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第四話 遺跡探索、そして・・・・・・

 俺達がこの世界に来てから約二ヶ月が過ぎた。


 今の俺のステータスは恐らくもう前ほど弱くはない


[テンバ・ハヤト]


LV・1

HP78/78

MP30/32

攻撃30

防御50

魔攻35

魔耐70

素早さ53

========================

職業:剣士


 まだ光平や和剛ほど高いステータスではないがだんだんと追いついてはいる


 この世界で生きる為さらに頑張らねば


 そして俺は今大広間にいる。



「騎士団長、本日はどのような要件でしょうか」



「明日、とある王都近くの遺跡に行こうと思っている」



 遺跡・・・・・・一体何のために・・・・・・


 光平は目を丸くした後、少し目を瞑ってから答える



「何故、ですか?」



「それはだな二つ理由があるまず一つ目、お前らがそろそろ使い物になるレベルになってきたからだ二つ目は魔王の勢力が拡大してきている」



 皆驚いたような声を出すとザワザワとしてきた



「この二つの理由からお前らを遺跡に向かわせる。もう今のうちから経験を積まなければ負けるだろう・・・・・・必ずしかしお前らにはスキルがあるそこまで怖がることもない。遺跡には明日向かう皆、準備をしておくように」



 俺は自室に戻った。


 急に騎士団長から告げられた、実戦。


 俺の右腕は小刻みに震えている。

 楽しみなのか、


 怖いのか、


 自分でもよくわからない。


 物語の主人公だったらここで勇気を出せるだろう。


 しかし、俺はただの平凡な高校生だったのだそんなことができるわけがない。


 だが、こんなことでへこたれていたらいつか死ぬ


 俺は途方に暮れていた


 そんな時、部屋のドアがノックされる



「は、勇人くん私、紬だよ」



 なんだ紬さんか、


 俺はドアを開ける。


 寝る予定だったのかなんなのかわからないが寝巻きのような服装だった。


 俺の目線に気づいたのか彼女はハッとする。



「あ、ごめんねこんな格好で」



 別に俺は人の格好にとやかくいう人間ではないから別に良いけれど。



「大丈夫だよ紬さんそれで、どうしたの?」



 とりあえず入り口近くで話すのは少々嫌なので中に入り、椅子に座ってもらった。



「その・・・・・・さ、勇人くんって怖くないのかな〜って思って」



「怖い? 何が? 全然大丈夫だよ」



 何故か俺は強がった。


 俺より紬さんの方が圧倒的にステータスは高いもしかしたら守ってくれるかもしれないのに、



「そうなんだ、良かった君は大丈夫そうで・・・・・・」



 彼女は話し始めた頃からずっと膝の上に両手を置いていた。


 そしてその手は震えている、そうか、怖いのか俺と同じで。


 それもそうだいつも通りの日常を過ごしていたはずなのにいきなり命懸けの戦いをしなければならなくなったのだ無理もない。


 そんなことを考えていると、彼女の手はぎゅっと力強く握りしめていた



「私、怖いなぁやっぱ、でも私は・・・・・・私達は前を向かないといけないんだよねだってみんなを癒し、治せるのは私だけ、私がいなかったら道具に頼るしかなくなっちゃうもんね」



