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クソガキ二人と監督生

 一年生、第一期総合魔導試験順位

 一位 サマル・エル・アレスクス

 二位 クロア・カルロ


 壁面に張り出された順位表を見ていると、肩を叩かれた。

「相変わらず一位じゃないなー、真面目くんやのに」

「は?」

 唐突の煽り。

 振り返ると、悪友のアッカズがゲラゲラ笑っていた。


 巨大な体躯、でかい声、あほあほしい表情。術式魔術はひとつも扱えず、身体強化のみで戦うバーサーカー。

 並ぶと俺のちまっこさが強調される。身長は頭一つ分小さく、俺の太ももはアッカズの二の腕より一回り小さい。


「ばっかお前、二位のすばらしさがわからんのかよ」

「敗北者」

「物語の黒幕ってだいたい悪のナンバーツーだろ。一位は二位にさされる運命にあるんだよ。つまり、二位が実質トップまである」

「ううん??」

 眉根をよせ、俺の言った意味をなんとか理解しようとする。


「僕にはわからん」

「そっか。バカだもんな、お前」

「ウホ。で、このあとどうするん?」

「任せる」

「じゃあ森で魔物狩って小遣い作ってから街で」

「じゃあ武器持ってくわ。先行ってろ」

「ういー」

 素手で殴るスタイルのアッカズは身軽だ。さっさと抜け道へ走っていく。


 男子寮、階段裏の掃除道具入れ。

 ほうきやモップの山をかきわけ、最奥の地を目指す。クモの巣で偽装された床板は踏めば外れるようになっており、床下の空洞があらわれる。

 中には武器。


 中等部時代、クソガキどもが集めたものだ。

 クソガキ筆頭が俺とアッカズ。在庫表は頭の中に入っている。


 槍、一番強い。なぜなら長いから。けど依存はよくない。パス。

 剣、あまり好きじゃない。太刀筋を気にしないと斬れないからだ。槍は適当に突くだけで強い。今回は練習もかねて一本持って行く。

 斧、論外。けどアッカズに持たせたら似合うな、持っていこう。

 モーニングスター、論外その2。敵が甲冑来てたら別だが。

 弓矢、これもまあ、悪くはない。ショートボウを持って行く。


 ザックに武器、矢筒、ナイフなどなど、ブッシュクラフトれるアイテムを詰め込む。

 武器庫を出た。アッカズのもとへ歩き出す。


「何をしている」


 背後から冷たい声。

 振り向けば、怜悧冷徹なる美青年が立っていた。


 身長はアッカズよりさらに高い。一見細身だが筋肉は引き締まり、ネコ科動物を思わせる。

 鋭い目つき、監督生の腕章。

 クソガキどもを討ち倒す者、サマル・エル・アレスクス。


 サマルは俺の荷物を見るや舌打ち。

「危険物の所持は校則で禁じられている」

「思うんだけど、魔法で氷の剣とか出せる俺らに武器禁止令ってなんだよって話だよな」

「屁理屈を抜かすな、クズ」

「いや、ゴミだ」

「くだらん」

「くだらなくないが? 俺には53としてのアイデンティティがある」

「今すぐその荷物をよこせ。抵抗しなければ“注意”程度で済む」

「いやー、乙女の秘密アイテムなんで、検閲とかはちょっと。任意ですよね?」

 再び舌打ち。

「いい加減に」

 一歩、踏み込んだ。


 ぼわん! と白煙。視界が埋め尽くされる。

「くそっ!」

 サマルは風を起こして白煙を払おうとするが、いかんせん煙の量が多い。律儀に魔力出力規定を守っているからなおさら。


 サマルが煙に翻弄されているうちにスタコラ逃げ出す。

「いつもいつも、小賢しい真似をしやがって!!」

「いつもいつも小賢しい真似に引っかかるほうがバカなんですぅー」

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