【第二十五話『即興と度胸の金曜日』】②
主人公:名前はリゲル。太陽双子座、月魚座。孔雀のような雰囲気を持つ少年。
戦闘スタイルは、①しなる剣、②複数の種類の孔雀目ビット、③鋭利な大量の羽根
戦術家だが感情に流されやすい。
この世界の外側の異形と関わり合う職業のアバター使いを進路に志望している。
今は、自分の目指すべき「誠」という人格態度を磨いている。
3人目の仲間に天才サポーターのサダルが見つかった!現在チームは連勝中
親友:現在スランプ中
名前はハクラビ愛称はハク。太陽天秤座、月蠍座。すごく顔がいい。
戦闘スタイルは、①軽弓、②双剣、③分身
知らない物の値段を当てる特技がある。
裏表のない性格、深刻な場面でも軽口を叩く。育ちが良くて挫折知らず。
仲間:名前はサダル。太陽水瓶座、月蟹座。早生まれで少し体が小さい同じ学校同級生。
戦闘スタイルは、①氷の双銃②魔方陣型迫撃砲③自律型bot④ガジェットの作成
リゲルとハクのアバター戦の3人目ののチームメイト。
万能支援をやってくれる。現在はやや二人より実力は上。
最低限の単位だけ取ってゲームセンターに入り浸っている。
あまり仲のいい人がいないが、すごい才能をもっている。
一度リゲルの誘いを拒絶した。
お嬢様:名前はライサ。太陽しし座、月牡羊座、鞭と強烈な雷を使う。
主人公のライバルチームのリーダー。
防御手段は、雷幕結界。近接すれば近接するほど相手は大ダメージ。
長く美しい髪と強烈な釣り目が特徴。気品がある。
相手を不快にしないお嬢様言葉で、作中5本の指に入る美人キャラ
精霊は雷雲を纏ったユニコーン型。
幸運娘:名前はアレッタ。太陽いて座、月双子座。精霊はニワトリ型。
主人公のライバルチームのメンバー。
アバターはニワトリっぽい大きめのフードが特徴的。
武器は大弓、防御手段は高硬度の卵型のシェルターを使う。
高火力なので遠距離戦でアレッタと戦うのはやめた方がよい。
陽気な性格の頭残念だが、作中5本の指に入るラッキーキャラ。
口を閉じて髪を伸ばして上品な服を着たら超絶美人。
破天荒:ライサとアレッタに会い、2日で転校を決めた行動力の化身。
名前は、シェラ。太陽牡羊座月双子座。
主人公のライバルチームの3人目のメンバー。
性格は、破天荒、ツンデレ、暴力的。
すさまじい運動神経を持っている。
精霊はオッドアイの白猫のしろっこ。
通常時は、爆発ハンマーと爆発ハチェットで戦う。
本気になると、両手持ちのリボルバーハルバードになる。
◆観察 その一連を、物陰からじっと見つめている三人がいた。
リゲルは木の柱に背を預け、息を殺していた。 表情には出していない。だが、その内側では明らかに別種の“動揺”が広がっていた。
(……あれ、シェラに突っ込まれたら、止められる手がない)
以前なら、あの爆発は“荒っぽさ”の象徴だった。 勢いだけで戦い、制御の甘さを力でカバーしていた――そう思っていた。 だが今のそれは違う。流れのすべてが、予測を超えて滑らかだった。 無駄がない。 突進、打ち上げ、跳躍、刺突。すべてが連動し、狙いがぶれない。 「止める手を探しているうちに終わる」。そう直感させる完成度があった。
ただ“怖い”という感情ではない。 もっと冷たい、敗北への実感。 あれを防ぐには、事前に位置を奪っておくしかない。だが、今のシェラは――それすらさせない。
リゲルは肩の奥に、ゆっくりと重さが蓄積していくのを感じていた。
隣ではハクが、頬杖をついたまま、視線だけでライサの結界を追っていた。
「……輝水で結界を防御するの。もう使えないかもな」
声は軽い。だが、内容は重かった。 ハク自身、それが“突破できない”ではなく、“攻略の順番が変わった”という事実として口にしている。 反射を利用した攻撃は、結界の反応速度が上がれば成立しない。 以前のような応答の遅れがなくなった今、こちらのトリックは“読まれている”側に回っている。
「突っ込めば逆にこっちが焼かれるだろう……」
ハクはそう続けたが、どこか遠くを見るような目だった。 戦略家の顔ではなく、戦況の“地図”を眺める観測者の目。 前衛としてではなく、すでに次の布石を探している思考の入り口にいた。
一歩後ろ。 サダルが静かに、低い姿勢でスケッチパッドを広げていた。 氷のような沈黙と、ペンの細かい走り。
「……切り替えは、視線誘導がトリガーになってるな」
誰にも聞かせるつもりのない、独り言。 けれどその言葉は、図面の補足だった。 彼の線は、分身の軌道、本体とのシンクロタイミング、遮蔽の位置関係までを正確に写し取っている。 ただ「すごい」で終わらせない。 「破るなら、どこか」――その問いが、最初から前提にある。