 そっか彼女のスキルは【聖女の祈り】光属性の魔法ならなんでも使えるんだったっけ。


 そんな能力があったらそう思うのもしょうがないか



「もしかしたら怖くて動けなくなるかもしれない。でも、君のことは守るよ、絶対、死んででも」



「は? 何言ってんだよ、守る? 必要ないよ」



 それに、さっきお前が自分で言ってたじゃねえか自分が欠けたらみんなが困るって。

 だから命をかけるなんて絶対にダメだ。



「そう、じゃあ何かあったら私に言って! 君の傷ならなんでも治してあげるからさ」



「あ、あぁわかったよ」



 その後、俺達は少し雑談をした。


 夜も更けてきたので、紬さんは部屋から出る。


 見送るために彼女の部屋の前まで行った。



「今日はごめんね、もう夜なのに」



「大丈夫だよ、全然。楽しかった久しぶりに話せて」



「あ、そういえば勇人くんってさ、ずっと私のこと紬さんって呼んでるよね。なんかさぁあんまり仲良さそうに見えないから私のことは紬で良いよ。じゃ、おやすみ」



 そう言って、彼女の部屋のドアが閉められた


 紬・・・・・・か、なんかソワソワするというか、なんというか


 でもなんか良いな。


 そう思って今日は部屋に戻って寝ることにした。




 次の日の朝、俺は腰には剣、左手には小振りな盾を装備した。


 そしていつもの制服姿ではなくこの世界で買った。軽めな所々装甲が付いている服に着替えた。


 こんなもんでいいかな。


 俺は深く息をする。


 正直まだ怖いだけどそんなの誰でも同じだ。


 俺だけではない。


 そう思った。


 今、目の前にはあの大広間がある。


 扉を開けると、光平、健介、和剛や他の皆ももう集まってきていた。


 少し経った後、騎士団長が入ってくる。



「揃ったみたいだな。それでは出発する」


 と言って俺達は王都を出て遺跡あの道を歩いた


 すると、光平や、健介、和剛、紬が近付いてきた。


「良かった来たみたいだね」


  と、光平が言った


「当たり前だろ、なんだ? びびってこないかと思ったのか?」


「そりゃそうじゃねぇか、光平だって紬だってお前がビビって来ないんじゃないかって思ってただろうぜ」


「僕はそんなこと思ってないよ」


「私も、君は絶対に来ると思ってたよ」


 あ、お前らなぁと和剛が言った


「まぁ、君は意外と努力家だからねぇ」


「健介、お前、大丈夫か?」


「は? 何が?」


「いやだってステータス低いじゃん」


「お前も言えないだろ!」


 と、久しぶりに健介と話した気がする。


「はぁ、雑魚がなにイキがってるんですカァ」


「颯吾・・・・・・」


「雑魚がイキっても、雑魚は雑魚なんですよぉ!」


「おい、颯吾、いい加減にしろ俺達は命を賭けて戦う仲間でありクラスメイトなんだ。これ以上は僕が許さない」


 と、いつものように光平にフォローされているがこのままではダメだ


「良いよ光平俺の実力は俺が一番知ってるし、俺は死なないよ」


「あぁ? 雑魚がなに言ってんだか。死ぬよ! お前は!」


「うるさい! そこまでにしろ! そんな罵り合いをしてたらお前ら! 死ぬぞ!」


 と、騎士団長が言った。


 かなり怒っていた、恐らくやり取りを全て聞いていたのだろう


「はいはい! わかりましたよぉ! チッ!」


 そんなことをしていたらいつの間にか遺跡の前まで着いていた。


「これからこの遺跡に入る! 入る者はこのまま入り! 入らない者はここから引き返してよし! それでは行くぞ!」


 と言って騎士団長は奥に行ってしまった。


 俺達はその後に続く形でついて行く。


 しばらくするとだんだん暗くなっていく。


「聖なる光よ我らを照らせ、(シャイン)


 と騎士団長が言うと光の球が空中を舞う。


 その光によって行くべき道を照らされた俺達は進んでいく


 空気が変わった。


 そう思ったのはだいぶ奥に行ってからだった。


 騎士団長の歩みが止まる。


「皆! 止まれ! 魔物が出る!」


 騎士団長がそう言うとみんなが止まって、武器を抜き始めた。


 耳を澄ますと微かに足音が聞こえる。


 光の向こうから来たのは、人緑色の肌に尖った耳、大きいのや小さいのがいる。


 あれは・・・・・・


「ゴブリンだ!」


 光平、和剛、明日香が真っ先に飛び出す


「いくぞ! 【天使の衣(エンジェルローブ)】!」


 そう言うと光平の周りに白い光が集まり。

 光平がそれを纏う


「へ! どんとこい! 【豪傑】!」


 和剛の肌が赤くなる。

 和剛は敵の群れに突っ込んでいった。


 一方明日香はスキルを使わずに素晴らしい剣術で敵を蹴散らしている。


 俺は、この光景を見てるだけで良いのか? いいや、ダメだ


 そう思うと俺は走り出した。


 1匹のゴブリンに狙いが定まる。

 右手に持っていた剣で切る。

 しかし、傷が浅い致命傷にはならなかった。

 すると、ゴブリンが棍棒を振り下ろしてきた。

 それを盾で防ぎ、もう一度斬撃を加えようとしたが、もう1匹近づいてきていた。


 二匹目!? くそ! だったら!


