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窓越しの空  作者:
73/100

きっかけ

 予定より1日遅れでハンバーグを作った夜はいつもより遅く帰ってきた。

 出張から戻り一旦会社に帰って打ち合わせがあった様でいつもの様に直帰という訳にはいかなかったようだった。


 温め直したハンバーグはやはり作ってすぐよりは味が落ちる。

 夜遅い事もあってゆっくりと味わって食べる、という感じには見えず、ただひたすら食べ早く食べ終える事に重きを置いている感じだった。


 思い描いた夫ではなかった……。


 夫婦2人の生活がいいという人もいるだろう……。

 でも、そんな人たちの夫婦2人の生活はこうではないだろう……。

 一緒に山登りに行ったり、フェスに出かけたり、キャンプに行ったり、スポーツ観戦したり……。


 楽しい事を見つけ、2人で楽しむ……。

 子育てという子供に費やす時間を自分たちの時間に変えて自分たちが楽しむ事の時間にする。

 それが夫婦2人の生活の楽しみ方じゃないのかな……。


 私たちには子供がいない。

 土日の休みには家にいて、平日は仕事ばかりの夫は仕事が趣味……それはわかるが、それ以外に楽しいと思う事はないのか……。


 私たちに子供がいれば今とは違っていたかも知れない。

 そんな事を今言っても仕方がないけれど……。


 いろいろと考えた時、私自身も夫の趣味になる何かや好きな事を何も思い出せない事に気が付いた。




 私は夫となぜ結婚したのだろう……。

 そして、私に文句ひとつ言わない夫は、私のどこがよくて結婚したのだろう……。




 その疑問が浮かんでしまった。



 夫は情熱的なタイプではなかった。

 愛していると口に出す事もなかったし、物凄いアプローチがあって付き合いだした訳でもない。

 飲み会の席で会い、たまたま席が隣になった事で顔見知りになり、何となく付き合い始めた……、そんな感じだった。


 当時、私は付き合っている人もおらず、出会った時の夫は今よりは会話もあり、第一印象は悪かったが普通の人という認識を持てたから付き合ってみようと思って始まったような感じだった。


 夫とは一緒にごはんを食べに行く事から始まり、ドライブをしたり、小さな旅行に行ったりそれなりのカップルらしい時間もあった。


 結婚も急に夫が言い出したのだ。

 なぜ急ぐんだろう……あと1、2年は先でもいいんじゃないの?と当時の私は感じたけれど、私の歳も30を過ぎたし、まぁこの波に乗ってみるか……、そう思って結婚を決めた。


 あまり大きい式を望まなかった夫。

 私も特にこだわりもなかったので夫の希望通り親族だけの小さな式を挙げ、友達には後日報告した。



 そして、今に至る……。



 仕事から帰ったら、家に電気が付いていて欲しいから、という夫の希望で仕事も辞めた。

 仕事を始めた今もそれはできるだけ続けている。

 だから夫も私が仕事をする事を了承したのだろう……。

 自分も出張も多く、家に帰ってこないという後ろめたさもあるのかも知れない。


 仕事をする私にもあれこれと言う事はなかった。

 私は夫婦2人のこれからの生活のあり方を考え始めていた。


 このままでお互いいいのかな……。


 その日は答えの出ない問いを自分に何度も投げかけた。



 ある日、派遣会社の木村さんから連絡が入った。

 

 紹介したい企業があって一度面接を受けてみないかという話だった。

 面接は今週末、午前中。

 勤務内容を聞き面接に挑む事を決め、この前同様その企業前で木村さんと待ち合わせる事になった。


 当日は朝10時から面接が始まった。

 企業側からの詳しい業務内容を聞いたり、契約内容についての話を聞き面接は滞りなく終わった。

 今回も木村さんには手応えがあった様で、たぶん企業からいい返事がもらえるだろうと言っていた。


 私自身も話を聞いて悪い印象はなかったので働かせてもらえるなら嬉しい事はない。


 とりあえずは企業からの連絡待ちだ。



 時間を見ると11時過ぎ。

 ここから電車で2駅のところが夫の会社の最寄り駅だった。



 そうだ……!



 私はこの前行けなかったオムライスのおいしいお店に行こうと思い立った。

 時間もちょうどいい。

 開店直後だろうしそんなに待つ事もないかも知れない。

 私は念願のあのお店へ向かう事にした。

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