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奏交フォルティッシモ  作者: 蒼崎 れい
Phase04:Spring bloom in winter
34/62

Stage33:2063/01/12/18:11:47【-0341:49:13】

 いつも通り、夕食のカップ麺を食べてトイレを済ませて、仮想世界に没入(ダイブ)した。

 入ったばっかでトイレ行きたくなったら、元も子もないしな。

 ブレゴスのメニュー画面からフレンドのログイン情報を見てみると、三枝さんと柏木以外はみんなインしてる。

 あ、みんなって言っても、この場合は咲希や松井先輩だけじゃなくて、それ以外のゲーム仲間も含めての話。オンラインだけの関係だけど、六人で色んなゲームで同じギルドやチームやら組んでやってきたから、けっこう気の知れたメンツだ。

 ブレゴス始めてからこっち、たまに連絡とってるだけだったから、久々に一緒にやるのもいいか。

 レベル帯はぁ…………よし、俺がちょうどド真ん中。

 そうと決まれば俺は早速ゲームを起動させて、メールを飛ばした。




 いやぁ、久々のメンバーで遊べて、すんげー楽しかったよ。

 国が同じ奴もいれば違うやつもいて、それなのにわざわざ遠くの国からこの辺まで来てくれてて。

 でさ、そろそろ三枝さんと約束した時間だから、昨日ログアウトした東の森の村まで帰ろうとしたら、しつこく理由を聞いてきたわけですよ。

 それで、初心者だから装備屋の知り合いのところを一緒に回る話をしたら、

『案内ねぇ』

『でもおかしくね?』

『キャラ違うよな』

『まさか、中の人女なんじゃね?』

『嘘だろ』

『お前、オレたちを裏切ったのか!!』

 ってなったわけですよ。

 おいこら待て、確かに怖いぐらい図星だけど、知り合いの初心者プレイヤーを案内するだけで、なんで女性プレイヤーって答えがでてくんだよ。

 おかしいだろお前ら。

 そんでまぁ、俺も売り言葉に買い言葉で、学校の同じ部活の女子だって言っちゃって、

『リア充め』

『もげろ』

『はぜろ』

『爆発しろ』

『このド変態』

『有罪、死刑』

 って、一方的に罵声を浴びせられました。

 しかも、全員女の子アバターだったので、打ちひしがれ度が半端じゃないです。中身は全部野郎だけど。

 半分はノリだけど、半分はガチで襲ってきて、危うく殺されかけたぜ。せっかく貯めた経験値と金を、奪われてたまるか。

 そんなわけで、ようやく昨日三枝さんと別れた村までやってきた。

 すると、到着と同時にフレンドリストの三枝さんのアイコンが、ログイン状態に。視界の端にある木製の鳥居みたいな場所から、亜麻色の髪をした女の子のアバターが構成されて出てくる。

 三枝さんもといユイさんは、辺りをキョロキョロと見回すと、俺を見つけて手を振ってきた。

 それを見て、俺も手を振り替えす。あぁ、なんかいぃなぁ、こういうの。

「お待たせぇ。待った?」

「待ってはないけど、知り合いに殺されかけてた」

 小首をかしげる仕草が何とも言えん。

 ただ、その殺されかけた原因って、ユイさんなんですけど。

 いや、しゃべったのは自分だから、俺なのか。これぞまさに、リアル口は災いの元

「た、大変だったんだ、ねぇ……」

「おかげで残りHPが赤色。ちょっとポーション買ってくる」

「それじぁ、私もアイテム補充しとこうかな」

「じゃ、終わったら村の出口んとこに集合って事で」

「おっけー。じゃあ、また後で」

 来て早々だけど、ここで一旦別て準備を整える。

 そうそう。MP自動回復スキル出すのに使った、MP回復用のポーションも補充しないと。

 それから二分くらいで準備を終えて、村の出入り口前に向かった。

 三枝さんは…………まだみたい。

 さて、今の内からどんな衣装があるのか見とこう。

 これから行くのは、昨日松井先輩こと、レヴィたんが嬉々として着せ替え人形になった人の店に、武器は俺の知り合いのところの。

 実は、昼間に三枝さんに見せたやつ以外にも、展示(サムネ)用大量のスクショをもらってある。

 ホログラスの画像フォルダにアクセスすると、視界を埋め尽くす勢いでホロが出てきた。

 レヴィたん以外にも、五、六人のモデルがいる。

「うぅ……。これは、ダメだな……」

 女王様ボンテージ……。誰だよ、これ考えたヤツ。こっちは、後ろTバック……。際どい魔法少女物のパロったのまである……。

 そういや、どんなのがいいか希望聞いときゃよかったな。

 と、そうこうしていると……、

「お待たせ~」

 手を振りながら、ユイさんが小走りでやってくる。

 俺は慌てて画像フォルダを閉じて、ユイさんに向き直った。

「それじゃ、行こっか」

 そう言って俺は、移動用アイテムのペガサスの靴を実体化させて、ユイさんに渡す。

「ありがと。それで、行き先は【シルフィーダ】だよね?」

「うん。間違って、別のとこ押さないように」

「わかってま~っす。それじゃ、レッツゴー!」

 そう言って飛び出していったユイさんに、俺はちょっと緊張しながら付いて出た。

 どうか、エロ目的みたいな変な装備を見せなくて済みますように……。

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