リゲルはちらりと彼を見て、すぐ視線を戻した。 今、自分が“ただ見ているだけ”になっていることに、気付かされたからだ。
足が、わずかに揺れた。 それは寒さでも、緊張でもない。 焦り。 ただの焦りだった。
今の戦績は、自分たちが11勝3敗。あちらは13勝1敗。 数字だけなら僅差だ。たった2戦の差。 だが、この朝の“光景”を見て、リゲルの中にひとつの確信が芽生え始めていた。
(……このままじゃ、勝てない)(……これらは、個人の強さじゃない。三人それぞれが、別の局面を“担当”してる。しかも、被らず、ぶつからず、補い合ってる)(ライサが陣形、アレッタが瞬殺、シェラが突破。それぞれの局面で、明確に“役割が切られてる”んだ……)
そんな思いを抱いた瞬間、自分でも驚くほど、心拍が跳ねた。
平気なふりをしていた。 前を向いているつもりだった。 でも今、真剣に比較してしまった。
“どっちが上か”を。 “どっちが仕上がってるか”を。
そして、その問いの答えが、すでに出ていることを認めた。
午前の訓練場。 風に舞う砂粒のように静かで、穏やかで―― けれど、その足元に広がる“水面”には、確かに波紋が走っていた。
それは誰かの覚醒が起こした波ではない。 全員が、“次の領域”に手をかけ始めている。
もう、単なる模擬戦じゃない。 “選抜”の意味が、ようやく明確になり始めていた。
しかも、後半戦の残り十四試合のうち――どれか一つは、間違いなくライサたちとぶつかる。
避けられない。 この進化した三人と、正面から戦うことになる。
それが、いつか、どんな条件で来るかはわからない。 けれど、来る。 確実に。
リゲルは、呼吸の仕方を忘れたような感覚に包まれていた。
(……そのとき、自分は――何を持っている?)
◆第三節:昼食という儀式(Z室/昼)
あれから、ザビチームとシャウラチームはほとんどZ室に姿を見せなかった。ザビチームは、期数が上なので、学科が忙しいのだろう。シャウラチームはよくわからない。戦闘以外の関心がないのかもしれない。
結局、Z室はリゲルチームとライサチームが楽しく遊んだり昼食を取ったりする空間になっていた。
中央には、霊獣を模したカラフルな簡易シート――鳳凰、麒麟、白虎、玄武、白竜――がピクニック風に広げられており、誰がどの霊獣を使うかで小競り合いになることもしばしばだった。「えー、今日は麒麟の気分だったのに!」「あんた、昨日もそれ使ってたでしょ?」といったやりとりが、昼の空気を和やかに彩っていた。
弁当、パック、魔法調理具などが持ち寄られ、保温瓶や自動調味器、魔導加熱皿が並ぶ食卓は、ちょっとした賑やかさを呈していた。
「焦がしたら、もったいないでしょ? ほら、これ先に食べときなさい」シェラは、肉料理を中心としたがっつり系のプレートを広げる。だが、彩りや栄養バランスにも抜かりがなく、見た目も味も本格的だった。
「ニワトリのおにぎりだよ〜♪」アレッタは、顔のついた鳥型おにぎりをどっさりと詰めたバスケットを開けた。かわいらしい見た目に反して量が異様に多く、魔導加熱皿に次々とおにぎりを置いていく姿は、軽く恐怖すら誘う。
「……みなさん、お口に合えばいいのだけれど」ライサは、品のいい盛り付けの小鉢料理を並べていた。見た目は繊細で上品だが、よく見ると唐辛子がふんだんに使われている。
「……え? これ、唐辛子入り?」何の気なしに手を伸ばしていたリゲルが、口に入れた瞬間に咳き込んだ。
「男の人って、みんな辛いものが好きだと思っていましたわ」ライサが微笑んでそう告げると、ハクが興味津々で次の小鉢に箸を伸ばした。
「あー、そういうのもあるんだ? じゃあこっちも……って、辛ッ!」彼も見た目に騙され、次の瞬間には顔をしかめて水筒をあおっていた。
「適度に塩分を補給できるから……アリ、だね」サダルは、口数少なくもくもくと食べていた。目元だけがほんの少し笑っていたが、誰にも気づかれていない。
そんな、ささやかで賑やかな昼食風景。“食べる”という行為のなかに、それぞれの個性がにじみ出ていた。ツンデレ、豪快、繊細、無邪気、観察者――どの皿にも、誰かの人柄が宿っているようだった。
◆第三節:昼食という儀式(Z室/昼)
あれから、ザビチームとシャウラチームはほとんどZ室に姿を見せなかった。ザビチームは、期数が上なので、学科が忙しいのだろう。シャウラチームはよくわからない。戦闘以外の関心がないのかもしれない。
結局、Z室はリゲルチームとライサチームが楽しく遊んだり昼食を取ったりする空間になっていた。