「風や蹴散らせ! 【風の衝撃(エアショック)】!」


 そう唱えると右手をかざしたゴブリンが後方にとぶ。

 俺が唯一覚えれた魔法だけど効いて良かった。

 そのまま前方のゴブリンを切り伏せる。


「ハァ、ハァ、まずは、一匹!」


 既に疲労が溜まってきていたが俺は戦い続けた。


 ゴブリンの群れを超え先に進むとゴブリンよりも強力な魔物が出てきた。

 俺の討伐数は段々と下がっていったが、あまり他の人は変わらないようだった。


 今は後方に崖がある場所で身を休めていた。

 紬が張った魔法の結界のおかげで周り生物は近づくことができていない。

 そこで俺は己の無力感に苛まれた。

 今まで頑張ってきたというのにどうしてここまで弱いのか、結論は出なかった。

 悩んでいたらいつの間にか側に騎士団長が来ていた。


「ハヤト、立て」


「は、はい!」


 俺は急いで立ち上がった。





 すると俺の目には鋭い、白い線のようなものが見えた。

 俺の体は勝手にその線に反応して、盾を構えた。

 しかし、気付くとそこに盾はなかった。

 盾だけではない、そこにあるべき左腕すらもなかった。


 は? 俺の左手、無い、は?


 鋭い痛みが後からやってくる。


「うぁぁあああぁぁぁぁあ!」


 痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


 は? なんで、こんなこと、結界、張ってある、じゃあなんで・・・・・・


「何故防ごうとした、テンバハヤト」


 は? 騎士団長? なに言って・・・・・・


「避けさえしなければ、痛みを感じず死ぬことができたというのに」


 し、死ぬ?

 そうは思いたくはなかったあんなに優しくしてくれていた騎士団長が俺を殺そうとしていたなんて。


「なにを、やってるんです、騎士団長!」


「コウヘイ、これは仕方のないことなのだ。私も彼を殺したくない、だが王の御命令なのだ」


「王の!? しかし! それとこれとは話は別だ!」


「わかってくれ、コウヘイ、この騎士という身分である以上、王の命令からは逆らうことは許されないのだ」


 あの、ガルハラドの、命令? 俺を殺すようにか?

 あんまりだ! この世界に勝手に召喚して、勝手に死ねって! ふざけるな!


「天界の神よ我が呼び声に応え眼前を消し去れ、我が命をもって顕現せよ【神獣・・・・・・」


 光平が紬を止めようとした。


「紬! その魔法は・・・・・・!」


 騎士団長が消えた。

 気づくと紬は倒れ側には騎士団長が立っていた。


「ツムギ、その魔法を使おうとするとは思わなかった・・・・・・危ない、あのままでは私は死んでいた」


「騎士団長! なにを!!」


「安心しろ、気絶しているだけだ。だが、ツムギのように俺を攻撃しようとしたら、問答無用で殺す」


 誰も、なにも言わなくなった。

 それを確認するとライアンはこちらに向かってゆっくり歩いてきた。


 俺は歯を食いしばりながら、右手で剣を構える。


「殺した後、お前の後ろの崖に落とすようにといはれていたが」


 ライアンが間合に入るのを確認し、俺は剣を振る。


 しかしライアンはひらりと身をかわし、俺の腹を殴った。

 そして蹴りで後ろに飛ばす。


「その高さなら、生き延びることは不可能だろう」



 俺は崖から落ちた。

 しかし、不思議なものを見た。

 ライアンが苦悶の表情を浮かべていたのだ

読んでいただきありがとうございます。誤字脱字やアドバイスがありましたら教えてください。

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