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国王陛下は傷心中  作者: 可嵐
こもりうたはいかがですか?
8/17



 時として、思いはシンクロするらしい。

「またでたわねっ!」

 わたしが『また出た……』と思ったのと同時に、太陽の間に天使ちゃんが現れて叫んだ。彼女と出会って一週間、何故だか天使ちゃんは毎日わたしの朝食に水を差しにくる。

 と、言うよりこの子の言うことって前の陛下に似ているね。なんかデジャヴ。まぁ、成人男性に怒鳴られ続けたわたしに子どもの恫喝なんて大したことないけど。……耳が痛いってこと以外は。

「……ちょっとニャンコ、へいかは?」

 わたしが動じずに食事を続けていると、天使ちゃんもわたしに興味を失ったのかキョロキョロと部屋を見回す。この子の目的は、最初から陛下だしね。

「今日も早朝会議だそうですよ」

「またぁっ!?」

「えぇ、またです」

 わたしが頷くと天使ちゃんはがっくりと項垂れた。もうこんなやり取りを5日くらい続けているけど、陛下がいないと分かった時に彼女の落ち込み方はちょっと可哀想なほど寂しげだな、と思う。ただ、たぶん陛下の方も意識して避けているから、安易に励ましてあげることも出来ないんだけどね。

「とりあえず食事を召し上がりますか?」

「えっ……?」

「ねっ、彼女にも朝食を用意して」

「ちょっ……わたちはまだ食べるなん」

「まぁまぁ」

 慌てる天使ちゃんを立たせて、わたしの近くの席へと導く。手早く食卓を整えてくれる侍女たちはやっぱり優秀だなぁ。有無を言わさず天使ちゃんを座らせて、ナプキンを巻き付け「陛下お抱えシェフの料理はおいしいですよ?」と促せば、天使ちゃんはゴクリと唾を飲み込んでナイフとフォークを手にした。

 こうなればあとは大丈夫でしょう。

 目の前に食べ物に集中し始めた天使ちゃんから離れ、自分の席に戻る。残っていた朝食をゆっくり頂き、今日は久しぶりに平穏なモーニングタイムを過ごした。


「ねぇねぇ、天使ちゃんは陛下のどこが好きなの?」

「ぶっ!」

 わたしの質問に天使ちゃんは食後の紅茶を盛大に噴き出した。おぉ、古典的だけど中々いいリアクションだね。

「どどどどどど、どこってっ……! ニャ、ニャンコはへいかのどこがいいのよっ?!」

「わたし? わたしには、陛下の良さは分からないな」

「ふぇっ……?」

「わたしと陛下なんて会話すれば喧嘩ばっかりだし、そもそも陛下のことよく知らないし」

 今はとっても傷付いていて、鈍感で怒りっぽくて、でも意外と優しいことは知っている。だけど、それ以外は何も知らない。……まぁ、別に知りたいわけでもないからいいんだけど。こう言っておいた方が、天使ちゃんの敵意が少しは薄れるかな、なんてちょっとズルいことを考えてしまった。

 彼女に恨まれる原因は自覚している。それを仕方ないとも思っている。

 でも本当は、誰にも恨まれたくなんてない……。

 苦笑するわたしに何か感じるものがあったのか、天使ちゃんもしおらしく声のトーンを落として話してくれる。

「へいかは、つよいから……」

「えっ?」

「へいかなら、きっとわたちをおいていったりちないから……」






 ども、可嵐です。

 本日から第2章に入ります。

 しょっぱな天使ちゃんのターンですが、陛下もちゃんと(きっと)出てきますので、また宜しくお願い致します!


 ではでは、読んで頂いてありがとうございました。

 また次回っ!


  可嵐

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