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etc  作者: 鎮華
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エトセトラ

ノロノロ更新です

ふわふわ設定です

話によって視点が代わります。

皆を幸せにする事は無理なんです。

許して頂ける方のみご覧下さい。

今日も朝日が眩しいわぁ~

う~んと伸びながら窓の外を見る。

小鳥が楽しそうに戯れているし、花も綺麗だ。


コンコン。


『セイラ様起きていらっしゃいますか?』


侍女のアンがやって来た。


『起きているわ』

すると、いつも通りに朝の支度が始まった。


セイラ.アントス16歳

貴族に生まれ、今は高等学院に通う。

アントス家は中流貴族ではあるが、領地が豊で安定した収入もあり、不自由なく幸せに暮らしている。

父母、兄姉、穏やかな性格で家族仲も良い。


『セイラ、学院はどうだい?』

父が朝食の席で聞いてきた。

『はい。有意義な時間を過ごさせ頂いておりますわ』

ニコリと返すと、そうかとうんうんと満足そうに頷いた。

『アニカはどうだ?』

今度は姉にたずねた。

『私も同じですわ』

ふわっと花が綻ぶように笑い返す姉。

家族ですら見惚れる美貌の持ち主だ。

『リュースは変わらずか?』

兄にもたずねた。

『はい。父上。毎日鍛錬を重ねております。』

キリッ返した。兄は騎士を志している。

穏やかな朝の日常である。


馬車に姉と2人乗り学院へ向かう。


『はぁ、姉様は今日も隙のない美しさね…』

ボーッと目の前の輝く姉を見つめる。

『やだわ。毎日同じ事を…』

と呆れ気味言うと、

『セイラこそ。今日も可愛いわ。』

トロッとした目で妹を愛でる姉。

この2人はお互いに溺愛している仲良し姉妹。

華やかな美貌の姉アニカ

妖精のような可憐な妹セイラ

学院では有名な姉妹だ。


『見て見て!!アントス家の宝石姫よ!』

『ため息しか出ないわね…』


女子だけでなく、男子も遠目に眺めている。


『アニカ様…ヤバ…目が潰れそ…いい意味で…』

『セイラ様も…周りを妖精が舞ってるようだ… 』


朝の日常なので当の本人達は気にもならない。


『リュース!今度こそお前に勝って…妹君に挨拶をさせてもらうぞ!』

朝の鍛錬所にはリュースの前に列が出来る。

麗しい2人の妹へアプローチする許可をもらうために……

『飽きないものだなぁ…』

思わずため息を漏らすも、可愛い妹へ手を出そうとする輩を放置もできない。

こちらも、妹2人を溺愛しているのである。

死屍累々の中、ふぅーと空を見上げ、今日も良い鍛錬が出来たと満足気に立ち去るリュースの背中を、静かに涙を流しながら敗北者達は見つめていた。


『カイル様』

側近が執務室のドアをノックした。

『入れ。』

主が返事をすると、側近が報告を上げる。

それを、聞きながら目の前の書類を捌いていく。

カイル.オストロ20歳

この国の王太子。黒髪で赤い眼の端正な顔立ちをしている。

この国で黒髪赤い眼は王族の証であり、不思議な事に王族でも1世代に1人しか生まれない。

故に、黒髪赤い眼を持って産まれた者は王になるしきたりがある。

カイルも順番的には6番目だったが、条件を満たしたのが彼だったので産まれた瞬間から次期王が確約された。

その後も、皇子、皇女が誕生したが条件を満たす者は産まれ無かった。


『カイル様、以上で報告は終わりになりますが…』

側近がまだなにやら言いたげだ。

『報告が終わったのなら下がれ。』

無下に言い放つと書類を捌いていく。

『しかし、カイル様…』

困り果てた様子の側近にチラリと目線をやると

軽く息を吐き、

『5分だ。』

書類を机に投げると側近を見る。

ゴクリと喉を鳴らし、青い顔で

『恐れながら申し上げます。女王陛下より昼食のお誘いが来ております。』

はぁ~と頭を抱えながら

『忙しいと伝えてくれ。』

更に色を無くした側近は

『カイル様~私がお叱りを受けます!お願いします!参加してください!』

必死に頼み込む側近を前にカイルは

『約束の5分だ。下がれ。』

そのまま書類を捌き始めた。

恨めしそうに主を見つながらも、諦めたようにトボトボと執務室を出て行った側近を確認すると…

『はぁ~母上も諦めの悪い事だ。俺はまだ嫁など娶る気はないぞ。』

窓の外を眺め、今日も良い天気だと、敢えて煩わしい事は考えないように爽やかな朝の風景をひたすら見つめた。


今日も彼女は愛らしい。

友人に囲まれにこやかに廊下を歩く後ろ姿をただ見つめる。

あんな天使が僕と同じ空気を吸っているのか…

大気すら愛おしい…。


何よ。

顔の作りが良いだけで…中流貴族の癖に…

私より人気を集めるなんて。

許せない。


窓の外では鳥や虫や花がお日様の元幸せそうにその命を輝かせている。

生きているだけで幸せだと。

幸せとは各々違うのだと。

今はまだ、何も知らない。


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