迎撃
人のにぎわう大通り。
街道沿いのこじんまりした魔道具屋に、俺たち三人は飛び込んだ。
「らっしゃい」
店主のロックが、カウンターに肘をつけながら新聞を読んでいた。
「おっさん!」
「ああ、お前らか。どうした」
「頼む! 後払いで魔道具貸してくれ!」
「また不良グループと喧嘩でもしたか? って、やけに必死だな。……まさかマフィア?」
「信用なさすぎん!? 森の中で急に襲われたんだよ、でけえ使い魔に」
言っても、ロックの目は「どうせお前らに恨みのある連中だろ」とでも言いたげだった。
「違うんだよお、ほんとに俺たちじゃなくってえ」
「ああ、わかったわかった。お前ら嘘はつかねえもんな。で、何がいるんだ?」
「聖水ありったけと魔石二、三個。対魔特攻グローブと剣。あと、そうだな……結界用の楔あるか?」
「あるか? じゃねえよ。店潰れるわ」
さらに説得しようと土下座したときだ。
ロックが、壁のほうを見た。額にあった眼鏡型の魔道具を下ろす。
「もしかして、あのでっけえ幽霊みたいなのか」
「そう、それ!」
「くそ! わかった、貸してやるよ! 物理的に潰れるよかマシだ!」
「さんきゅー、おっさん愛してる!」
グローブをアッカズに投げつける。聖水の入った袋をいくつか掴み、矢に結わえた。
ロックが店の奥からヒノキ箱を取り出してくる。中には五本の楔。
「あと、この子頼む!」
ユウを置いて店を出る。
パニックだった。
上空には夜の闇に溶け込む亡霊。人々は逃げ惑い、圧倒的な魔力にあてられてうずくまる者もいる。
アッカズが、飛んだ。
グローブをはめた拳で顔面を殴り飛ばす。
魔道具によって強化された威力はけた違い。巨体は建物に突っ込んでいく。
亡霊は立て直し、アッカズに向かって突進。
俺はすでに建物の屋上まで駆け上がっていた。
屋上から矢を放つ。聖水の袋があるせいでうまく飛ばないが、幸いにして的はでかい。
亡霊の背中で破裂。聖水が降りかかる。霊体がジューっと音を立てて焼け、絶叫。
こちらを向いた。モノアイに俺の姿を映し、手を伸ばしてくる。
俺は屋上から飛び降りる。建物と建物の間、狭い路地に着地。
敵は突っ込んでくるのにタイミングを合わせ、壁に刺していた楔を発動。見えない壁が生まれ、霊体を空中に捉える。
抜刀し、跳躍。首を狙う。
背後からはアッカズがグローブを振りかぶっていた。
前後からの攻撃を受けて首はねじ曲がり、切断される。
飛ばされた首が断末魔を叫び、霊体はゆっくりと消えていく。
俺とアッカズもまた、倒れた。魔力切れだ。
ロックがやってきた。俺とアッカズをかつぐ。
「ナイスファイト!」
言って、俺たちを抱えたまま店に逃げ込んだ。
しばらく休んでから店を出る。詳しい事情はまた後日と言って、ロックと別れた。




