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窓越しの空  作者:
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答え

 足早に帰った自宅の真っ暗なリビングに明かりをつけた。

 静まり返ったリビングが一瞬にして温かみのある空間に変わったのに私の気持ちは正反対だった。


 冷静に自分の気持ちに向かい合い、ひとつわかった事がある。


 夫の嘘を、行動を、ショックだと思わなかった。


 それがどういう事だか分かっていた。



 悲しいとか、寂しいとか、ショックとかそう思えたなら、私の中で家族愛も残っていたのだろう……。

 夫への愛情をもう持ち合わせていないと思いながらも家族愛さえもなくなってしまっていた事を自覚してしまったのだ。


 どこか他人事の様な、へぇーー、そんな事もあるんだ、くらいの自分に巻き起こった出来事なのに誰かから聞いた話くらいの感覚だった。



 夫の私に隠している事はわからない。


 綺麗な女性と一緒にいたけれど、それこそ言えない特別な関係なのか、あの後他の人も合流してたくさんの人での集まりだったのか、それは今の時点では私が知る事はできない。


 もし、あの後誰も合流せず、あの綺麗な女性と特別な関係だったとして……、それを想像しても、裏切りや悲しみの感情は全く生まれなかった。


 そこが問題ではなかった。

 それがどうこうなって話が変わったとしても、私の中の答えが変わる訳ではなかった。


 夫と夫婦であるけれど、夫婦という形に収まっているだけで、もう夫婦ではないんだ……と改めて突きつけられた気がした。


 夫婦として破綻していると認識はあった……。


 会話もそこそこ、仕事ばかりの夫との時間を私自身も作ろうとしていた訳ではない。

 出張から帰ってくると夜ごはんを作って待っていて、少ない会話の食事を済ませ、各々の時間を過ごす。


 決して、楽しい家庭ではない。


 こんな家庭もあるんだろうと、そう思っていたのかも知れない。

 我慢をしていた訳でなく、ただ、私も夫に望む事がなかった。


 ただそれだけの事で、今までやってきたのだと思った。

 そんな家庭である私と夫はなぜ離婚という選択肢を選ばないのだろう……と思う事をなぜ、自分にもしてこなかったのだろう……と考えてしまった。


 夫の嘘が、自分が見た光景が、今まで考えもしなかった事を一気に考えさせる。



 その日、夫は帰ってこなかった。

 どこで何をしているのかはわからないが、出張でなかった事だけは確かで、連絡なり帰ってくるなりするだろうと自分が想像した事は一切現実になる事はなかった。


 今日夜、本当であれば出張から帰ってくる。

 夫はどんな顔で帰ってくるのだろう……。

 私はどう夫に話しかけるのだろう……。


 夫が帰るであろう夜まで少し時間がある。

 夫に伝える言葉を考える為に自分の気持ちの整理もしておかなければ……。


 夜が明け薄暗い空に少しずつ今日の空の色が付いてきた。

 カーテンを開け、窓を開けるとひんやりとした風が体をまとった。

 すっきりとした風に自分の中をリセットされた様な気分。


 まずどう夫に話を切り出すか、そんなことばかり考えてしまうが、どんな話になろうとも気付いた自分の気持ちを伝えるのみ。


 もう自分に迷いがなかった。

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