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窓越しの空  作者:
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再出発

 亮輔には付き合っている人がいた。

 亮輔はどんな気持ちで毎日を過ごしていたんだろう。

 出張と偽ってまで一緒にいたい人がいるのに、なぜ私との結婚生活を辞めるという選択をしなかったのだろうか……。


 亮輔には私はどう見えていたんだろうか……。


 そんな事を思いつつ当時の事を思い出したりしてみる。


 もう終わった事。


 色々考えても結局そこに辿り着く。

 もういい。

 何も考えない。


 もうお互い自分のこれからの人生を考えた方がいい。

 過去を振り返らないでこれからの事に目を向けていけばいい。

 もう少しあるであろう人生を楽しく過ごす、私はそう決めていたのだ。



 あの電話をもらってから3ヶ月が過ぎようとしていた。

 私はもうすっかり忘れて平穏な日常を過ごしていた。

 初めて始めた仕事もやってみると嫌いではなかったが、やはり事務職に戻りたくなり木村さんに事務職での仕事を探してもらう事にした。

 もうすぐ今の仕事の契約期間が終わる。

 継続か契約満了かを結構早い段階で決めた。

 次を探すなら今のこのアパートも出なければ行けない。

 半年間住ませてもらったこの家に居心地の良さを少しずつ感じ始めていたのだが仕方がない。

 私は週末は物件探しに明け暮れた。


 私一人。

 私一人が住む場所。

 これからの事も考えていろんなところにアクセスしやすい場所がよかった。

 これから当たり前にできた事がどんどんできなくなっていく。

 離婚して子供もいない。

 歳を重ねても生活に不便じゃない場所。

 自由気ままな独身生活生活だが忘れてはいけない両親。

 老いた両親を近くで見た方がいいと思いそれを含めたエリアで探す事にした。


 何軒か内覧して回りそのうちの一つのある程度の条件を満たしたアパートに決めた。

 3階の角部屋で築年数は5年。

 今は若い夫婦が住んでいでもうすぐ退居予定。

 今住んでいるので一つ下の階にある角部屋ではない部屋を見る事ができたのでそこを見せてもらい、ある程度の感じをつかむ事ができたのでここに決める事にした。

 ちなみに退居の理由は家を建てたかららしく、近隣住民などのドラブルが原因ではなかった。

 そこも重要なポイントだった。


 ここで生活していく、そう決めた。


 亮輔と暮らしたマンションは7階でとてもいい風が入り見晴らしもよかった。

 あの窓から差し込む夕陽が私は好きだった。

 優しく、でも力強く差し込む夕陽がオレンジに室内を染め影を作りそのコントラストを眺めながら夕食の準備をするあの静かで少し寂しくも思うあの時間が懐かしく感じる。


 住む場所と決めたアパートはそんなに風通しも良くなく、夕日より朝日の方がよく入りそうな気がした。


 劣るところを見るときりがない。

 ここにも劣らずいいところはあるし、そのうちきっとここが居心地がよくなる。

 楽しむ事を自分がしないと、楽しい事を引き寄せる事なんてできない。

 自分次第……楽しく生きる。


 最近の過ごし方もまだそんなに変わらず、家と仕事の往復ばかり。

 ただ、しばらくするとここからも引越し、次のアパートでの生活が始まるので生活に必要なものをある程度考えたりしたくて近くのお店や電気屋さんに行って新しい暮らしを想像しながらウィンドーショッピングをする事が多くなった。

 あのアパートで新調した物の中で暮らす事を想像する事が楽しく色んなお店を行き来していた。


 まだ引越しまで少し猶予があるかなと思っていたが入居の話が進むとあれよあれよとどんどん進んで行った。

 入居日も決まり、電気屋さんでまとめて買った家電を入居日に送ってもらう様に手続きを済ませた。

 通勤は少し大変だけど、契約期間中はそれも辛抱、

 木村さんからはまだ事務の仕事は見つかってないのか連絡は来ないけど……、次の仕事も決まらず不安はあるけれどなんとかなるよねと自分に言い聞かせながら、生活圏の変わるあの場所での生活を楽しみにしていた。

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