはずなんだけど、

「あの、ラピス! これどうなってんのよ!」

 とまぁ、悲鳴を上げちゃうライトフォーゼの気持ちも、わからなくはない。

 なにせ相手は、沼の中から無限増殖して出てくる泥の腕なんだぜ。

 マッドハンド。ごっつい人の手を三倍にしたようなサイズの手が、またまたうねうねしながら近付いて来る。

「なら、これならどうだ、シルフブレード!」

 新たに取得した必殺技スキル、シルフブレードで俺は近付いてくるマッドハンドをまとめて斬り伏せた。

 シルフブレードは、剣の先に風の刃を作る必殺技。発動中は常時MPが消費されるけど、その分威力も折り紙付き。

 近づいて来るマッドハンドを、根こそぎ薙ぎ払った。

「すっげぇぇ…………。お前どんだけやりこんでんだよ」

「悪かったな、リアルでやる事なくて暇なんだよ、お前と違って」

「あれよりちょっと小さいのなら、私もできるんだけど」

「え!? 嘘!! ユイさんもできるの!!」

 ちなみにレベルは、レヴィたんも含めた五人の中だと、ライトフォーゼが一番低かったりする。

 ユイさんは最近俺といる事が多いせいで、いつの間にかけっこうレベル差できてるんだよなぁ。

「ラシャールバレット!」

 とか言ってたら、頭上を超えて風の弾丸が近付いて来ていたマッドハンドを、根こそぎ消し飛ばした。

 俺も一応魔法使えるけど、本業の魔法使いはやっぱすげぇなおい。何千発あったんだよ、今の弾。

「う~ん、やっぱり魔法でまとめてぶっ飛ばすのって気持ちいいですね。弾数無限大で二丁マシンガンぶっ放してるみたいです」

「ラピス、これってお前一人でも大丈夫なんじゃないのか? MP自動回復スキル出てんだろ?」

「それはそうなんですけど、必殺技スキルの魔法だと消費量の方が多いのと、あと精神的に疲れるので」

 二つ目のは後でしばくとして……。あんな魔法使ってたら、確かにMPはすぐ切れるよな。

 おっと、俺もMP回復ポーション飲んどかねぇと。

「んぐんぐ。ぷはぁ~っ! ふぅ。ま、経験値稼ぐにはいいか」

 ラピスが魔法で向こうのHP削ってくれてるから、こっちが一撃で倒せる。

 まあ、それがパーティーの意味なんだけど。

「それはそうと、撃破ボーナスで手に入る、この『滑らかな泥』って何に使うんだ? 泥パックか?」

「さぁ、私に聞かれても。ラーシャルストリーム」

 あぁ、近寄って来てたマッドハンドが、また皆殺しに。そして運良く残ったのも、ユイさんとライトフォーゼにやられてる。

 経験値はみんなに入るからいいとして。

「おぉ、なんか『超滑らかな泥』出た」

「よかったね、ライトくん」

「頭悪そうな名前だな」

「ですね、まるでネカマ先輩みたいです」

 そして、噂をすれば何とやら。

「そのネカマ先輩から、たった今呼び出し(ラブコール)来たぞ。家できたってさ」

「じゃあ、撤収しましょう」

「ユイさん、ライト、レヴィたんから召集令きたぞー」

「わかった~! 今行くね~! チェインスピアー!」

「……みんなスゲェ」

 ラピスがHPを削っていたマッドハンドをユイさんが殲滅したところで、俺達は怨霊の森を脱出した。




「ふふふ。待たせたな、野郎共」

 マジで待たせすぎじゃボケ。もうすぐ日付が変わりそうじゃねぇかよ。

「先輩、私野郎じゃないんですが」

「ネカマ野郎には言われたくないですけど、バカなの死ぬの」

 とまぁ、出オチ乙なレヴィたんがラピスに精神的にぬっ殺されたところで、見に行きますか。我等パソ研の、マイホームとやらを。

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