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奏交フォルティッシモ  作者: 蒼崎 れい
Phase03:Crossing Hearts
25/62

Stage24:2063/01/04/19:00:00【-0533:00:00】

 コミケの帰り道、電車の中で三枝さんに予定を聞いたら、正月は家族の用事があるので抜けられないそうだ。

 そもそも、コミケの方も無理行って来たらしい。本当は家の用事があったけど、学校の部活動の一環とか言って出てきたって。

 リアルで運動ができない分、性格は本当にアグレッシブなんだから。

 ちなみにこの三日間、実は咲希とブレゴスをしていなかったりする。

 理由は簡単で、親の里帰り。しかもなんか、リニアにも乗るらしい。今は路線が山陽の方まで延びてるから、飛行機より速いんだとか。

 リアルは完全にアレなのに仮想だとイキイキしすぎなせいで時々忘れそうになるけど、中学まではお嬢さま校通いだからなぁ、アイツ。

 親は知ってんのか、アイツの趣味。高校一年生にして、お兄さんのVR環境完全対応のエロゲプレイしてますよ、お宅のお嬢さん。

 というのはまあ置いといて、咲希の代わりに実は松井先輩のレベル上げに付き合っていた。

 といっても、プレイ時間の半分くらいは、だけど。

 俺が適度に(レヴィたんから見たら)高レベル帯のエリアに連れて行って、モンスターを狩りまくって経験値を荒稼ぎするっていう、昔ながらの方法で。

 だから何気に、松井先輩、もう三枝さんや柏木と同じようなレベルだったりする。

 二人がこの事知ったら、ちょっと怒るかもなぁ。特に柏木の方が。

 あんなに苦労したオレ達の努力はなんだったんだ、とか言って。

 ちなにみ、残りの半分は自分のレベル上げとスキル探しに使ってた。HP自動回復と、MP自動回復のスキル習得したかったし。

 習得できたかって? 三日で出たら誰も苦労はせんて。両方とも、ダメージ量やら消費量が関係してんのは確かなんだけどな~。どれだけやればいいんだか。

 存在自体はβ版の時から確認済みなんだけど、詳しい条件は未だにわかっていない。

「三枝さん、ちょっと遅れてるなぁ」

 それはそうとして、今日は三枝さんだ。

 コミケ帰りの電車で、何か気がおかしくなるような事でもあったのか、三枝さんにある提案をしちゃったせいで、色々と大変な目に遭った。

 でも、約束しちゃったものは仕方ない。頑張ったよ、俺。叔父さんと交渉して、なんとか今日の二時間だけ三枝さんを連れて行きたいあるスペースを確保できて、これで準備はおっけー。

 俺の心の準備以外はね。

「はぁぁ、緊張する…………」

 そんなわけで、俺は今仮想空間の部屋にいる。そこのベッドの上でゴロゴロしながら、机の上の時計を見た。

 もしこれがリアルにある場所に行こうとしてたなら、緊張もこんなもんじゃなかったろう。不整脈とかで死ぬかもしれん…………。

 待ってるだけでこんなに緊張してんだから、冗談じゃ済まねぇよ絶対。

 それを考えると、行き先が仮想空間ってのはまだ救いやね。俺的にもお財布的にも。

 あ゛ぁー! でもこのままずっと待ってるのもなんかやだ!

 もういっそすぐにでも来てください! 心不全起こしてもいいから!

 “《三枝美夏》さんから入室の許可が求められています。許可しますか?”

「うわっ!?」

 いてて、あんまりびっくりしすぎて、ベッドから落ちちゃったじゃありませんか。

 目の前に表示されるダイアログのせいで、鼓動が一気に跳ね上がった。

 そうだ、覚悟を決めろ俺。そのために、今日の手配をしたんじゃないか。

「入室を許可」

 すると、電子の海が見える一枚ガラスの窓ガラスの手前に、一体のアバターが構成された。

 亜麻色の三つ編みにした髪は、後頭部あたりで団子になっている。

 前髪には雪の結晶をモチーフにしたヘアピンの下で、ブラウンの瞳が優しげな笑みを作った。

「速水くん、今日は普通のアバター使ってるんだ」

「う、うん。これから行くとこ、一応そういう決まりになってるから」

「そうなんだ。じゃあ、私も」

 三枝さんはホログラス、NoVA、ブレゴスの三つのメニュー画面を開き、アバター設定を切り替えた。

 青い光のリングが通過した部分が、ブレゴスのアバターからデフォルトのアバター――自分を模したやつに再構成されていく。

「久々にデフォルトのアバターに戻すと、けっこう懐かしいもんなんだねぇ。ちょっと前までずっと使ってたのに」

「それだけ、ブレゴスに馴染んだって事じゃない?」

「ふふふふっ。そうかもしんない。剣振るのも、けっこう様になって来たでしょ?」

「う~ん、上手い方だと思うけどぉ……」

 むぅ、って三枝さんはほっぺたを膨らませてそっぽを向いてしまった。いかん、咲希みたいな廃人基準で言っちまった。

 三枝さんの場合、これが初めてのVRゲームなんだから、そこを考えないと。

 普通基準で見れば、三枝さんはかなり上手い方だ。ゲームは初めてでも、VR環境にはけっこう長く触れてるみたいだし、その辺りも関係してるんだろう。

「それで、今日はどこに連れてってくれるのかな? 速水瑛太くん」

 って、不機嫌な顔したと思ったら、いきなりニコニコ笑い始めた。

 なんだ、からかわれただけか。本気で怒ったのかと思って心臓止まるかと思った。まあ、相変わらずものすごい緊張しっぱなしだけど。

 俺は深呼吸で息を整えると、とある場所にアクセスするURLを呼び出した。そしてそれを、三枝さんに転送する。

「ユニコーンスタジオのVRオフィスエリア」

「ユニコーンスタジオ?」

「ブレゴス作ってる会社」

 時間を無駄にするのもアレだし、早く行こう。

 俺は三枝さんの手を握ると、URLのリンク先にアクセスした。

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