中央には、霊獣を模したカラフルな簡易シート――鳳凰、麒麟、白虎、玄武、白竜――がピクニック風に広げられており、誰がどの霊獣を使うかで小競り合いになることもしばしばだった。「えー、今日は麒麟の気分だったのに!」「あんた、昨日もそれ使ってたでしょ?」といったやりとりが、昼の空気を和やかに彩っていた。
弁当、パック、魔法調理具などが持ち寄られ、保温瓶や自動調味器、魔導加熱皿が並ぶ食卓は、ちょっとした賑やかさを呈していた。
「焦がしたら、もったいないでしょ? ほら、これ先に食べときなさい」シェラは、自前の魔導鉄板で肉をジュウジュウ焼きながら、まだ加熱中の皿に箸を伸ばそうとするリゲルを制止する。その手際はあまりに無駄がなく、焼き加減を見極める目が真剣すぎて、もはや料理というより戦術の一種のようだった。彼女のプレートは肉料理を中心としたがっつり系。だが、彩りや栄養バランスにも抜かりがなく、見た目も味も本格的だった。豪快だが抜け目がない。
「ニワトリのおにぎりだよ〜♪」アレッタは、顔のついた鳥型おにぎりをどっさりと詰めたバスケットを広げた。一つひとつに表情が描かれ、赤いトサカまで再現されたおにぎりは、ほとんど芸術作品のよう。だがその量は異様に多く、明らかに人数分を大幅に超えていた。にこにこしながら皿を勧めてくる様子は無邪気そのものだが、もらう側の手はだんだんと重くなる。
「……みなさん、お口に合えばいいのだけれど」ライサは、品のいい盛り付けの小鉢料理を丁寧に並べていた。箸を置く所作も優雅で、見た目には貴族の昼食のよう。だが、よく見ると唐辛子がふんだんに使われており、香りからしてすでに攻撃的だった。
「……え? これ、唐辛子入り?」何の気なしに手を伸ばしていたリゲルが、口に入れた瞬間に咳き込んだ。
「男の人って、みんな辛いものが好きだと思っていましたわ」ライサが微笑んでそう告げると、ハクが興味津々で次の小鉢に箸を伸ばした。
「あー、そういうのもあるんだ? じゃあこっちも……って、辛ッ!」彼も見た目に騙され、次の瞬間には顔をしかめて水筒をあおっていた。
「適度に塩分を補給できるから……アリ、だね」サダルは、口数少なくもくもくと食べていた。彼の前には小さな保温瓶があり、中には簡素なスープやパスタがきれいに整頓されている。誰にも見せないが、味にも機能にも妥協しないタイプだ。
「ハク、水分取るならこれも飲む? 塩レモンなんだけど」リゲルが差し出すと、ハクは一口飲んでから「おお、効く」と目を細めた。
そして、もうひとつ――
「……あ、これ。うちから送られてきたんだけど、よかったらどうぞ」
ハクがさらりと差し出したのは、色とりどりのマカロンが詰まった小箱だった。ラベンダーやピスタチオ、柚子など、香り高いラインナップが美しく並び、ふたを開けた瞬間、女子陣の目が一斉に輝いた。
「えっ、すごくかわいい……!」「うわ、これ限定のやつじゃない?」「ハク、センスいいなあ……!」
歓声に囲まれながらも、ハクは「いやいや、実家のやつだから」と照れくさそうに笑うだけ。だがその頬は、いつになく得意げにほころんでいた。
そんな折――「そういえば、おにぎりの具って、みんな何が好き?」リゲルがふと問いかけた。
「ツナマヨ! でも梅も鮭も捨てがたいな〜」アレッタが真っ先に反応する。
「辛子明太子と、焼いた鮭ね」シェラは肉をひっくり返しながら、あっさりと答えた。
「私は、梅干しと……いくらかしら。味の深みが違いますもの」ライサはそう言って、さりげなく小鉢を差し出す。
「おかかと、高菜の二択かな……」リゲルがぼそりと言うと、アレッタが「じゃあ今度、おっきい高菜にぎり作ってくるね!」と嬉しそうに笑った。
「何も入ってないやつ」サダルが口を開いた。「あとは、赤飯。……構造が安定してる」
「俺は、カリカリ梅にショウガ、大葉を刻んで、胡麻まぶして、海苔つけたやつ」ハクのこだわりが炸裂すると、一瞬、皆が絶句する。「……それ、もはや職人の域じゃない?」とリゲルが小さくつぶやいた。
再び笑い声が広がった。おにぎりの具という些細な話題も、この6人の間では、静かに、そして確かに絆を深めていく一場面になっていた。
そんな、ささやかで賑やかな昼食風景。“食べる”という行為のなかに、それぞれの個性がにじみ出ていた。ツンデレ、豪快、繊細、無邪気、観察者、調整役――どの皿にも、誰かの人柄が宿っているようだった。
外では、午後の訓練開始の時刻を告げる鐘が遠くで鳴っていたが、このZ室だけは、ひと足遅れた時間を穏やかに過ごしていた。




