第二話 脆弱
気づくと俺は中世ヨーロッパのような建物の中にいた。
玉座のような場所には偉そうなジジイがゴージャスな椅子に腰掛けていた
「やった! 成功だ!」
黒いローブを着た男がそう叫んだ。成功した、と
成功?一体何のことだ?
「よくぞ参った、異界の勇者たちよ我はクジムウェルの王、グライス・ガルハイド」
あの偉そうなジジイがそう言った異界の勇者?俺達がか?ってことはこれが……
「異界の勇者? それってまさか、ここが異世界、か?」
「え〜そんなわけ無いでしょ非現実的すぎ〜」
「だとしたらドッキリ?」
「早く帰してよ!」
とまぁこんな感じでざわついてきてしまっていた。確かに今状況を飲み込むのは難しいかもしれないな。さて、どうするか…
「皆! 少し落ち着いてくれ! まずは、王様の話を聞こう! この状況がなにかわかるかもしれない!」
光平はそう言った。さすが、生徒会長なだけはある。
クラスメイトたちも、光平の呼びかけによってある程度落ち着いたように見えた。
「落ち着いたようだな」
「すみません、取り乱してしまい」
「まぁ、しょうがないことだ。今まで住んでいた世界とは別の世界に来てしまったのだからな」
まぁ、確かに。俺のイメージの中の王って、なにかとそういう事を気にしないと思ってたけど本当は違うんだな……っていうか光平が話し進めるんだ、まぁ生徒会長だからだろうな
「では、この世界にそなたたちを召喚した理由を話さねばならないな我が王国、クジムウェルはは現在危機が訪れているのだ。かの地に再び魔王が復活してしまった。すると、ある日女神様からお告げがあったのだ。我々の世界とは異なる世界、異界から勇者を召喚すればこの危機を乗り越えることが出来るとな」
「なるほど、この世界を救うために…ですか」
「そうだ。無理にとは言わんが…」
「わかりました。俺も困っている人は見過ごせません。やりましょう!みんなも!無理にとは言わないけれど、俺に力を貸してくれ!」
和剛がフンッと鼻を鳴らし、光平の横に立った
「いいぜ、やってやるよ! 俺はお前の親友…だしな! 俺はお前についていくぜ!」
和剛がそんな事を言ったからかとりあえず全員で魔王を倒そうということになった。多分魔王を倒さないと戻れなそうだけどな。なんとなくだけれど…まぁ大体そんなもんだろうこういうのって
「本当にすまぬな異界の勇者様とは関係のない我等の世界のことなのだが・・・」
「いいえ、そんな事はありません。俺は困っている人々を放っておくことはできませんから」
「そうか・・・それではまず、これを異界の勇者方に渡さねばならぬな・・・あれをここに持ってこさせろ!」
「はっ!」
暫くすると、1人の兵士が赤い布で覆ってある板のような物の上に銀色の小さいプレートのような物をのせてやってきた
「これを1人一つもっていただきたい」
そうしてもう一人の兵士からプレートが一人一人手渡された
「これは一体なんでしょうか?」
「それは、異界の勇者様方の能力値を見るためのものだ。まだ来たばかりで難しいとは思うが魔力を流してみてはくれないか?」
「魔力・・・ですか、」
魔力と言われても前の世界では、そんなの使ったことなんてないからなぁ、どうしたものか・・・
「あ、できた」
光平がそう言った。
いやいやちょっと待て、俺等からしたら未知のエネルギーである魔力が使えたっていうんですか?一体全体どうやって・・・
「うぅぉぉ! 光平スンゲェ! おまえ、どうやったんだよ」
「俺達が前いた世界には魔力は存在しなかった。つまりあっちの世界にはなくて、こっちの世界に来てから感じるようになったのが魔力じゃないかなと思ってやってみたら・・・できた」
まぁ、そりゃそうか俺達がいた世界には無かったからなぁ、できるか
[マツヒサコウヘイ]
LV・1
HP150/150
MP99/100
攻撃150
防御130
魔攻100
魔耐120
素早さ100
========================
職業:勇者
光平の奴、結構高いな。職業が勇者ってなってるけど、まさか・・・まぁ、そんなわけ・・・
光平のステータスを見ていた兵士がえぇ! と感嘆の声を漏らした
「職業・・・勇者!? それに、こんな高いステータス・・・」
そんなに驚くぐらいなのか、やっぱりこれだけ高いしな・・・ステータス
光平のステータスを覗くようにして和剛が近づいてきた
「光平ステータス、スンゲェたけぇじゃねぇか」
「そういうお前はどうだったんだ? 和剛」
「あ? 俺か? 俺はなぁえぇと、」
プレートを握り込むようにしていると、ブゥゥンという音とともに和剛のステータスが現れた
[イトウカズタカ]
LV・1
HP160/160
MP8/10
攻撃180
防御160
魔攻20
魔耐150
素早さ100
========================
職業:拳闘士
「っとまぁこんな感じだ、攻撃力と防御とかはたけぇみてぇなんだけどよぉ、他がなぁ」
いや、十分だろ十分すぎるだろめちゃくちゃ強い前衛タイプじゃないか職業拳闘士ってなってるし、魔法使うようなタイプじゃないだろ
「いや、和剛、このステータスかなり強いと思うんだが」
「そうかぁ? 俺、あんましこういうのわかんねぇんだよなぁ」
「ハッハッハ! 流石は勇者様方! かなりお強いようだ!」
まあ、周りの奴らがこんなに強いんだから俺は心配する必要は無いかな・・・えぇと、こうかな
すると、俺の目の前に半透明のステータスが表示された
[テンバ・ハヤト]
LV・1
HP10/10
MP4/5
攻撃6
防御8
魔攻5
魔耐50
素早さ35
========================
職業:剣士
・・・え、これ弱くね紙耐久、カス攻撃力なんだけど・・・え、光平とか和剛とか100はあったよな。俺一桁なんだけど・・・
「ププ・・・」
いつの間にか俺の背後には颯吾が立っていた。振り返るとかすかに肩を震わせていることがわかった
「マジかよ勇人・・・その攻撃力・・・ひっくいじゃねぇか!」
もうダメだ抑えらんねぇ! と言って笑い初めた
確かに低いけど、そんなに笑わなくていいじゃないか
「まぁ、いいわ、じゃあな」
そう言って颯吾が去っていった
それにしてもどうして俺のステータスはこんなにも低いのだろうか・・・
俺はそう思って深いため息を吐いた
読んでいただき、ありがとうございました。
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